51 / 165
11~20話
ネグリジェは恐ろしい?【中】
しおりを挟む
「………………。ぁー……、それはたしかに恐ろしいですね……?」
「だろう!?」
「ええ、ほんと……」
刺激しないようにそーっとクロから距離を取ると、髪から落ちた水滴がポタッと足の甲を濡らした。
そうだ、まだ髪が濡れたままだった。
せっかくの可愛いネグリジェを濡らしては大変と、タオルを被ってわしわし髪を拭いていく。
『似合いすぎて恐ろしいんだ!』
先ほどのクロの言葉を反芻すれば、大袈裟だとは思いながらもタオルの下で自然と口元が緩む。
こんなに可愛い服を『似合う』と言ってもらえた。これも小さくなったおかげだろう。
拭いても拭いても水の滴るセミロングと格闘しつつ、ふと横着を思い付く。
「クロ~、髪を一瞬で乾かす魔法ってないんですか?」
ものを綺麗にする魔法があるなら、乾かす魔法だってあってもおかしくない。
返答を聞こうと顔を上げれば、わきわきと迫っていた手がサッと引っ込んだ。
「対象物を一瞬で乾かす『ドライ』という魔法があるにはある。しかし……」
「しかし?」
「付着した水分を根こそぎ奪うため、カラカラに干上がるが……それでもいいか?」
「却下」
誰が好き好んで髪を干上がらせようというのか。
もっとこう、キューティクルを保護しながらしっとりと仕上がるマイナスイオン配合の魔法はないものか。
「『一瞬』とはいかないが、冬場の暖房を兼ねた温風の出る装置がある。それで髪を乾かそう。こちらへ」
「はーい」
妙にわきわきと動く手に尻込みしつつも、髪を乾かすためクロの手のひらへと乗り込んだ。
丈の長いシャツワンピのような濃紺の寝衣に着替えたクロと二人、ベッドの上に座って首を捻る。
ベッドはクロが五人並んで寝られそうなほど巨大で、枕元には前後二列、計五つもの枕が並んでいる。
「クロは寝相いいですか?」
「就寝時の体勢のまま起床することがほとんどだから、悪くはないはずだ」
「ふーむ……」
ならば寝相で潰される心配はしなくても大丈夫だろうか。
「だろう!?」
「ええ、ほんと……」
刺激しないようにそーっとクロから距離を取ると、髪から落ちた水滴がポタッと足の甲を濡らした。
そうだ、まだ髪が濡れたままだった。
せっかくの可愛いネグリジェを濡らしては大変と、タオルを被ってわしわし髪を拭いていく。
『似合いすぎて恐ろしいんだ!』
先ほどのクロの言葉を反芻すれば、大袈裟だとは思いながらもタオルの下で自然と口元が緩む。
こんなに可愛い服を『似合う』と言ってもらえた。これも小さくなったおかげだろう。
拭いても拭いても水の滴るセミロングと格闘しつつ、ふと横着を思い付く。
「クロ~、髪を一瞬で乾かす魔法ってないんですか?」
ものを綺麗にする魔法があるなら、乾かす魔法だってあってもおかしくない。
返答を聞こうと顔を上げれば、わきわきと迫っていた手がサッと引っ込んだ。
「対象物を一瞬で乾かす『ドライ』という魔法があるにはある。しかし……」
「しかし?」
「付着した水分を根こそぎ奪うため、カラカラに干上がるが……それでもいいか?」
「却下」
誰が好き好んで髪を干上がらせようというのか。
もっとこう、キューティクルを保護しながらしっとりと仕上がるマイナスイオン配合の魔法はないものか。
「『一瞬』とはいかないが、冬場の暖房を兼ねた温風の出る装置がある。それで髪を乾かそう。こちらへ」
「はーい」
妙にわきわきと動く手に尻込みしつつも、髪を乾かすためクロの手のひらへと乗り込んだ。
丈の長いシャツワンピのような濃紺の寝衣に着替えたクロと二人、ベッドの上に座って首を捻る。
ベッドはクロが五人並んで寝られそうなほど巨大で、枕元には前後二列、計五つもの枕が並んでいる。
「クロは寝相いいですか?」
「就寝時の体勢のまま起床することがほとんどだから、悪くはないはずだ」
「ふーむ……」
ならば寝相で潰される心配はしなくても大丈夫だろうか。
33
あなたにおすすめの小説
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について
あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる