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11~20話
ネグリジェは恐ろしい?【下】
しおりを挟む「――さて、どう寝たものか」
「うーん、肌が触れてなきゃですしねぇ」
「ちょっと寝る体勢になってみてもらえますか?」
「ああ」
クロは広いベッドの中央に仰向けに寝て布団をかける。
「むーん……」
「手のひらの上はどうだ?」
そう言って、クロは手のひらを上向けて自身の頭の隣に置いた。
提案されるまま、私もそこにコロンと寝そべってみる。
ネグリジェは膝丈で袖も短く、どんな体勢で寝ようと露出した手足がクロに触れていられるので都合がいい。
仰向けになり……、うつ伏せになり……、横向けになり……、丸まってみたり……。
「…………いまいち」
平らなようで平らでない。
上半身は指の上に乗ってでこぼことして、手のひら部分は緩やかに窪んでいるせいで膝裏が浮く。
ピンと指先まで伸ばしてくれている現状でこうなのだ。クロが眠りにつけば筋肉が弛緩して、さらに寝づらい状態になるだろう。
「私が身体に乗ったら重いですか?」
「いや、羽根よりも軽いくらいだ」
また大袈裟な気がするけれどとりあえずその言葉を信じることにして、持参したミニチュア枕を手に寝転ぶクロの肩へとよじ登る。
ぐるりと見渡して手近な場所にあたりを付けると、てくてくと歩を進めた。
「ヒナ、そこは……」
「ん、なかなかいい感じです。ふかふかしてるし」
クロの襟ぐりに潜り込み、胸筋の谷間にぴったりと収まる。
多少左右を胸筋に押し返される感じはあるものの、思いの外ふかふかしているので寝心地は悪くな――
「あっ、ちょっと! 硬くしないでください!」
「す、すまない。驚いてつい……」
不意にガチッと強張った胸筋をぺしぺし叩いて抗議すれば、すぐに力が抜かれて元のふかふかに戻った。やれやれ。
触れた手足からの温かな流入、どきどきと振動を伝える鼓動、呼吸に合わせてゆったりと上下する胸、それらすべてに不思議と安心感を覚える。
頭の位置に枕をセットして、クロのパジャマの襟元を布団代わりに引き寄せて。
「……本当に重くないですか?」
「ああ、それは問題ないが」
「よかった。じゃあ、潰さないでくださいね。おやすみなさーい」
「うむ……。おやすみ、ヒナ」
クロの大きな手のひらがポンポンと私を撫でて、離れた。
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