53 / 165
11~20話
クロも食べ物ではありません(はい【上】
しおりを挟む
「ふわぁぁぁ!」
デコレーションされたクッキーの壁、板チョコの屋根、屋根の上には白いアイシングの雪が積もって、カラフルなチョコスプレーまで散らされている。
ぽっかりと空いた窓穴から中を覗けば、シガレットクッキーとウエハースを組み合わせたテーブルセットが見えた。
「本物のお菓子の家だ……!」
夢にまで見たお菓子の家。
今の自分のサイズなら、本当に中で暮らせてしまいそうだ。
かのヘンゼルとグレーテルもこんなときめきを味わったのだろうか。
目移りしながらもさらさらとしたクッキーの壁に鼻を寄せ、今度こそちゃんと甘い香りがしているのを確認すると、大きく口を開いて噛りついた。
あぐっ!
「……んぅ、かひりりくひ……」
平らな壁に真っ向から噛りつくのは、なかなか至難の業である。
あぐあぐ……
「――ナ、――――」
うーん、噛れないな。顎関節がつりそう。
あぐあぐ……
「――っ、――てくれ」
とんとんと背を叩いてくる手をしっしと振り払う。
ちょっと今手が離せないからあとにしてほしい。
あぐあぐ……
「――ナ、ヒナっ、起きてくれ! 降参だ! くすぐったすぎるっ!」
「あが……?」
壁に噛りついたまま目を瞬かせる。
あれ? なんで私は寝そべってるんだろう?
お菓子の家は? クッキーの壁は?
ん? この肌色の物体はなんだ? お菓子??
ぺろっ
「ヒナっ!」
悲痛な叫びを聞いて頭上を見上げれば、頬を紅潮させて耐えるようにぎゅっと眉根を寄せた、険しい険しいクロの顔があった。
赤らんだ顔から首筋、首筋から鎖骨へとゆっくり視線を下ろしていき、肌色の物体がクロの胸部であること確認する。
あー、はいはい、なるほどなるほど? 私はいつの間にかクロの右胸に乗り上げて、胸筋を噛っていた、と。
「……ごちそうさまでした?」
「ヒナ……」
――――罪深き私が『つんつんふにふにの刑』に処されたことを、ここに記しておく。
デコレーションされたクッキーの壁、板チョコの屋根、屋根の上には白いアイシングの雪が積もって、カラフルなチョコスプレーまで散らされている。
ぽっかりと空いた窓穴から中を覗けば、シガレットクッキーとウエハースを組み合わせたテーブルセットが見えた。
「本物のお菓子の家だ……!」
夢にまで見たお菓子の家。
今の自分のサイズなら、本当に中で暮らせてしまいそうだ。
かのヘンゼルとグレーテルもこんなときめきを味わったのだろうか。
目移りしながらもさらさらとしたクッキーの壁に鼻を寄せ、今度こそちゃんと甘い香りがしているのを確認すると、大きく口を開いて噛りついた。
あぐっ!
「……んぅ、かひりりくひ……」
平らな壁に真っ向から噛りつくのは、なかなか至難の業である。
あぐあぐ……
「――ナ、――――」
うーん、噛れないな。顎関節がつりそう。
あぐあぐ……
「――っ、――てくれ」
とんとんと背を叩いてくる手をしっしと振り払う。
ちょっと今手が離せないからあとにしてほしい。
あぐあぐ……
「――ナ、ヒナっ、起きてくれ! 降参だ! くすぐったすぎるっ!」
「あが……?」
壁に噛りついたまま目を瞬かせる。
あれ? なんで私は寝そべってるんだろう?
お菓子の家は? クッキーの壁は?
ん? この肌色の物体はなんだ? お菓子??
ぺろっ
「ヒナっ!」
悲痛な叫びを聞いて頭上を見上げれば、頬を紅潮させて耐えるようにぎゅっと眉根を寄せた、険しい険しいクロの顔があった。
赤らんだ顔から首筋、首筋から鎖骨へとゆっくり視線を下ろしていき、肌色の物体がクロの胸部であること確認する。
あー、はいはい、なるほどなるほど? 私はいつの間にかクロの右胸に乗り上げて、胸筋を噛っていた、と。
「……ごちそうさまでした?」
「ヒナ……」
――――罪深き私が『つんつんふにふにの刑』に処されたことを、ここに記しておく。
33
あなたにおすすめの小説
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
落ちて拾われて売られて買われた私
ざっく
恋愛
この世界に来た日のことは、もうあまり覚えていない。ある日突然、知らない場所にいて、拾われて売られて遊女になった。そんな私を望んでくれた人がいた。勇者だと讃えられている彼が、私の特殊能力を見初め、身請けしてくれることになった。
最終的には溺愛になる予定です。
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる