19 / 123
脱出編
19 私と垣間見る異世界事情
しおりを挟む
自分がやらかした数々の無礼な行動を考えて、身動きがとれないままヴェインさんと見つめ合うこと数秒。
ヴェインさんは、耐えられないとでも言うように、両手で顔を覆って弱々しく言った。
「ごめんな……。俺、硬くて……。それに、臭いだろう?すまない。だが、目の前で小さく震えるシズから離れたくなくて……。考えた結果、寝苦しいとは思ったが、膝枕をだな……」
「そっ、そんな事ないです!!確かに硬いとは思いましたけど、好きです!!」
「す、好き!!えっ、俺?えっ?」
「はい。シトラス系の好きな匂いだと思いました!!臭くないです!!」
「あっ、そう……。匂いが好きなんだね……。匂いが……」
「?」
臭くなんて無かったと、力説したつもりが何故かヴェインさんは少しがっかりした様な沈んだ声を出していた。
あれ?伝わらなかったかな?
「ヴェインさん(の匂い)好きです」
あっ、今度は伝わったみたいかな?ちょっと嬉しそうな顔になってる。
うんうん。イケメンは沈んだ顔よりもそう言った明るい表情が良いと思うよ。
そんなことを考えていると、呆れたようなアーくんの声がした。
「兄様……、匂いのことですからね……。はぁ。それよりも、いい加減兄様の膝枕から退いてください。そんなに、膝枕されたいなら、僕が……、兄様よりも少しは硬さはないと……、ってそうではなく。ゴホン!!落ち着いたなら、きちんと説明をしてください」
アーくんから言われたことで、まだ膝枕状態だったことを思い出して慌ててヴェインさんの膝枕から転がり落ちた。
転がり落ちた低姿勢のまま、再びの謝罪。これまた土下座で。
「ヴェインさんごめんなさい。また大泣きした上に、膝まで貸してもらって!!」
「いいさ。それよりも……」
「はい。きちんと説明させて―――」
「いや、その前に風呂を借りよう」
「はい。お風呂を―――?お風呂?」
「ああ。貸してくれるんだろ?」
「はい……。えっ?でも?え?」
覚悟を決めて今までのことを二人に話そうとした私は、出端をヴェインさんに見事に挫かれていた。
混乱する私に、何故かヴェインさんは恥ずかしそうに言った。
「シズは、俺に気を使って臭くないと言ってくれたが、俺とアークは確かに汚れている。できれば身綺麗にした上で話を聞きたいと思うんだ。いいかな?」
ヴェインさんの申し出に頷いてから、二人をお風呂に案内した。
「えっと、使い方は大丈夫だとは思いまずが……。一応軽く説明しますね」
そう言ってから、脱衣所、内風呂、露天風呂の順番で軽く説明をする。
「えっと、ここは脱衣所です。この棚の中にある籠に服とか入れてください。でも、今回は二人の服を洗濯するので、脱いだ服はあっちの籠にお願いします。それと、あそこの鏡の前にあるドライヤーは好きに使ってくださいね。それで―――」
「ちょっ、待て待て。待ってください。シズ、ドライヤーとはなんですか?」
「えっ?髪を乾かす道具ですよ?」
私は、それがなにか?って感じながらも、ドライヤーを実際に使ってみせた。温風をアーくんに向けると驚いた表情をした後に、何故か諦めたように言った。
「はぁ。今はいいです。今は……」
「それならよかったです?それじゃ、次に内風呂ですけど、分かっているとは思いますが、最初に洗い場で体を洗ってから湯に浸かってくださいね。それと、シャンプーとコンディショナーとボディーソープは、私が使っているものを使ってくだい。シャワーは、こっちを捻るとお湯が出て、こっちを捻ると水が出るので―――」
「シズ!!待って、待ってください!シャン?コン?何ですそれは?なにかの呪文ですか?それに、お湯が出る?何のことです?湯に浸かるだと?そんなもったいないことできるか!」
「え?」
こんなところでまさかの異世界ギャップとでも言うような事実がボコボコ出てきていた。
アーくんの口ぶりだと異世界にお風呂ってないの?
えっ、でもさっきヴェインさんお風呂借りたいって……、え?
「えっと……。シャンプーが髪を洗う洗髪剤で、コンディショナーは髪の毛の表面を保護して、キューティクルを―――」
そこまで説明したところで、二人がちんぷんかんぷんだという表情をしていたことに気がついたため、説明をさらに簡単に端折った。
「えっと、洗った後の髪を整えるものです。それと、ボディーソープは、体を洗う液体石鹸と考えてください。シャワーは、このホースに付いている部品からお湯とか水がでる道具です。お湯は、沢山あるので遠慮なく使ってくださいね」
分かってくれたか心配で二人の顔色を伺いながらそう説明した。なんとなく伝わったみたいで、二人は微妙な表情だったけど私の説明に頷いてくれた。
「露天風呂はあの引き戸の奥です。体を洗った後でしたら、好きな方に入ってくれて構いません。それと、洗濯中着ていただくものが無いので、バスローブを置いておくのでそれで我慢してください」
そう言って、二人を見ると無言で頷いてくれた。
私は、二人にバスタオルと体を洗うためのタオルを渡してお風呂場を後にした。
二人が、お風呂に入っている間にやることがあるから、私は急いでリビングで作業することにした。
まずは、アイテムリストから数種類の布と糸を出す。次に、裁縫師のスキルから型紙のリストを表示させた。
以前、JOBレベルを上げるために色々作った中から、男性用のシャツとズボンと下着の型を選んだ。
それぞれの型を2つずつ用意してから、大体のサイズを登録していく。
それが終わったら、出しておいた布と糸を型紙の上にセットする。
次に、スキルで裁断とオートミシンをしたら一式完成!
急いで作ったから、簡単な白いシャツと紺のズボン。普通の白い下着だったけど、もし二人が気に入ってくれたらもう少し手間をかけて作ろう。
そんなことを考えていると、リビングにバスローブ姿のヴェインさんとアーくんが現れた。
ヴェインさんは、耐えられないとでも言うように、両手で顔を覆って弱々しく言った。
「ごめんな……。俺、硬くて……。それに、臭いだろう?すまない。だが、目の前で小さく震えるシズから離れたくなくて……。考えた結果、寝苦しいとは思ったが、膝枕をだな……」
「そっ、そんな事ないです!!確かに硬いとは思いましたけど、好きです!!」
「す、好き!!えっ、俺?えっ?」
「はい。シトラス系の好きな匂いだと思いました!!臭くないです!!」
「あっ、そう……。匂いが好きなんだね……。匂いが……」
「?」
臭くなんて無かったと、力説したつもりが何故かヴェインさんは少しがっかりした様な沈んだ声を出していた。
あれ?伝わらなかったかな?
「ヴェインさん(の匂い)好きです」
あっ、今度は伝わったみたいかな?ちょっと嬉しそうな顔になってる。
うんうん。イケメンは沈んだ顔よりもそう言った明るい表情が良いと思うよ。
そんなことを考えていると、呆れたようなアーくんの声がした。
「兄様……、匂いのことですからね……。はぁ。それよりも、いい加減兄様の膝枕から退いてください。そんなに、膝枕されたいなら、僕が……、兄様よりも少しは硬さはないと……、ってそうではなく。ゴホン!!落ち着いたなら、きちんと説明をしてください」
アーくんから言われたことで、まだ膝枕状態だったことを思い出して慌ててヴェインさんの膝枕から転がり落ちた。
転がり落ちた低姿勢のまま、再びの謝罪。これまた土下座で。
「ヴェインさんごめんなさい。また大泣きした上に、膝まで貸してもらって!!」
「いいさ。それよりも……」
「はい。きちんと説明させて―――」
「いや、その前に風呂を借りよう」
「はい。お風呂を―――?お風呂?」
「ああ。貸してくれるんだろ?」
「はい……。えっ?でも?え?」
覚悟を決めて今までのことを二人に話そうとした私は、出端をヴェインさんに見事に挫かれていた。
混乱する私に、何故かヴェインさんは恥ずかしそうに言った。
「シズは、俺に気を使って臭くないと言ってくれたが、俺とアークは確かに汚れている。できれば身綺麗にした上で話を聞きたいと思うんだ。いいかな?」
ヴェインさんの申し出に頷いてから、二人をお風呂に案内した。
「えっと、使い方は大丈夫だとは思いまずが……。一応軽く説明しますね」
そう言ってから、脱衣所、内風呂、露天風呂の順番で軽く説明をする。
「えっと、ここは脱衣所です。この棚の中にある籠に服とか入れてください。でも、今回は二人の服を洗濯するので、脱いだ服はあっちの籠にお願いします。それと、あそこの鏡の前にあるドライヤーは好きに使ってくださいね。それで―――」
「ちょっ、待て待て。待ってください。シズ、ドライヤーとはなんですか?」
「えっ?髪を乾かす道具ですよ?」
私は、それがなにか?って感じながらも、ドライヤーを実際に使ってみせた。温風をアーくんに向けると驚いた表情をした後に、何故か諦めたように言った。
「はぁ。今はいいです。今は……」
「それならよかったです?それじゃ、次に内風呂ですけど、分かっているとは思いますが、最初に洗い場で体を洗ってから湯に浸かってくださいね。それと、シャンプーとコンディショナーとボディーソープは、私が使っているものを使ってくだい。シャワーは、こっちを捻るとお湯が出て、こっちを捻ると水が出るので―――」
「シズ!!待って、待ってください!シャン?コン?何ですそれは?なにかの呪文ですか?それに、お湯が出る?何のことです?湯に浸かるだと?そんなもったいないことできるか!」
「え?」
こんなところでまさかの異世界ギャップとでも言うような事実がボコボコ出てきていた。
アーくんの口ぶりだと異世界にお風呂ってないの?
えっ、でもさっきヴェインさんお風呂借りたいって……、え?
「えっと……。シャンプーが髪を洗う洗髪剤で、コンディショナーは髪の毛の表面を保護して、キューティクルを―――」
そこまで説明したところで、二人がちんぷんかんぷんだという表情をしていたことに気がついたため、説明をさらに簡単に端折った。
「えっと、洗った後の髪を整えるものです。それと、ボディーソープは、体を洗う液体石鹸と考えてください。シャワーは、このホースに付いている部品からお湯とか水がでる道具です。お湯は、沢山あるので遠慮なく使ってくださいね」
分かってくれたか心配で二人の顔色を伺いながらそう説明した。なんとなく伝わったみたいで、二人は微妙な表情だったけど私の説明に頷いてくれた。
「露天風呂はあの引き戸の奥です。体を洗った後でしたら、好きな方に入ってくれて構いません。それと、洗濯中着ていただくものが無いので、バスローブを置いておくのでそれで我慢してください」
そう言って、二人を見ると無言で頷いてくれた。
私は、二人にバスタオルと体を洗うためのタオルを渡してお風呂場を後にした。
二人が、お風呂に入っている間にやることがあるから、私は急いでリビングで作業することにした。
まずは、アイテムリストから数種類の布と糸を出す。次に、裁縫師のスキルから型紙のリストを表示させた。
以前、JOBレベルを上げるために色々作った中から、男性用のシャツとズボンと下着の型を選んだ。
それぞれの型を2つずつ用意してから、大体のサイズを登録していく。
それが終わったら、出しておいた布と糸を型紙の上にセットする。
次に、スキルで裁断とオートミシンをしたら一式完成!
急いで作ったから、簡単な白いシャツと紺のズボン。普通の白い下着だったけど、もし二人が気に入ってくれたらもう少し手間をかけて作ろう。
そんなことを考えていると、リビングにバスローブ姿のヴェインさんとアーくんが現れた。
207
あなたにおすすめの小説
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について
みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編)
異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。
それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。
そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!?
R4.6.5
なろうでの投稿を始めました。
最初から勘違いだった~愛人管理か離縁のはずが、なぜか公爵に溺愛されまして~
猪本夜
恋愛
前世で兄のストーカーに殺されてしまったアリス。
現世でも兄のいいように扱われ、兄の指示で愛人がいるという公爵に嫁ぐことに。
現世で死にかけたことで、前世の記憶を思い出したアリスは、
嫁ぎ先の公爵家で、美味しいものを食し、モフモフを愛で、
足技を磨きながら、意外と幸せな日々を楽しむ。
愛人のいる公爵とは、いずれは愛人管理、もしくは離縁が待っている。
できれば離縁は免れたいために、公爵とは友達夫婦を目指していたのだが、
ある日から愛人がいるはずの公爵がなぜか甘くなっていき――。
この公爵の溺愛は止まりません。
最初から勘違いばかりだった、こじれた夫婦が、本当の夫婦になるまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる