緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#15

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 応接室の扉を開け、廊下の方を、覗いた。だが、怪しい物や、落下物と言う様なものは、視認できない。
 「階段の裏か?」
 寺井さんがそう言い、先陣を切り、廊下を突き進んだ。私と大谷も、それに続き、階段の方へと、向かった。
 階段の裏は、物置部屋になっており、清掃用具やガーデニング用品などが、置かれていた。
 だが、何か、倒れていたり、棚からの落下物の痕跡は、なさそうだ。
 「どうやら、魔法使いの少年は、済んでいないようですね。」
 大谷が、そう呟いた。
 「馬鹿、あれは、映画や本の世界の話だ。」
 「冗談ですよ。」
 彼等がそう言い、物置部屋を後にした。私も、その後に続こうと、向き直った時、視界の端で、何かが光ったのが、見えた。
 私は、思わず、その方向を見た。だが、暗がりの所為もあり、光った物の正体が、分からなかった。仕方なく、スマホを、取り出し、改めて、物置部屋全体を照らした。すると、床に置いてあった、ブリキでできたバケツの陰で、何かが、光った。バケツを退け、出てきたものに、私は、驚愕し、他の2人を呼んだ。
 「どうした!」
 寺井さんが、駆け付けた。私は、出てきたものを指さした。
 「これ…ナイフか?」
 しかも、赤黒い、血の様な物が付着している。
 「ナイフと言えば、ご夫妻と、使用人が、刺されたて亡くなったと、言ってありましたね…。」
 大谷が、そう言った。
 「あぁ。だが、本物は、どれも、警察が押収している筈だ。だとしたら、これは、誰の…!」
 寺井さんは、驚いた様に、階段の方を見詰め、私たちの頭を掴み、無理やり、身を低くさせた。
 「静かに…。」
 
 ギシィ…ギシィ…。
 
階段が、急に軋み始めた。まるで、誰かが、ゆっくりと、降りてくる様な、そんな音だった。
 私は、今にも、声を、上げそうになったが、大谷が、私の口を塞ぎ、悲鳴を抑えた。
 
 コツン…コツン…コツン…。

 足音は、次第に大きくなり、遂には、廊下へと、降りた様だった。
 そして、遠ざかり、軋む何処かの扉を押し開け、バタリと、閉まる音が、廊下中に響いた。
 大谷の手がやっと放れ、やっと、口が開けた。
 「誰?今の…。」
 改めて言う。この建物には、今、私たちしか、居ない筈だ。さっきの音は、ネズミの可能性も、充分考えられるが、今の足音は、明らかに、人間だ。
 こんな埃が積もった屋敷に、一体誰が、居るというのだろうか…。
 「確かめるしかないだろ…。」
 流石の寺井さんも怯えているのか、少し声が、震えている…。
 私たちは、更に慎重に、廊下の方へと出た。
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