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31~40話
世界の始まりを迎える指輪【上】
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クロと共に休憩室から戻った私は、応接テーブルの中央に粛然と正座していた。
対面のソファに腰かけたクロとヤシュームが左右から覗き込むなか、往生際悪く巻きつけてきた風呂敷代わりのスカーフを、震える指で慎重に解いていく。
「これ……なんです、けど……」
するりと落ちたスカーフの中から現れたのは、黒さの欠片もない無色透明な宝石の付いた指輪。
「…………」
「…………」
……………………。
「――っごめんなさい!!! わざとじゃないんです!!」
息もできないほどの沈黙に耐えきれず、謝罪の口火を切った。
二人の顔を見る勇気はなく、正座の膝に付きそうなほど深く頭を下げる。
「最初はちゃんと黒い宝石だったんです! たまたま見つけて、触ったら急に色が変わっちゃって……。きっと、魔力みたいに私が宝石の色まで吸い込んじゃったんだと思います」
さっきクロは、これが『王家の秘宝』だと言っていた。
となればもはや、弁償どころの騒ぎではない。
下手をしたら――いや、もう下手をしたのだから、私の首が物理的に飛ぶのも時間の問題だろう。
髪の間からあらわになったうなじにひやりと寒気が走る。
「どうにかして返せるものなら、今すぐにでも色をお返ししたいんですけど…………」
そのうえそんなに大事なものを、今の今まで忘れ果てていたのだ。
罪悪感がごりごりと胸を抉り込む。
クロは指輪を摘まみあげると、照明にかざしてためつすがめつ眺めた。
「――色は違うが、たしかに本物だ。どこでこれを?」
「ドールハウスの横に飾ってある、ぬいぐるみの下敷きになってました……」
黙って話を聞いていたヤシュームが、咎めるような声で「殿下……」と呟く。
「本当に、ヒナが触れたことで色が変わったのか? 他に指輪に触れた者は?」
「はい……、私が触る前は、ちっちゃい光の粒が散った星空みたいな黒い宝石でした……。見つけてから今までずっとドールハウスに置きっぱなしにしてたので、他の人は触ってないはずです……」
正座して項垂れたまま、粛々と尋問に応じる。
犯人は私だ。疑う余地もない。
対面のソファに腰かけたクロとヤシュームが左右から覗き込むなか、往生際悪く巻きつけてきた風呂敷代わりのスカーフを、震える指で慎重に解いていく。
「これ……なんです、けど……」
するりと落ちたスカーフの中から現れたのは、黒さの欠片もない無色透明な宝石の付いた指輪。
「…………」
「…………」
……………………。
「――っごめんなさい!!! わざとじゃないんです!!」
息もできないほどの沈黙に耐えきれず、謝罪の口火を切った。
二人の顔を見る勇気はなく、正座の膝に付きそうなほど深く頭を下げる。
「最初はちゃんと黒い宝石だったんです! たまたま見つけて、触ったら急に色が変わっちゃって……。きっと、魔力みたいに私が宝石の色まで吸い込んじゃったんだと思います」
さっきクロは、これが『王家の秘宝』だと言っていた。
となればもはや、弁償どころの騒ぎではない。
下手をしたら――いや、もう下手をしたのだから、私の首が物理的に飛ぶのも時間の問題だろう。
髪の間からあらわになったうなじにひやりと寒気が走る。
「どうにかして返せるものなら、今すぐにでも色をお返ししたいんですけど…………」
そのうえそんなに大事なものを、今の今まで忘れ果てていたのだ。
罪悪感がごりごりと胸を抉り込む。
クロは指輪を摘まみあげると、照明にかざしてためつすがめつ眺めた。
「――色は違うが、たしかに本物だ。どこでこれを?」
「ドールハウスの横に飾ってある、ぬいぐるみの下敷きになってました……」
黙って話を聞いていたヤシュームが、咎めるような声で「殿下……」と呟く。
「本当に、ヒナが触れたことで色が変わったのか? 他に指輪に触れた者は?」
「はい……、私が触る前は、ちっちゃい光の粒が散った星空みたいな黒い宝石でした……。見つけてから今までずっとドールハウスに置きっぱなしにしてたので、他の人は触ってないはずです……」
正座して項垂れたまま、粛々と尋問に応じる。
犯人は私だ。疑う余地もない。
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