3 / 10
殿下……。最低です
しおりを挟む
その日から、カウレス様の想い人のためのドレス作りが始まった。
ドレス作りのために、カウレス様にその想い人の好みを伺ったんだけど、カウレス様はこう言ったのよ。
「贈るドレスは既にパターンも刺繍も宝石もすべて決まっている」
まさかのセリフにわたしは困惑したわ。
だって、そこまで決まっていたらわたしがお手伝いする余地が無いんだもの。
だから、カウレス様に聞いたの。
「あのぅ。そこまで決まっているのでしたら、私がお手伝いする必要性を感じないのですが……」
「あるに決まっている。俺の想い人は胸がでかい。だからお前が仮縫いや本縫いの時に必要なんだ」
「は、へ?」
「俺が愛してやまない女は、胸がでかいと言ったんだ。そう、ちょうどお前くらいの胸の大きさだ」
そう言って、カウレス様はわたしの無駄にデカイ胸を指差したのだ。
わたしは、とっさに胸の前で腕をクロスして身を守るような体制で、カウレス様を睨みつけていた。
「殿下……。最低です」
「ふん。そういう訳で、お前がドレスを試着して着心地を確かめるんだ」
あまりの言葉にちょっとだけ涙が出そうになったよ。
恋心を自覚した途端、恋した人から、別の相手のためのドレスの試着を頼まれるなんて。
こうなったら、ちょっとだけ意地悪してもいいよね?
「分かりました。ですが、そういうことなら着心地の感想の他にもドレスのデザインにも口を出させていただきますからね?」
わたしがそう言うと、何故かカウレス様はとても美しい笑顔で言ったの。
「ああ、もちろんだ。要望があればどんどん言ってくれ」
こうして、別の人が着るドレスを作る手伝いが始まった。
カウレス様が決めたというデザインはとても素敵なものだった。
中でも背中が大きく空いていて、全体的なシルエットがとても美しかった。
これを着る人はきっと美しい人なんだろうと、つい見入ってしまった。
だけど、首元から胸、そして肩から手首にかけては肌が透けるくらい薄い生地で作られていたことが気になった。
あそこまで背中が空いているなら、いっそ肩も出して大胆に攻めたほうがいいと思えたのよ。
それに、試着はするけどわたしが着るわけではないドレスという思いからついつい口を出してしまった。
「折角、大胆に背中を空けているのですから、ここはいっそのこと首元と肩も出して、手にはロンググローブをした方が綺麗にまとまると思いますよ?」
「ふむ。なるほど、本当にいいんだな?」
「ええ。いいと思いますよ?」
「分かった。少しデザインを変更しよう」
くふふ。これを贈られたカウレス様の想い人はきっと、こんな破廉恥なドレスを贈られてびっくりすることでしょうね!!
カウレス様ざまぁです!!
その後も、ウエストのラインを綺麗に見せるために、敢えてウエスト周辺のフリルをなくしてシンプルにして、それでいてスカートがふんわりと広がるようなラインを作るようにペチコートを重ね履きして膨らませるということもした。
そして出来上がった、美しい純白のドレスは丸でウエディングドレスのようだった……。
ドレス作りのために、カウレス様にその想い人の好みを伺ったんだけど、カウレス様はこう言ったのよ。
「贈るドレスは既にパターンも刺繍も宝石もすべて決まっている」
まさかのセリフにわたしは困惑したわ。
だって、そこまで決まっていたらわたしがお手伝いする余地が無いんだもの。
だから、カウレス様に聞いたの。
「あのぅ。そこまで決まっているのでしたら、私がお手伝いする必要性を感じないのですが……」
「あるに決まっている。俺の想い人は胸がでかい。だからお前が仮縫いや本縫いの時に必要なんだ」
「は、へ?」
「俺が愛してやまない女は、胸がでかいと言ったんだ。そう、ちょうどお前くらいの胸の大きさだ」
そう言って、カウレス様はわたしの無駄にデカイ胸を指差したのだ。
わたしは、とっさに胸の前で腕をクロスして身を守るような体制で、カウレス様を睨みつけていた。
「殿下……。最低です」
「ふん。そういう訳で、お前がドレスを試着して着心地を確かめるんだ」
あまりの言葉にちょっとだけ涙が出そうになったよ。
恋心を自覚した途端、恋した人から、別の相手のためのドレスの試着を頼まれるなんて。
こうなったら、ちょっとだけ意地悪してもいいよね?
「分かりました。ですが、そういうことなら着心地の感想の他にもドレスのデザインにも口を出させていただきますからね?」
わたしがそう言うと、何故かカウレス様はとても美しい笑顔で言ったの。
「ああ、もちろんだ。要望があればどんどん言ってくれ」
こうして、別の人が着るドレスを作る手伝いが始まった。
カウレス様が決めたというデザインはとても素敵なものだった。
中でも背中が大きく空いていて、全体的なシルエットがとても美しかった。
これを着る人はきっと美しい人なんだろうと、つい見入ってしまった。
だけど、首元から胸、そして肩から手首にかけては肌が透けるくらい薄い生地で作られていたことが気になった。
あそこまで背中が空いているなら、いっそ肩も出して大胆に攻めたほうがいいと思えたのよ。
それに、試着はするけどわたしが着るわけではないドレスという思いからついつい口を出してしまった。
「折角、大胆に背中を空けているのですから、ここはいっそのこと首元と肩も出して、手にはロンググローブをした方が綺麗にまとまると思いますよ?」
「ふむ。なるほど、本当にいいんだな?」
「ええ。いいと思いますよ?」
「分かった。少しデザインを変更しよう」
くふふ。これを贈られたカウレス様の想い人はきっと、こんな破廉恥なドレスを贈られてびっくりすることでしょうね!!
カウレス様ざまぁです!!
その後も、ウエストのラインを綺麗に見せるために、敢えてウエスト周辺のフリルをなくしてシンプルにして、それでいてスカートがふんわりと広がるようなラインを作るようにペチコートを重ね履きして膨らませるということもした。
そして出来上がった、美しい純白のドレスは丸でウエディングドレスのようだった……。
33
あなたにおすすめの小説
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
【完結】初夜の晩からすれ違う夫婦は、ある雨の晩に心を交わす
春風由実
恋愛
公爵令嬢のリーナは、半年前に侯爵であるアーネストの元に嫁いできた。
所謂、政略結婚で、結婚式の後の義務的な初夜を終えてからは、二人は同じ邸内にありながらも顔も合わせない日々を過ごしていたのだが──
ある雨の晩に、それが一変する。
※六話で完結します。一万字に足りない短いお話。ざまぁとかありません。ただただ愛し合う夫婦の話となります。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中です。
夫婦の恋は結婚のあとに 〜二度目の初夜とクリスマスの贈り物〜
出 万璃玲
恋愛
「エーミル、今年はサンタさんに何をお願いするの?」
「あのね、僕、弟か妹が欲しい!」
四歳の息子の純真無垢な願いを聞いて、アマーリアは固まった。愛のない結婚をした夫と関係を持ったのは、初夜の一度きり。弟か妹が生まれる可能性は皆無。だが、彼女は息子を何よりも愛していた。
「愛するエーミルの願いを無下にするなんてできない」。そう決意したアマーリアは、サンタ……もとい、夫ヴィンフリートに直談判する。
仕事人間でほとんど家にいない無愛想な夫ヴィンフリート、はじめから結婚に期待のなかった妻アマーリア。
不器用な夫婦それぞれの想いの行方は、果たして……?
――政略結婚からすれ違い続けた夫婦の、静かな「恋のやり直し」。
しっとりとした大人の恋愛と、あたたかな家族愛の物語です。
(おまけSS含め、約10000字の短編です。他サイト掲載あり。表紙はcanvaを使用。)
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
元の世界に戻るなんて聞いてない!
バナナマヨネーズ
恋愛
アメジシスト王国には、あまり知られていない恐ろしい呪いがあった。
それは【魔女の嫉妬】というもので、莫大な魔力を持ち、美しい容姿の女性を醜い姿にかえてしまう、恐ろしい呪いだった。
イグニシス公爵家の次女として生まれたレインはその呪いに掛かっていた。この呪いのせいで、周囲の者に冷笑され、嘲笑われていた。
しかしレインは、優しくも温かい家族に支えられて穏やかに暮らしていた。そして、婚約者となった第二王子を大切に思うようになって行った。
だが、世界はとても残酷だった。
レインを愛する家族は、レインに残酷仕打ちをする世界に耐えきれなかった。だから、家族全員でこの世界から姿を消すことにした。
この物語は、呪いに掛かったレインが彼女を愛する人と幸せになるまでのお話。
※小説家になろう様で連載していた作品を加筆修正したものです。
※世界観ですが、「妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。」と同じ国ですが、それよりも昔の時代のお話です。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
これは王命です〜最期の願いなのです……抱いてください〜
涙乃(るの)
恋愛
これは王命です……抱いてください
「アベル様……これは王命です。触れるのも嫌かもしれませんが、最後の願いなのです……私を、抱いてください」
呪いの力を宿した瞳を持って生まれたサラは、王家管轄の施設で閉じ込められるように暮らしていた。
その瞳を見たものは、命を落とす。サラの乳母も母も、命を落としていた。
希望のもてない人生を送っていたサラに、唯一普通に接してくれる騎士アベル。
アベルに恋したサラは、死ぬ前の最期の願いとして、アベルと一夜を共にしたいと陛下に願いでる。
自分勝手な願いに罪悪感を抱くサラ。
そんなサラのことを複雑な心境で見つめるアベル。
アベルはサラの願いを聞き届けるが、サラには死刑宣告が……
切ない→ハッピーエンドです
※大人版はムーンライトノベルズ様にも投稿しています
後日談追加しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる