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41~50話
おくすりの時間です【上】
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――ついにこの日が来た。
クロの私室にて。少しでも不安を和らげようとおじいちゃんのカプセルを抱えた私は、しっかりとクロの手に抱かれて対面のソファを向いた。
「これは内用薬だから残さず飲んでねぇ。その身体で飲みきれる量にまで濃縮するの大変だったんだよぉ~」
ミディルアードはそう言って、針のない注射器のようなものを見せる。
中には、インク瓶から直接流し込んだかのような鮮やかな青色の液体が入っていた。
飲みきれる量にしてくれたとのことだけれど、小さな私からすればゆうに一リットルはありそうだ。
あれを飲み干す……。
ゴクリと喉が鳴る。
まさか、最後にこんな関門が待ち構えていようとは。
「じゃ、飲ませるから小さいのこっちに貸してぇ~」
ミディルアードが片手を差し出すと、クロは私を抱いた手をサッと引っ込めた。
「薬をこちらに寄越せ。俺が飲ませる」
「別にいいけど『クリーン』はかけないでよぉ? 解毒なんてされたら成分が変質するかもしれないしぃ~」
「……ならば俺が毒味を」
「これ以上でっかくなるつもりぃ~?」
「…………」
クロは心配そうに私を一瞥して、無言でミディルアードを睨みつけた。
「あはは、ちょっとは僕を信じたらぁ~? ここで小さいのに毒を盛ったところでぇ、禁書庫には入れなくなるしクローヴェルには恨まれるし、な~んのメリットもないんだからさぁ」
「……それもそうだな」
『信じろ』という言葉よりも『メリットがない』という言葉を受けて、クロが納得する。
たしかに、私をどうにかしたところでミディルアードにメリットはないだろう。
私もクロの手の中でうんうんと頷いた。
「ヒナ、飲めそうか?」
口元にそっと、針のない先端を寄せられる。
この薬を飲めば、私は元の大きさに戻るのだ。
とうとう元に戻れるのだという期待と、失敗したらどうなってしまうのだろうという不安。
大きくなったところでクロの愛情を失うことになるのであれば、いっそこのままの姿でクロに愛されて生涯を終えるほうが幸せなのではとも、ちらりと頭をよぎった。
でも――ダメだ。そんなことをすれば私を心配してくれるクロのことも、私の成長を喜んでくれたおじいちゃんのことも、悲しませることになる。
愛する人を失った瞬間の、あの心臓の半分をぶちぶちと千切りとられるような壮絶な苦しみをクロに負わせるのだって嫌だ。
詮無い迷いを打ち消すように大きく息を吸い込むと、クロの目を見てはっきりと告げた。
「いただきます!」
クロの私室にて。少しでも不安を和らげようとおじいちゃんのカプセルを抱えた私は、しっかりとクロの手に抱かれて対面のソファを向いた。
「これは内用薬だから残さず飲んでねぇ。その身体で飲みきれる量にまで濃縮するの大変だったんだよぉ~」
ミディルアードはそう言って、針のない注射器のようなものを見せる。
中には、インク瓶から直接流し込んだかのような鮮やかな青色の液体が入っていた。
飲みきれる量にしてくれたとのことだけれど、小さな私からすればゆうに一リットルはありそうだ。
あれを飲み干す……。
ゴクリと喉が鳴る。
まさか、最後にこんな関門が待ち構えていようとは。
「じゃ、飲ませるから小さいのこっちに貸してぇ~」
ミディルアードが片手を差し出すと、クロは私を抱いた手をサッと引っ込めた。
「薬をこちらに寄越せ。俺が飲ませる」
「別にいいけど『クリーン』はかけないでよぉ? 解毒なんてされたら成分が変質するかもしれないしぃ~」
「……ならば俺が毒味を」
「これ以上でっかくなるつもりぃ~?」
「…………」
クロは心配そうに私を一瞥して、無言でミディルアードを睨みつけた。
「あはは、ちょっとは僕を信じたらぁ~? ここで小さいのに毒を盛ったところでぇ、禁書庫には入れなくなるしクローヴェルには恨まれるし、な~んのメリットもないんだからさぁ」
「……それもそうだな」
『信じろ』という言葉よりも『メリットがない』という言葉を受けて、クロが納得する。
たしかに、私をどうにかしたところでミディルアードにメリットはないだろう。
私もクロの手の中でうんうんと頷いた。
「ヒナ、飲めそうか?」
口元にそっと、針のない先端を寄せられる。
この薬を飲めば、私は元の大きさに戻るのだ。
とうとう元に戻れるのだという期待と、失敗したらどうなってしまうのだろうという不安。
大きくなったところでクロの愛情を失うことになるのであれば、いっそこのままの姿でクロに愛されて生涯を終えるほうが幸せなのではとも、ちらりと頭をよぎった。
でも――ダメだ。そんなことをすれば私を心配してくれるクロのことも、私の成長を喜んでくれたおじいちゃんのことも、悲しませることになる。
愛する人を失った瞬間の、あの心臓の半分をぶちぶちと千切りとられるような壮絶な苦しみをクロに負わせるのだって嫌だ。
詮無い迷いを打ち消すように大きく息を吸い込むと、クロの目を見てはっきりと告げた。
「いただきます!」
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