ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

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41~50話

惜しみない愛情を【上】

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 アイスブルーの双眸が私を捉える。

「本当に、同じ人間だったんだな」

「はい……」

 噛みしめるように呟かれた言葉。
 その奥に込められているのは、喜びだろうか、あるいは落胆だろうか。

 左手をすくい取られ、輪郭をなぞるように指を絡めてもてあそばれる。

「はは、まだ実感が湧かないな。俺の願望が見せたではないかとすら思う。こうして捕まえていないと、今にも夢から覚めて消えてしまいそうだ」

 もう一方の手で、腰を掴んでぐっと引き寄せられた。

 クロはこれが――私が普通の人間であったことが――『夢』であればよかったのにと、そう思いはしないのだろうか。
 小さな姿のままでいてほしかったと。

 そんなこと、尋ねられるわけもないけれど。

「……無事に薬が効いて、よかったです」

「ああ、そうだな」

 明確な同意にぱちりと目を瞬く。
 そっと指をほどいた右手が、私の頬を捕まえた。

「大きくなったおかげで、ヒナの顔がよく見える。……ずっと黒い瞳だと思っていたが、微かに茶が混ざっていたんだな。スモーキークォーツのような深みのある優しい色だ」

 ちゅ、と目尻に口づけられる。

「やわらかな頬の感触も、手のひら全体で味わえていい」

 大きな手のひら全体でむにむにと頬の感触を楽しむようにしてから、親指がついと唇をなぞった。

「……バラの花びらのようだな」

「――――」

 何が、と開きかけた口は、優しい口づけに塞がれた。

 お互いの唇にふにゅりと潰され、隙間なくぴたりと重なり合う。
 しっとりと吸い付いて、離れようとすれば薄い皮膚が微かに引っ張られ、呼び戻されるかのように再び重なって。

 伏せたまつ毛が震える。
 全神経が触れた唇に集まってしまったかのようで、頬を支えていた手のひらがゆっくりと首筋をたどり下りていったことにさえ気付かなかった。

「っは……」

「ヒナ、愛している」

「!」

 瞬間、花のほころぶように広がりかけた喜びを、ぐっと抑えつける。

「……私が、大きくなってもからですか?」

「ヒナの小ささを愛おしく思いはするが、たとえヒナが俺の何倍も大きな種族であったとしても愛に変わりはない。ヒナのすべてを受け入れ、すべてを愛する自信がある」

「…………ほんとに?」

「ああ」

「ほんとのほんとに?」

 だって『人間の私』が恋愛対象として好かれる自信なんて、微塵もありはしないのだ。
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