52 / 72
廃洋館
#32
しおりを挟む
邪悪な方…。私はてっきり、悪霊の様なイメージを抱いていたのだが…。今の彼女からは、恐怖心と言うものが、微塵も感じられない…。
「それで、邪悪な方のナツミさん。アンタ等は一体、どういった存在なんだ?」
『大体は、あの本に書かれている事が全てであり、真実でもあります。神格化した私の片割れは、力の使用や行動の“自由”を与えらえれ、邪悪な方は、絶対服従を命じられるが、力は主人の賭けた寿命によって、大きく左右される。
さっき、貴方が5年分賭けたときは、流石の私もヒヤリとしたが、余り無茶はしてくれるな…。」
それでさっきの、5年分…。納得がいった。5年分の寿命を、彼女に投資することによって、私たちを守ろうとしてくれた。寿命を減らされるというは、実感がわかないが、あの本の内容を理解できた大谷なら、そのリスクを把握できていた筈だ…。
だが一つ、気になる事が出てきた。
「その“主人”ていうのは、誰でも良いんですか?私はてっきり、貴女を召喚した人物の事かと思ってたんですが…。」
『その通りです。陣内さん。私は、私の主人にしか従いませんし、それ以外の人物が、詠唱したところで、力は発揮できません。』
「だったら、どうして…。」
もし、彼女が言っていることが正しいのであれば、辻褄が合わない…。
『それは、貴方が説明したらどうですか?もう気が付いている筈…。いえ、本当は最初から知っていたのではありませんか?兄さん?いや、あの人はもうこの世にはいない筈だっから、息子か孫と言った所か…。』
暫くの沈黙があった後、大谷が口を開いた。
「ナツミさんが言う、“兄さん”というのは、僕の父の事です…。この本を見たとき、思い出しました。父の部屋にも、全く同じものがあったことを…。」
『私にとっては、主人との血筋が濃ければ親子だろうが、孫だろが、たいして変わりありません…。』
「ちょっと待て。」
寺井さんが声を荒げた。
「お前、ひょっとして、全部知っていたんじゃねぇのか?この館の事も起きていた、不可思議な現象の事も…。」
私自身、大谷を信じていない訳では無い…。ただ、彼がこの館に着いて、何かを知っていたというのであれば、最初のうちに話して欲しかった…。そう思っただけだ。
「いえ、全部が全部、知っていた訳ではありません…。知っていたのは噂の事だけです。気が付いたのは、この本を手に取った時です…。そして、あわよくばナツミさんに一目会えるのではないかと、期待してました…。」
「それで、邪悪な方のナツミさん。アンタ等は一体、どういった存在なんだ?」
『大体は、あの本に書かれている事が全てであり、真実でもあります。神格化した私の片割れは、力の使用や行動の“自由”を与えらえれ、邪悪な方は、絶対服従を命じられるが、力は主人の賭けた寿命によって、大きく左右される。
さっき、貴方が5年分賭けたときは、流石の私もヒヤリとしたが、余り無茶はしてくれるな…。」
それでさっきの、5年分…。納得がいった。5年分の寿命を、彼女に投資することによって、私たちを守ろうとしてくれた。寿命を減らされるというは、実感がわかないが、あの本の内容を理解できた大谷なら、そのリスクを把握できていた筈だ…。
だが一つ、気になる事が出てきた。
「その“主人”ていうのは、誰でも良いんですか?私はてっきり、貴女を召喚した人物の事かと思ってたんですが…。」
『その通りです。陣内さん。私は、私の主人にしか従いませんし、それ以外の人物が、詠唱したところで、力は発揮できません。』
「だったら、どうして…。」
もし、彼女が言っていることが正しいのであれば、辻褄が合わない…。
『それは、貴方が説明したらどうですか?もう気が付いている筈…。いえ、本当は最初から知っていたのではありませんか?兄さん?いや、あの人はもうこの世にはいない筈だっから、息子か孫と言った所か…。』
暫くの沈黙があった後、大谷が口を開いた。
「ナツミさんが言う、“兄さん”というのは、僕の父の事です…。この本を見たとき、思い出しました。父の部屋にも、全く同じものがあったことを…。」
『私にとっては、主人との血筋が濃ければ親子だろうが、孫だろが、たいして変わりありません…。』
「ちょっと待て。」
寺井さんが声を荒げた。
「お前、ひょっとして、全部知っていたんじゃねぇのか?この館の事も起きていた、不可思議な現象の事も…。」
私自身、大谷を信じていない訳では無い…。ただ、彼がこの館に着いて、何かを知っていたというのであれば、最初のうちに話して欲しかった…。そう思っただけだ。
「いえ、全部が全部、知っていた訳ではありません…。知っていたのは噂の事だけです。気が付いたのは、この本を手に取った時です…。そして、あわよくばナツミさんに一目会えるのではないかと、期待してました…。」
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
雨が止むとき、人形は眠る
秋初夏生
ホラー
「雨の日に人が突然倒れる」という不可解な事件が、金沢で続発していた。
冥府庁調査課の神崎イサナと黒野アイリは調査の末、ひがし茶屋街に佇む老舗の人形店「蓮月堂」へ辿り着く。
そこでは“誰も作った覚えのない人形が、夜ごと少しずつ増えている”という奇妙な噂が立っていた。
病に伏す人形師・桐生誠士は、異変の真相解明を二人に託し、さらに姿を消した元弟子の人形師“斎宮”を探してほしいと願う。
増え続ける人形、曖昧に濁される証言、消えた記録。静かな雨音の下で、隠された想いが少しずつ輪郭を帯びていく。
これは、失ったものを手放せなかった人間の執念が引き起こす、じわじわと心を侵す怪異の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる