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受け視点
8.
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こっくりとした色味の煌めく黄金色の髪、優しい光を宿すマリンブルーの瞳。
大使として訪れた俺の護衛を勤めてくれた、ディーリアス・バンテル。優れた美貌と優しい性格の持ち主である彼に、遠く故郷を離れた寂しさを随分癒やして貰った。
あの時、彼は言っていた。
「私にも殿下と同じ年の息子がいるんですよ」と。
流石に幼すぎて王宮に連れてくることはできないけれど、と自分の子供の話をして俺をたくさん笑わせてくれた。
そんな優しい彼は、大使として滞在した最終日に受けた襲撃で俺を庇い、その傷がもとで命を落としてしまったんだ。
ーー優しい人だったのに………。
子供から父親を、妻から夫を奪った俺の罪は重い。
あの時は泣き喚くだけで何もできず、気付けば自国に連れ戻されていた。
当然、遺族に謝罪もできぬまま……。
今回、遊学に訪れたのは、彼の墓の前で謝罪をしたかったからだ。
なんの役にも立たない、五番目の王子なんかを庇って命を落とさせてしまった贖罪。
俺は予定通り、魔塔主になる。
その前に、貴方の子供がきちんと暮らしていける環境を整えてあげたかった。
だから、カーディアス・バンテルは騎士養成学校に入れたし、無事に卒業さえすれば騎士団に入れるように手筈は整えてある。
勿論、ずば抜けて頭脳明晰である彼には俺の助けなどいらないだろう。
それでも、何か手助けがしたかった。
「ただの自己満足だな。何て醜い………」
自分が楽になるためだけの贖罪に何の意味がある?
そう気付いてしまって、奴に本当の事が言えなくなった。
だから、今回の帰国は渡りに船だ。こうして俺はまたこの国から逃げるんだ…。
「……………バカだな、本当に」
「僕もパスティはバカだと思うよ……」
不意に響いた声に、パキッとかたまる。
ーーえ………?
「婚約ってなに?誰と結婚するつもりなの?」
信じられない気持ちで顔を覆っていた腕を外し視線を巡らせると、そこには憮然とした顔のカーディアスが佇んでいた。
ふかふかの絨毯を踏み締め、足音もなく近付いてくる。
腕を伸ばすと、つっ……と俺の首を指で撫でてきた。
「こんな感じやすい身体で女を抱くの?無理だよね?だって…」
カーディアスは、くすっと美しくも淫猥に微笑んで見せた。
「僕が、そう躾けたんだもの……」
「カーディアス………」
何故ここに、と問うこともできない。
「パスティが高貴な方なのは知ってたよ。ねぇ、国に帰るなら僕も連れて行って。僕を雇ってよ。そうしたら、いつでも君が満足するまで抱いてあげるよ、ねぇ、ご主人サマ?」
クスクスと笑いながら、カーディアスは俺に馬乗りになる。
ゆったりとした手付きで俺のシャツのボタンを外すと、自分のシャツを脱ぎスラックの前を寛げた。
「な…、なにを………」
「え?勿論、パスティを抱くんだよ。大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから……」
にこっと微笑み、自身のペニスをズルリと引き出した。既に硬く芯を持ち、鎌首を持ち上げ始めている。
凶悪な゙サイズのソレは直視に堪えず、思わず視線を逸らしてしまった。
「ほら、ちゃんと見て?」
ぐっと顎を掴まれ、目の前に起立したベニスがくる。
むわりと独特の匂いと共に、鈴口から透明なカウパーがトロリと溢れ始めていた。
大使として訪れた俺の護衛を勤めてくれた、ディーリアス・バンテル。優れた美貌と優しい性格の持ち主である彼に、遠く故郷を離れた寂しさを随分癒やして貰った。
あの時、彼は言っていた。
「私にも殿下と同じ年の息子がいるんですよ」と。
流石に幼すぎて王宮に連れてくることはできないけれど、と自分の子供の話をして俺をたくさん笑わせてくれた。
そんな優しい彼は、大使として滞在した最終日に受けた襲撃で俺を庇い、その傷がもとで命を落としてしまったんだ。
ーー優しい人だったのに………。
子供から父親を、妻から夫を奪った俺の罪は重い。
あの時は泣き喚くだけで何もできず、気付けば自国に連れ戻されていた。
当然、遺族に謝罪もできぬまま……。
今回、遊学に訪れたのは、彼の墓の前で謝罪をしたかったからだ。
なんの役にも立たない、五番目の王子なんかを庇って命を落とさせてしまった贖罪。
俺は予定通り、魔塔主になる。
その前に、貴方の子供がきちんと暮らしていける環境を整えてあげたかった。
だから、カーディアス・バンテルは騎士養成学校に入れたし、無事に卒業さえすれば騎士団に入れるように手筈は整えてある。
勿論、ずば抜けて頭脳明晰である彼には俺の助けなどいらないだろう。
それでも、何か手助けがしたかった。
「ただの自己満足だな。何て醜い………」
自分が楽になるためだけの贖罪に何の意味がある?
そう気付いてしまって、奴に本当の事が言えなくなった。
だから、今回の帰国は渡りに船だ。こうして俺はまたこの国から逃げるんだ…。
「……………バカだな、本当に」
「僕もパスティはバカだと思うよ……」
不意に響いた声に、パキッとかたまる。
ーーえ………?
「婚約ってなに?誰と結婚するつもりなの?」
信じられない気持ちで顔を覆っていた腕を外し視線を巡らせると、そこには憮然とした顔のカーディアスが佇んでいた。
ふかふかの絨毯を踏み締め、足音もなく近付いてくる。
腕を伸ばすと、つっ……と俺の首を指で撫でてきた。
「こんな感じやすい身体で女を抱くの?無理だよね?だって…」
カーディアスは、くすっと美しくも淫猥に微笑んで見せた。
「僕が、そう躾けたんだもの……」
「カーディアス………」
何故ここに、と問うこともできない。
「パスティが高貴な方なのは知ってたよ。ねぇ、国に帰るなら僕も連れて行って。僕を雇ってよ。そうしたら、いつでも君が満足するまで抱いてあげるよ、ねぇ、ご主人サマ?」
クスクスと笑いながら、カーディアスは俺に馬乗りになる。
ゆったりとした手付きで俺のシャツのボタンを外すと、自分のシャツを脱ぎスラックの前を寛げた。
「な…、なにを………」
「え?勿論、パスティを抱くんだよ。大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから……」
にこっと微笑み、自身のペニスをズルリと引き出した。既に硬く芯を持ち、鎌首を持ち上げ始めている。
凶悪な゙サイズのソレは直視に堪えず、思わず視線を逸らしてしまった。
「ほら、ちゃんと見て?」
ぐっと顎を掴まれ、目の前に起立したベニスがくる。
むわりと独特の匂いと共に、鈴口から透明なカウパーがトロリと溢れ始めていた。
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