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51~最終話
火急の報せ《視点変更あり》【下】
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――《ヒナ視点》――
「たいへんよくお似合いでございます」
今一つ信じていいのかわからない定型の賛辞を浴びながら、鏡の中の自分を見る。
なめらかな光沢のある淡いサーモンピンクのドレスは、右肩と腰の左に大きな共布のリボンが付いて、左側だけたくしあげられたスカートの裾からは極淡いピンク色をしたシフォン生地のフリルが、たっぷりと折り重なってブーケのように溢れ出ている。
左右を編み込み後頭部の低い位置でまとめられた髪にも花飾りと小さな宝石の欠片がちりばめられて、なんとも華やかだ。
靴は甲まですっぽりと覆うブーティーのような形状で、かかとは低く、スカートの内側も芯材で空間が保たれているため希望した通り足は動かしやすい、……けれど。
――間違いない、これはクロの趣味だ。
なぜなら私はドレスのデザインに関与した覚えがない。
私が人前で身につけることのなくなった、ふわふわで、きらきらで、可愛らしいもの。
フリフリのドレスを着ていると――デザインは全然違うのに――いつかの、お姫様になれなかったワンピースの記憶が胸を締め付けた。
…………ううん。
今はあの頃と違って髪も長いし、別人かと思うほど綺麗にメイクもしてもらったし、大丈夫。
少なくとも猿には見えない……はず。
わざわざ来賓席を用意してくれたとのことで、おじいちゃんの遺骨入りペンダントはヤシュームに預けていて現在手元にない。
そのせいで、妙な不安にかられるのだろうか――。
鏡とにらめっこしていると、廊下からパタパタと足音が迫ってきた。
お城の廊下を走るとは、よほど急ぎの用件なのだろう。
扉の前で伝言を受け取ったらしき護衛騎士は許可を得て入室すると、緊迫した面持ちでこう告げた。
「クローヴェル殿下が、何者かに襲撃を受けました」
――――――
※【向天】
▶天に頭を向けて立ちあがれる年齢。
=もう幼子ではないと認められる年齢。
(ラストア王国の王族のみにある半成人の儀)
「たいへんよくお似合いでございます」
今一つ信じていいのかわからない定型の賛辞を浴びながら、鏡の中の自分を見る。
なめらかな光沢のある淡いサーモンピンクのドレスは、右肩と腰の左に大きな共布のリボンが付いて、左側だけたくしあげられたスカートの裾からは極淡いピンク色をしたシフォン生地のフリルが、たっぷりと折り重なってブーケのように溢れ出ている。
左右を編み込み後頭部の低い位置でまとめられた髪にも花飾りと小さな宝石の欠片がちりばめられて、なんとも華やかだ。
靴は甲まですっぽりと覆うブーティーのような形状で、かかとは低く、スカートの内側も芯材で空間が保たれているため希望した通り足は動かしやすい、……けれど。
――間違いない、これはクロの趣味だ。
なぜなら私はドレスのデザインに関与した覚えがない。
私が人前で身につけることのなくなった、ふわふわで、きらきらで、可愛らしいもの。
フリフリのドレスを着ていると――デザインは全然違うのに――いつかの、お姫様になれなかったワンピースの記憶が胸を締め付けた。
…………ううん。
今はあの頃と違って髪も長いし、別人かと思うほど綺麗にメイクもしてもらったし、大丈夫。
少なくとも猿には見えない……はず。
わざわざ来賓席を用意してくれたとのことで、おじいちゃんの遺骨入りペンダントはヤシュームに預けていて現在手元にない。
そのせいで、妙な不安にかられるのだろうか――。
鏡とにらめっこしていると、廊下からパタパタと足音が迫ってきた。
お城の廊下を走るとは、よほど急ぎの用件なのだろう。
扉の前で伝言を受け取ったらしき護衛騎士は許可を得て入室すると、緊迫した面持ちでこう告げた。
「クローヴェル殿下が、何者かに襲撃を受けました」
――――――
※【向天】
▶天に頭を向けて立ちあがれる年齢。
=もう幼子ではないと認められる年齢。
(ラストア王国の王族のみにある半成人の儀)
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