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第一話 英雄養成学校の編入生
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通称、英雄養成学校。
ここは、貴族、平民、誰もが十六歳から入学が許される少し特殊な学校だ。
文武に優れた優秀な人材を育てるのを目的としている。
学校は三科に分かれており、貴族が所属している貴族科。
下級貴族と平民が所属する一般科。
そして、二科の中でも優秀なものが集められた英雄科の三科だ。
今日、英雄科にひとりの少女が編入をしてきた。
彼女の名前は、ラヴィリオラ・アークスといった。
ラヴィリオラは、アークス子爵家の末の娘だったが、他家には知られないように隠されるようにしてこれまで過ごしてきた。
べつに家族から疎まれているとかそういう事情は一切ない。
ラヴィリオラは、家族からそれはそれは大切にされていた。
それはもう、ラヴィリオラがうざいと思うほどにだ。
過保護すぎる家族だったが、嫌いではなかったが、ただそれだけだった。
それよりも、ラヴィリオラの興味を誘うものがあったのだ。
それは、冒険者という職業だ。
ラヴィリオラは、他と比べられないくらいの魔力を秘めたいたことで、幼い時から大人顔負けの力を自在に振るう、変わった子供だった。
だからといって、力に溺れることも無く、淡々と自分の能力を磨くストイックさがあるだけの無害な存在とされていたのだ。
つまり、自分に興味のあることにしか反応しない、それ以外には無気力でやる気のない性格をしていた。
そんなラヴィリオラは、カッツォというこの学校の教師にスカウトされて今ここにいるのだが、これはとても珍しいことだった。
ラヴィリオラは、好きなことをして自由に過ごしているときに、偶然出会ったカッツォに「君! 凄い才能がある……気がする! 是非に我が学校で学んでみないか!! 君が編入することで学校もさらに良くなる気がするよ!!」と、熱烈に勧誘されたのだ。
カッツォにそう言われたときに、正直面倒と思い断ろうとしたが、英雄養成学校の蔵書が珍しいと聞いたことを思い出したラヴィリオラは、気まぐれで編入を受け入れる。
これが、ラヴィリオラの人生の第二のターニングポイントになったことを知るのは、すぐのことだ。
現在生活の拠点になっている家を知人に任せたラヴィリオラは、王都にある英雄養成学校に何の期待も持たずに編入を果たす。
英雄科でのあいさつは簡単なものだった。
「えー、みなさぁん。今日からこのクラスで一緒にお勉強をする、ラヴィリオラさんでぇす。なかよくしてねぇ」
間延びした話し方の大柄な女性の担任の紹介の後、ラヴィリオラは簡単に自己紹介をする。
「ラヴィリオラだ。今日からよろしく頼む」
簡単すぎる挨拶に対しての反応は皆無だった。
クラスの殆どが貴族だったこともあり、家名を名乗らなかった時点で、ほとんどのクラスメイトがラヴィリオラを下に見たのだ。
担任には好きなところに座るように言われたラヴィリオラは、教室を見回して、一瞬だけ視線を止めたがすぐにそれを逸らしていた。
廊下側の後ろの席が空いているなと思ったラヴィリオラが階段状になっている教室をゆっくりと歩く。
敢えて小さな足音をたてて机の間を歩いていると、愚か者がさっそく顔を出した。
ラヴィリオラの歩みを妨害するように出された足。
ラヴィリオラは、何もなかったかのようにひらりとかわし、後方の席に座る。
小さな舌打ちが聞こえたが、そんなことはどうでもよかった。
ラヴィリオラは席に座った後、目を閉じる。
担任がホームルームを終え、教室を出て教科担当教諭が入れ替わり入ってきても、そんなことはどうでもよかった。
教室の窓側の後方の席。
金色の髪の生徒のことが頭から離れなかった。
一瞬だけ視線が合った気がしたが、ラヴィリオラはすぐに逸らしてしまっていた。
ちらちらと彼を覗き見たくなる衝動を堪えて、ひたすら目を閉じて時間をやり過ごす。
一時間目の授業が終わるのを待っていたラヴィリオラは、すぐに教室を飛び出す。
瞬間移動したと思えるほどのスピードに、クラスの誰一人としてラヴィリオラがいなくなったことを気づけないほどだった。
教室を飛び出し、まだ誰も出てきていない廊下を音速で移動したラヴィリオラは、屋上で大きく息を吐く。
顔を両手で覆い、走ったのとは別の呼吸の荒さで悶絶する。
「い……いた! 彼だ!! 彼がいた!! 来てよかった! 嬉しい!!」
叫びだしたい衝動を何とか両手の中で吐き出すことで落ち着けた。
先ほどまでの興味がなさそうな、つまらなそうな顔が嘘のようにラヴィリオラは顔を赤くさせていた。
ぐっと小さな拳を握り、興奮した様子で小さく足踏みをする。
その度に揺れる艶やかな青銀の髪、潤んだ緑色の瞳。
色白の肌は赤く染まり、ラヴィリオラを年頃の少女に見せた。
人形のように綺麗な顔に普段は見せない満面の笑みを浮かべたラヴィリオラは、拳を空に向かって突き出す格好で宣言した。
「今度は絶対に彼の名前を聞く!!」
そう宣言したラヴィリオラは、その場で華麗にターンを決めていた。
「よし! そうと決まったら……。情報収集だ」
そう呟いたラヴィリオラは、屋上から飛び降りながら気配を消していた。
外壁に張り付き中の様子を窺う。
今、ラヴィリオラが張り付いている場所は、自分のクラスの後方の窓の下だった。
クラスメイトの雑談の中に目当ての会話を探すが、すぐにクラス中が静かになってしまう。
ちっ、と舌打ちをしたラヴィリオラは、入ってきた間の悪い教科担当の教諭に殺気を飛ばしてしまう。
尋常ではない寒気に教材を落とした教諭だったが、青い顔をしながらも授業を進める。
そんな中で、教科担当教諭がとある生徒を指す。
「次、ゾーシモス君」
「はい」
窓からこっそり中を見ていたラヴィリオラは、先ほどまで射殺さんばかりに殺気を送っていた教諭に親指を心の中で立てていた。
知りたかった人の名前だけではなく、声も聞けたことにラヴィリオラは、感激する。
低く優しい声音にうっとりとしていると、ラヴィリオラの神経を逆なでる声がしたのだ。
「せんせー、こいつになんて答えられるわけないじゃないですかぁ」
不愉快な声に続いて、更に不愉快な笑いがクラス中に響いたのだ。
あまりの不愉快さに、触れていた外壁にヒビを入れてしまったが、そんなことはどうでもよかった。
今喋った男と、それに続いて笑った声の主たちに殺気を送ろうとしたが、寸前でそれを止めた。
「北部協定です」
その声にクラスは静かになっていた。
「はい。正解です。皆さん、今のところテストにでますから、ちゃんと覚えていくように」
教諭がそう言ったところで終業の鐘が鳴った。
「はい。では今日はここまでですね」
そう言った後、教諭はさっさと教室を出て行く。
「くそっ」
耳障りな声がそう言ったのを聞いたラヴィリオラは、つい手に力が入ってしまう。
ボロッ。
壁面の一部が凹んでしまったが、今はそれどころではなかった。
そして、ゾーシモスと呼ばれた人の事情を知ったラヴィリオラは、静観せざるを得ない状況へ陥ることとなるのだ。
ここは、貴族、平民、誰もが十六歳から入学が許される少し特殊な学校だ。
文武に優れた優秀な人材を育てるのを目的としている。
学校は三科に分かれており、貴族が所属している貴族科。
下級貴族と平民が所属する一般科。
そして、二科の中でも優秀なものが集められた英雄科の三科だ。
今日、英雄科にひとりの少女が編入をしてきた。
彼女の名前は、ラヴィリオラ・アークスといった。
ラヴィリオラは、アークス子爵家の末の娘だったが、他家には知られないように隠されるようにしてこれまで過ごしてきた。
べつに家族から疎まれているとかそういう事情は一切ない。
ラヴィリオラは、家族からそれはそれは大切にされていた。
それはもう、ラヴィリオラがうざいと思うほどにだ。
過保護すぎる家族だったが、嫌いではなかったが、ただそれだけだった。
それよりも、ラヴィリオラの興味を誘うものがあったのだ。
それは、冒険者という職業だ。
ラヴィリオラは、他と比べられないくらいの魔力を秘めたいたことで、幼い時から大人顔負けの力を自在に振るう、変わった子供だった。
だからといって、力に溺れることも無く、淡々と自分の能力を磨くストイックさがあるだけの無害な存在とされていたのだ。
つまり、自分に興味のあることにしか反応しない、それ以外には無気力でやる気のない性格をしていた。
そんなラヴィリオラは、カッツォというこの学校の教師にスカウトされて今ここにいるのだが、これはとても珍しいことだった。
ラヴィリオラは、好きなことをして自由に過ごしているときに、偶然出会ったカッツォに「君! 凄い才能がある……気がする! 是非に我が学校で学んでみないか!! 君が編入することで学校もさらに良くなる気がするよ!!」と、熱烈に勧誘されたのだ。
カッツォにそう言われたときに、正直面倒と思い断ろうとしたが、英雄養成学校の蔵書が珍しいと聞いたことを思い出したラヴィリオラは、気まぐれで編入を受け入れる。
これが、ラヴィリオラの人生の第二のターニングポイントになったことを知るのは、すぐのことだ。
現在生活の拠点になっている家を知人に任せたラヴィリオラは、王都にある英雄養成学校に何の期待も持たずに編入を果たす。
英雄科でのあいさつは簡単なものだった。
「えー、みなさぁん。今日からこのクラスで一緒にお勉強をする、ラヴィリオラさんでぇす。なかよくしてねぇ」
間延びした話し方の大柄な女性の担任の紹介の後、ラヴィリオラは簡単に自己紹介をする。
「ラヴィリオラだ。今日からよろしく頼む」
簡単すぎる挨拶に対しての反応は皆無だった。
クラスの殆どが貴族だったこともあり、家名を名乗らなかった時点で、ほとんどのクラスメイトがラヴィリオラを下に見たのだ。
担任には好きなところに座るように言われたラヴィリオラは、教室を見回して、一瞬だけ視線を止めたがすぐにそれを逸らしていた。
廊下側の後ろの席が空いているなと思ったラヴィリオラが階段状になっている教室をゆっくりと歩く。
敢えて小さな足音をたてて机の間を歩いていると、愚か者がさっそく顔を出した。
ラヴィリオラの歩みを妨害するように出された足。
ラヴィリオラは、何もなかったかのようにひらりとかわし、後方の席に座る。
小さな舌打ちが聞こえたが、そんなことはどうでもよかった。
ラヴィリオラは席に座った後、目を閉じる。
担任がホームルームを終え、教室を出て教科担当教諭が入れ替わり入ってきても、そんなことはどうでもよかった。
教室の窓側の後方の席。
金色の髪の生徒のことが頭から離れなかった。
一瞬だけ視線が合った気がしたが、ラヴィリオラはすぐに逸らしてしまっていた。
ちらちらと彼を覗き見たくなる衝動を堪えて、ひたすら目を閉じて時間をやり過ごす。
一時間目の授業が終わるのを待っていたラヴィリオラは、すぐに教室を飛び出す。
瞬間移動したと思えるほどのスピードに、クラスの誰一人としてラヴィリオラがいなくなったことを気づけないほどだった。
教室を飛び出し、まだ誰も出てきていない廊下を音速で移動したラヴィリオラは、屋上で大きく息を吐く。
顔を両手で覆い、走ったのとは別の呼吸の荒さで悶絶する。
「い……いた! 彼だ!! 彼がいた!! 来てよかった! 嬉しい!!」
叫びだしたい衝動を何とか両手の中で吐き出すことで落ち着けた。
先ほどまでの興味がなさそうな、つまらなそうな顔が嘘のようにラヴィリオラは顔を赤くさせていた。
ぐっと小さな拳を握り、興奮した様子で小さく足踏みをする。
その度に揺れる艶やかな青銀の髪、潤んだ緑色の瞳。
色白の肌は赤く染まり、ラヴィリオラを年頃の少女に見せた。
人形のように綺麗な顔に普段は見せない満面の笑みを浮かべたラヴィリオラは、拳を空に向かって突き出す格好で宣言した。
「今度は絶対に彼の名前を聞く!!」
そう宣言したラヴィリオラは、その場で華麗にターンを決めていた。
「よし! そうと決まったら……。情報収集だ」
そう呟いたラヴィリオラは、屋上から飛び降りながら気配を消していた。
外壁に張り付き中の様子を窺う。
今、ラヴィリオラが張り付いている場所は、自分のクラスの後方の窓の下だった。
クラスメイトの雑談の中に目当ての会話を探すが、すぐにクラス中が静かになってしまう。
ちっ、と舌打ちをしたラヴィリオラは、入ってきた間の悪い教科担当の教諭に殺気を飛ばしてしまう。
尋常ではない寒気に教材を落とした教諭だったが、青い顔をしながらも授業を進める。
そんな中で、教科担当教諭がとある生徒を指す。
「次、ゾーシモス君」
「はい」
窓からこっそり中を見ていたラヴィリオラは、先ほどまで射殺さんばかりに殺気を送っていた教諭に親指を心の中で立てていた。
知りたかった人の名前だけではなく、声も聞けたことにラヴィリオラは、感激する。
低く優しい声音にうっとりとしていると、ラヴィリオラの神経を逆なでる声がしたのだ。
「せんせー、こいつになんて答えられるわけないじゃないですかぁ」
不愉快な声に続いて、更に不愉快な笑いがクラス中に響いたのだ。
あまりの不愉快さに、触れていた外壁にヒビを入れてしまったが、そんなことはどうでもよかった。
今喋った男と、それに続いて笑った声の主たちに殺気を送ろうとしたが、寸前でそれを止めた。
「北部協定です」
その声にクラスは静かになっていた。
「はい。正解です。皆さん、今のところテストにでますから、ちゃんと覚えていくように」
教諭がそう言ったところで終業の鐘が鳴った。
「はい。では今日はここまでですね」
そう言った後、教諭はさっさと教室を出て行く。
「くそっ」
耳障りな声がそう言ったのを聞いたラヴィリオラは、つい手に力が入ってしまう。
ボロッ。
壁面の一部が凹んでしまったが、今はそれどころではなかった。
そして、ゾーシモスと呼ばれた人の事情を知ったラヴィリオラは、静観せざるを得ない状況へ陥ることとなるのだ。
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