緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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闇食い

#1

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 私は、とあるIT関連の企業に勤めており、担当は、案件専門の事務員だ。
 仕事自体は、九時で始まるのだが、それでは、私の仕事は、間に合わない。
そのため、私は8時過ぎ頃に出社するのが、定番となっていた。
何分、担当が二人しか居ないうえ、もう一人は別の仕事も兼任している為、実質、一人で回している様な状態だった。
 更に、追い打ちをかける様に、通勤時間が、バスと電車を乗り継ぎ、片道二時間と少し…。
 家に着くころには、深夜近くになる為、近所のスーパーは、軒並み閉店準備を始めている頃だ。
 だから最近は、仕事が忙しく、自宅には、文字通り、寝に帰っている様なものだった。
 そんな生活を、半年以上続けていれば、身体にも異変が現れるもので、ほとほと困っていた。
 以前の私は、座っては寝れない質で、必ず横にならないと、眠れない。
 そうなれば、当然、電車や車と言った、乗り物でも眠ることは、出来ない。だから、夜行バスは苦手だった。
 だが最近は、電車の中であろうと、バスの中であろうと、眠りに落ちてしまう事が増えた…。いや、ここ直近は、ほぼ毎日だ。
 それ程、疲れているという事なのだろう…。

 そして、今日も今日とて、疲れ切った身体で家路に着いた。
 一時間半、電車に揺られ、やっと最寄りの駅に着いたのは、21時46分だった。そこから、バスに乗り込み、30分ほど、また揺られる。
 その、揺られ方が今の私には、とても心地が良かった…。
 私は、バスが動き出した途端、気を失う様に眠りこけた…。
 体感的に、20分程すぎた頃だろうか…。そろそろ、降りねばと思い、私は思い瞼を持ち上げた。
 案の定、残り数分で目的のバス停に着く。後は、ベッドに身体を預けるだけ。いつもなら、それが待ち遠しくて仕方がなかったが、今回は、違った。
 バスの中には、私と運転手以外、誰もいないのだ…。いつもなら、少なからず、何人かの仕事帰りのサラリーマンや、遊び帰りの学生が、ちらほら居るのだが、今日は、それが見当たらない…。
 ここに越して、暫く経つが、こんな経験は、初めてだった。
 バスはやがて、停留所に着き、私はボタンを押し、下車した。
 静かだった。
 元々、閑静な住宅地ではあったが、ここまで車通りが無く、人っ子一人歩いていないのは、異様な風景だった…。
 こういうこともあるのか…。
 そう、自分に言い聞かせ、自宅に向かって、歩き出した。
 道路を渡れば、直ぐのところにある、集合住宅なのだが、この道、こんなに遠かったっけ?
 私は、街灯が照らす夜道を歩いて行った…。
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