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11~20話
『ノー』と言えるお腹【中】
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クロはティーカップと一緒に私にも『クリーン』をかけてくれたので、清潔な状態だったとは思うのだけれど、それはそれ。
二日ぶりに全身さっぱりとして清々しい気分だ。
こうしてお湯が沸かせるのだから、浴槽からの排水手段さえどうにかなればお風呂だって夢ではない。
「――って、ここが『夢』なんだってば! あははは……」
一人きりの空間に、乾いた笑いだけが虚しく響いた。
「……うーん、やっぱ合わないか」
三頭身体型の『住人』用に作られた服は、横幅が大きく余るのに寸足らず。
姿見の前であれこれとあてがってみたけれど、残念ながらどれも着替えには使えそうにない。
「着てみたかったのになー、ドレス」
しょんぼりと手を下ろす。
何を隠そう、ぬいぐるみやレースにフリル、ピンク色や小花柄など、ふわふわと愛らしい少女趣味なものが好きなのだ。
似合わないとわかっているので人前では身につけないものの、お姫様のようなフリフリのドレスにだって憧れる気持ちはある。
「そういえば、この部屋着はクロに見られちゃったんだっけ」
下げた視線の先、幅広の姿見の中には、モコモコの部屋着を着た自分が映っていた。
白地に淡いピンクのボーダー柄で、ぬいぐるみのようにモコモコとした手触りの可愛い部屋着。太ももがあらわになるごく短い丈のショートパンツも、陸上のユニフォームのようで動きやすくて気に入っている。
おじいちゃん以外誰にも見せることのない部屋着だからと好きなものを身につけていたけれど、クロには見られてしまった。
「でも……」
変な格好だとも、似合わないとも、クロは言わなかった。
それどころか、繰り返し繰り返し「可愛い」とすら――――。
間違いを正すようにぶんぶんと首を振る。
たぶん、クロは目が悪いのだ。
あんなにじっと凝視してきたのも、私が小さくてよく見えなかったからだろう。
細部なんて見えなくても、『小さいもの』というのはそれだけで十割増し可愛く感じるもの。
ミニチュアというだけで、なんの変哲もないタンスやテーブルだって可愛く見えてくるのだから。
「うんうん」
自分で出した結論に深く納得していると、ガチャッと『部屋』のドアの開く音がした。
二日ぶりに全身さっぱりとして清々しい気分だ。
こうしてお湯が沸かせるのだから、浴槽からの排水手段さえどうにかなればお風呂だって夢ではない。
「――って、ここが『夢』なんだってば! あははは……」
一人きりの空間に、乾いた笑いだけが虚しく響いた。
「……うーん、やっぱ合わないか」
三頭身体型の『住人』用に作られた服は、横幅が大きく余るのに寸足らず。
姿見の前であれこれとあてがってみたけれど、残念ながらどれも着替えには使えそうにない。
「着てみたかったのになー、ドレス」
しょんぼりと手を下ろす。
何を隠そう、ぬいぐるみやレースにフリル、ピンク色や小花柄など、ふわふわと愛らしい少女趣味なものが好きなのだ。
似合わないとわかっているので人前では身につけないものの、お姫様のようなフリフリのドレスにだって憧れる気持ちはある。
「そういえば、この部屋着はクロに見られちゃったんだっけ」
下げた視線の先、幅広の姿見の中には、モコモコの部屋着を着た自分が映っていた。
白地に淡いピンクのボーダー柄で、ぬいぐるみのようにモコモコとした手触りの可愛い部屋着。太ももがあらわになるごく短い丈のショートパンツも、陸上のユニフォームのようで動きやすくて気に入っている。
おじいちゃん以外誰にも見せることのない部屋着だからと好きなものを身につけていたけれど、クロには見られてしまった。
「でも……」
変な格好だとも、似合わないとも、クロは言わなかった。
それどころか、繰り返し繰り返し「可愛い」とすら――――。
間違いを正すようにぶんぶんと首を振る。
たぶん、クロは目が悪いのだ。
あんなにじっと凝視してきたのも、私が小さくてよく見えなかったからだろう。
細部なんて見えなくても、『小さいもの』というのはそれだけで十割増し可愛く感じるもの。
ミニチュアというだけで、なんの変哲もないタンスやテーブルだって可愛く見えてくるのだから。
「うんうん」
自分で出した結論に深く納得していると、ガチャッと『部屋』のドアの開く音がした。
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