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第六十五筆 クセの強い参加者達!
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「ここか、小学校以来だぜ」
アスファルトの地を踏む龍、やってきたのは『H市立図書館』。
小学生の頃、お小遣いが少ない龍は漫画が買えず、ここで作品を読むために通った場所である。
図書館は一昔前の漫画しか殆ど置いていなかったが、龍はここで一つの作品と出会う。
「ここでよくマスターカラテ陣をよく読んだものだぜ」
それが『マスターカラテ迅』!
龍の創作の原点であり、出会いの場所。
つまり、ここH市立図書館は龍にとっては創作の聖地なのである。
「最初にして最後……ここが『ワナビスト龍』のラストダンジョン!」
メタ発言の龍。
赤い鉢巻に赤いジャケット、黒のジーパン、緑のナップザックがこれが龍の最終装備。
そして、既に近くの中華料理店で炒飯を食した龍の体力は万全の状態。
そう、寒さが激しくなってきた『11月〇日の日曜日』にラスボスである黒鳥に出会う。
前回から読み続けている読者諸君なら知っておられよう。
このH市立図書館で、リアル黒鳥が講演を行うのだ。
「ちょいと、そこで立ってたら邪魔だぞい」
「はうっ!」
早速エンカウントだ。
龍の背後には齢七十過ぎの白ヒゲを蓄えたおじいさんが立っていた。
老人の名は緑川葉秋、空手五段、少林寺拳法五段、古流柔術皆伝の達人。
地元H市で道場を開いているが、この物語には全く関係ないので割愛する。
「通るぞ」
「は、はい」
緑川老人は龍を通り過ぎ、そのまま図書館へと入っていった。
正中線が全くブレない緑川老人に好きはなかった。
円の動き、まろやかな動きを体現出来そうな感じだが、武道のド素人である龍に理解出来るはずがない。
後、この緑川老人はこの物語と全く関係ないので割愛する。(大事なことなので二回言いました)
「い、いくぞ!」
仕切り直しだ。
龍は気を取り直して、H市立図書館の内部へと侵入する。
図書館内は小学生の頃から変わらなかった。
ここにいるのは暇を持て余した中年のおっさんやご老人が殆ど。
またテーブルには学生らしき若者が集まり、黙々と勉強をしていた。
「変わってないな、ここは昔のままだ」
何年経っても変わらない光景で、龍は何だかノスタルジックな気分となる。
いやいや、待て待て、お前はそんな懐かしい気持ちに浸るために来たのではない。
「い、いや! 俺は行かねばならない! 会議室! 会議室にGOGO!」
龍は首を左右に振り、己が行かんとする目的の場所を探す。
場所は会議室、そこで黒鳥の講演会が行われるのだ。
丁度、図書館の入り口付近には案内板があり、龍はその案内板から会議室の位置を探した。
「あったぞ! フロアの二階か!」
アルミフレームの案内板。
そして、刻まれるは『会議室』の文字。
H市立図書館の二階に目的地である会議室があった。
子供の頃は全く馴染みのない場所であるが故に、初めてその場所へと赴く。
龍は「ごっくん」と唾を飲み込み、深呼吸をしながら気を静めた。
この案内板はまさにセーブポイント。
これより向かうは黒鳥響士郎の講演会、主人公である龍は心をここにセーブして決戦に備える。
「ここの二階に……黒鳥響士郎が……」
図書館の階段を見つめる龍!
いよいよ最終決戦だ!(オーバーだろ)
準備はいい?
▶はい
いいえ
「行くぞ!」
龍は右手の拳を出して構える。
このワナビストは、いよいよ黒鳥響士郎がいる亜空間へと突入する。
***
その部屋は白い。
白といっても少しくすんだ色をしており『象牙色』という言った方が正しいだろう。
壁も床も、壇上に置かれるボードも、部屋は象牙色に染まり年月が経っていることを教えてくれる。
更に、その象牙色の部屋にはパイプ椅子が綺麗に並べられており、ここで何かが行われるかを教えてくれる。
「講演に申し込んだ『阿久津川龍太郎』です」
龍は本名を名乗った。
名乗った相手は二十歳半ばの女性、図書館の職員であろう受付だ。
「アクツガワ様ですね」
頭はお団子ヘアでキュートな印象を抱かせる。
そのお団子ヘアの女性は、受付のテーブルに置かれるリストから龍の名前を探し出す。
リストには数十名ほどの名前が書かれており、男女は半々くらいであろう。
「阿久津川龍太郎様――間違いないですね。どうぞお好きな席へ」
お団子ヘアの女性はニッコリと笑い案内する。
そう、ここが会議室、黒鳥響士郎の講演会が行われる場所である。
「好きな席でいいんですか?」
龍の問いに、お団子ヘアの女性は微笑んだ表情のまま答えた。
「はい。特に場所は決まっておりませんので」
「あ、ありがとうございます」
龍は軽く会釈して会議室に足を踏み入れていく。
(結構いるな……)
部屋には既に何人か椅子に座っていた。
端や真ん中からやや後ろの席に人が集中しており、前の方はまだ空いている状態だ。
龍は黒鳥響士郎がどんな男かよく観察したかったので、先頭からやや後ろの席に座ることにするが――。
(あっ!)
龍は目を見開いた。
真ん中からやや右側の席に青いベレー帽を被った男がいる。
その男には見覚えがある龍は急いで話しかけた。
「騎士田浪漫先生じゃないですか!」
「ッ! き、君は確か……」
男の名は騎士田浪漫。
職業は漫画家、古田島の本の表紙デザインをした人物。
また読物マルシェでは画集を出品し、龍はその幻想的なイラストに惚れこみ購入したことを覚えているだろう。
「阿久津川君だったかな。君は黒鳥響士郎の講演を聞きに来たのかね」
「え、ええ……」
「ふっ……古田島さんの知り合いであるから、君も物書きということか。勉強熱心なことだ」
「それより、漫画家の先生が何でここに?」
「ラノベ作家というものが、どんなものか見たくてね」
騎士田はラノベ作家を見たいから、この講演会に参加したのだという。
この漫画家はストギルのコミカライズを担当した過去を持ち、原作がエタったために仕事を失ったことがある。
それ以外にもトラブルがあったようだが、詳細は『第四十四筆 導かれし創作者達!』や『第五十七筆 彩り豊かな読物マルシェ!』を読んで欲しい。
つまり、この騎士田という漫画家はラノベ作家に怨みを持っているのだ。
そんな男が何故嫌いなラノベ作家の講演会を聞きに来たのだろうか。
「早く座れ。そこにいたら邪魔であるぞ、阿久津川龍太郎」
龍が不思議に思っていると、立ちっぱなしの龍に注意する者がいた。
その男は騎士田の席のやや後方に座り、片目は髪で隠れ、手には何故か指ぬきグラブをはめていた。
年齢は二十歳後半くらいだろうか、ガシャドクロの刺繡が縫い込まれたスカジャンを着ており、ある種独特の雰囲気を醸し出していた。
アクの強そうな個性――そんな男に龍は見覚えがあった。
「お、お前はーっ! 不破冬馬!」
「ほほう、私を覚えていてくれたようだな」
「あんたが何故ここに……」
忘れるはずがない。
名は不破冬馬、こいつも詳細は『第三十筆 その名は不破、生ける屍作家!』を読んで欲しいところだが、説明すると泰ちゃんの友人で書籍化作家だった男である。
拾い上げで自作が書籍化したまではいいが、色々とあってストギルのアンチに堕ち『生ける屍作家』としてこの世を彷徨っている。
そんなストギルアンチの不破が、現代ラノベの体現者たる黒鳥の講演会に参加していた。
「そんなことはどうだっていいだろ、とりあえず座ったらどうだ」
「わ、わかっているよ」
不破に言われ、龍は席に座ることにした。
何か引っかかる感じはするが、今は席に座るしかない。
龍は騎士田に軽く会釈し、前列の空いている席まで移動する。
「よっこいしょういち」
座った場所は前から三番目の位置、特に意識はせずに何となく座った。
ここなら黒鳥の顔を見れるだろうという直感的なものだ。
だけども、定刻ではないので壇上にはまだ黒鳥の姿はいない。
(騎士田先生と不破……何故二人が……)
席に座った龍は心の中で問いながらも辺りを見渡す。
黒鳥の講演が始まる前から不穏な空気が流れていた。
「そういや、最近さアンチのヤツらが静かよね」
「いいことじゃない? あいつら、うるさかったしね」
「ホント、ホント! マジでウザかった!」
「あのまま、ピンクのバッタみたいに消えてくれないかな」
一番前の席には三十路越えたと思わしき女性二人が座っている。
一人は金髪のミディアムヘアで化粧は濃く、アイタタなウサ耳フード付きのトレーナーを着ていた。
そして、もう一人はショートカットでメガネをかけ、黒いドルマンカーテを羽織っている。
床に置いたカバンには、アニメのキャラクターグッズらしきラバーキーホルダーや缶バッチをつけていた。
二人ともあまり裕福層には見えないが、それなりの清潔感はあるがオタク的なファッションであった。
「それよりさ! 黒鳥先生の講演楽しみね! サクリンちゃん!」
「そうねカーミラちゃん! まうざりっと様も来るしね!」
(こ、こいつらが……! しかもアニメ声!)
龍は思いがけず「よう! 打ち切り作家ども!」と呼びかけそうになった。
この二人こそが『カーミラのエビ餃子』と『サクリンころも』のグラトニーズ。
真異世界令嬢教の教徒であり、狂信者。
まさか、こんなところでリアルのお二人に会えるなんて龍は思わなかった。
リアルなグラトニーズのご尊顔、そんな彼女らの登場に驚く龍であるが――。
「けっ!」
ネガティブな感動詞が聞こえた。
場所は左端の席からだ。
「な、なんじゃ、あの人……」
龍はついつい本音がポロリと出た。
舌打ちした人物の体はデカく、筋肉質のマッチョマン。
この冬場なのに半袖の白いTシャツを着ており、Tシャツには『オレンジプロレス』と書かれていた。
顔はルチャリブレの白いマスクで覆っており、講演参加者の中で一番の異質を放っていた。
(この講演会、一体どうなるんだよ!)
思いっきり龍は心の中で叫んだ。
時刻は13時45分――。
少し早めに会場に到着した龍は落ち着かないまま、黒鳥の講演が始まるのを待つ。
アスファルトの地を踏む龍、やってきたのは『H市立図書館』。
小学生の頃、お小遣いが少ない龍は漫画が買えず、ここで作品を読むために通った場所である。
図書館は一昔前の漫画しか殆ど置いていなかったが、龍はここで一つの作品と出会う。
「ここでよくマスターカラテ陣をよく読んだものだぜ」
それが『マスターカラテ迅』!
龍の創作の原点であり、出会いの場所。
つまり、ここH市立図書館は龍にとっては創作の聖地なのである。
「最初にして最後……ここが『ワナビスト龍』のラストダンジョン!」
メタ発言の龍。
赤い鉢巻に赤いジャケット、黒のジーパン、緑のナップザックがこれが龍の最終装備。
そして、既に近くの中華料理店で炒飯を食した龍の体力は万全の状態。
そう、寒さが激しくなってきた『11月〇日の日曜日』にラスボスである黒鳥に出会う。
前回から読み続けている読者諸君なら知っておられよう。
このH市立図書館で、リアル黒鳥が講演を行うのだ。
「ちょいと、そこで立ってたら邪魔だぞい」
「はうっ!」
早速エンカウントだ。
龍の背後には齢七十過ぎの白ヒゲを蓄えたおじいさんが立っていた。
老人の名は緑川葉秋、空手五段、少林寺拳法五段、古流柔術皆伝の達人。
地元H市で道場を開いているが、この物語には全く関係ないので割愛する。
「通るぞ」
「は、はい」
緑川老人は龍を通り過ぎ、そのまま図書館へと入っていった。
正中線が全くブレない緑川老人に好きはなかった。
円の動き、まろやかな動きを体現出来そうな感じだが、武道のド素人である龍に理解出来るはずがない。
後、この緑川老人はこの物語と全く関係ないので割愛する。(大事なことなので二回言いました)
「い、いくぞ!」
仕切り直しだ。
龍は気を取り直して、H市立図書館の内部へと侵入する。
図書館内は小学生の頃から変わらなかった。
ここにいるのは暇を持て余した中年のおっさんやご老人が殆ど。
またテーブルには学生らしき若者が集まり、黙々と勉強をしていた。
「変わってないな、ここは昔のままだ」
何年経っても変わらない光景で、龍は何だかノスタルジックな気分となる。
いやいや、待て待て、お前はそんな懐かしい気持ちに浸るために来たのではない。
「い、いや! 俺は行かねばならない! 会議室! 会議室にGOGO!」
龍は首を左右に振り、己が行かんとする目的の場所を探す。
場所は会議室、そこで黒鳥の講演会が行われるのだ。
丁度、図書館の入り口付近には案内板があり、龍はその案内板から会議室の位置を探した。
「あったぞ! フロアの二階か!」
アルミフレームの案内板。
そして、刻まれるは『会議室』の文字。
H市立図書館の二階に目的地である会議室があった。
子供の頃は全く馴染みのない場所であるが故に、初めてその場所へと赴く。
龍は「ごっくん」と唾を飲み込み、深呼吸をしながら気を静めた。
この案内板はまさにセーブポイント。
これより向かうは黒鳥響士郎の講演会、主人公である龍は心をここにセーブして決戦に備える。
「ここの二階に……黒鳥響士郎が……」
図書館の階段を見つめる龍!
いよいよ最終決戦だ!(オーバーだろ)
準備はいい?
▶はい
いいえ
「行くぞ!」
龍は右手の拳を出して構える。
このワナビストは、いよいよ黒鳥響士郎がいる亜空間へと突入する。
***
その部屋は白い。
白といっても少しくすんだ色をしており『象牙色』という言った方が正しいだろう。
壁も床も、壇上に置かれるボードも、部屋は象牙色に染まり年月が経っていることを教えてくれる。
更に、その象牙色の部屋にはパイプ椅子が綺麗に並べられており、ここで何かが行われるかを教えてくれる。
「講演に申し込んだ『阿久津川龍太郎』です」
龍は本名を名乗った。
名乗った相手は二十歳半ばの女性、図書館の職員であろう受付だ。
「アクツガワ様ですね」
頭はお団子ヘアでキュートな印象を抱かせる。
そのお団子ヘアの女性は、受付のテーブルに置かれるリストから龍の名前を探し出す。
リストには数十名ほどの名前が書かれており、男女は半々くらいであろう。
「阿久津川龍太郎様――間違いないですね。どうぞお好きな席へ」
お団子ヘアの女性はニッコリと笑い案内する。
そう、ここが会議室、黒鳥響士郎の講演会が行われる場所である。
「好きな席でいいんですか?」
龍の問いに、お団子ヘアの女性は微笑んだ表情のまま答えた。
「はい。特に場所は決まっておりませんので」
「あ、ありがとうございます」
龍は軽く会釈して会議室に足を踏み入れていく。
(結構いるな……)
部屋には既に何人か椅子に座っていた。
端や真ん中からやや後ろの席に人が集中しており、前の方はまだ空いている状態だ。
龍は黒鳥響士郎がどんな男かよく観察したかったので、先頭からやや後ろの席に座ることにするが――。
(あっ!)
龍は目を見開いた。
真ん中からやや右側の席に青いベレー帽を被った男がいる。
その男には見覚えがある龍は急いで話しかけた。
「騎士田浪漫先生じゃないですか!」
「ッ! き、君は確か……」
男の名は騎士田浪漫。
職業は漫画家、古田島の本の表紙デザインをした人物。
また読物マルシェでは画集を出品し、龍はその幻想的なイラストに惚れこみ購入したことを覚えているだろう。
「阿久津川君だったかな。君は黒鳥響士郎の講演を聞きに来たのかね」
「え、ええ……」
「ふっ……古田島さんの知り合いであるから、君も物書きということか。勉強熱心なことだ」
「それより、漫画家の先生が何でここに?」
「ラノベ作家というものが、どんなものか見たくてね」
騎士田はラノベ作家を見たいから、この講演会に参加したのだという。
この漫画家はストギルのコミカライズを担当した過去を持ち、原作がエタったために仕事を失ったことがある。
それ以外にもトラブルがあったようだが、詳細は『第四十四筆 導かれし創作者達!』や『第五十七筆 彩り豊かな読物マルシェ!』を読んで欲しい。
つまり、この騎士田という漫画家はラノベ作家に怨みを持っているのだ。
そんな男が何故嫌いなラノベ作家の講演会を聞きに来たのだろうか。
「早く座れ。そこにいたら邪魔であるぞ、阿久津川龍太郎」
龍が不思議に思っていると、立ちっぱなしの龍に注意する者がいた。
その男は騎士田の席のやや後方に座り、片目は髪で隠れ、手には何故か指ぬきグラブをはめていた。
年齢は二十歳後半くらいだろうか、ガシャドクロの刺繡が縫い込まれたスカジャンを着ており、ある種独特の雰囲気を醸し出していた。
アクの強そうな個性――そんな男に龍は見覚えがあった。
「お、お前はーっ! 不破冬馬!」
「ほほう、私を覚えていてくれたようだな」
「あんたが何故ここに……」
忘れるはずがない。
名は不破冬馬、こいつも詳細は『第三十筆 その名は不破、生ける屍作家!』を読んで欲しいところだが、説明すると泰ちゃんの友人で書籍化作家だった男である。
拾い上げで自作が書籍化したまではいいが、色々とあってストギルのアンチに堕ち『生ける屍作家』としてこの世を彷徨っている。
そんなストギルアンチの不破が、現代ラノベの体現者たる黒鳥の講演会に参加していた。
「そんなことはどうだっていいだろ、とりあえず座ったらどうだ」
「わ、わかっているよ」
不破に言われ、龍は席に座ることにした。
何か引っかかる感じはするが、今は席に座るしかない。
龍は騎士田に軽く会釈し、前列の空いている席まで移動する。
「よっこいしょういち」
座った場所は前から三番目の位置、特に意識はせずに何となく座った。
ここなら黒鳥の顔を見れるだろうという直感的なものだ。
だけども、定刻ではないので壇上にはまだ黒鳥の姿はいない。
(騎士田先生と不破……何故二人が……)
席に座った龍は心の中で問いながらも辺りを見渡す。
黒鳥の講演が始まる前から不穏な空気が流れていた。
「そういや、最近さアンチのヤツらが静かよね」
「いいことじゃない? あいつら、うるさかったしね」
「ホント、ホント! マジでウザかった!」
「あのまま、ピンクのバッタみたいに消えてくれないかな」
一番前の席には三十路越えたと思わしき女性二人が座っている。
一人は金髪のミディアムヘアで化粧は濃く、アイタタなウサ耳フード付きのトレーナーを着ていた。
そして、もう一人はショートカットでメガネをかけ、黒いドルマンカーテを羽織っている。
床に置いたカバンには、アニメのキャラクターグッズらしきラバーキーホルダーや缶バッチをつけていた。
二人ともあまり裕福層には見えないが、それなりの清潔感はあるがオタク的なファッションであった。
「それよりさ! 黒鳥先生の講演楽しみね! サクリンちゃん!」
「そうねカーミラちゃん! まうざりっと様も来るしね!」
(こ、こいつらが……! しかもアニメ声!)
龍は思いがけず「よう! 打ち切り作家ども!」と呼びかけそうになった。
この二人こそが『カーミラのエビ餃子』と『サクリンころも』のグラトニーズ。
真異世界令嬢教の教徒であり、狂信者。
まさか、こんなところでリアルのお二人に会えるなんて龍は思わなかった。
リアルなグラトニーズのご尊顔、そんな彼女らの登場に驚く龍であるが――。
「けっ!」
ネガティブな感動詞が聞こえた。
場所は左端の席からだ。
「な、なんじゃ、あの人……」
龍はついつい本音がポロリと出た。
舌打ちした人物の体はデカく、筋肉質のマッチョマン。
この冬場なのに半袖の白いTシャツを着ており、Tシャツには『オレンジプロレス』と書かれていた。
顔はルチャリブレの白いマスクで覆っており、講演参加者の中で一番の異質を放っていた。
(この講演会、一体どうなるんだよ!)
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