緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#31

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 その光は、彼女の両手に集約され、炎へと変わった。だが、その炎は、火傷するような温度はない。精々、人間の体温と同じくらいだろうか…。見た目も、キラキラと煌めいており、とても美しく、綺麗だった。
 「きれい…。」
 『触らない方が良いよ、熱はないけど、不浄なるものを、根こそぎ燃やし尽くす炎。普通の人間でも、燃やされることもあるから…。』
 彼女が、そう応えた瞬間だった。大谷が、その場に倒れた。
 「お、おい!大谷!」
 『大丈夫、気を失っただけ…。まぁ、5年分寿命を、無理やり奪われれば、誰でもそうなる…。』
 寿命を5年分…。一体何を言っているのか、さっぱりわからない…。よく悪魔との契約で、命を引き換えに…。というのは、フィクションの物語では、よく聞いた…。その中にも、寿命を取られるなんてことは、よくある。だが、大谷は、手枷を付けられた女性とは、契約の様なことは、行っていない。
 精々、先ほどの詠唱の様な物を述べただけ…。
 「ご、5年分って、一体どうやって!大谷は、大丈夫なんですか?」
 『それは、彼自信に聞いて…。それを選択したのは、彼だから…。』
 そう言うと、彼女の両手で床殴る様に、叩いた。すると、炎は、床全体に広がりやがて、壁や天井に燃え広がった。
 そして、その直後、劈く様な悲鳴が轟、炎は、消え去った。
 不思議と、焦げ臭い匂いや、煙の様なものは出ていない。
 『また暫く、そこに眠ってて貰う。』
 彼女はそう言うと、手枷が再び光だし、鎖の部分が、溶ける様に消えた。
 『歩くのは、久々ね…。』
 彼女は伸びをしながら、立ち上がり、倒れている大谷の元へやってきた。
 『ありがとう。でも5年分なんて、私には、半年分あれば、充分だから、残りの4年半返すね。』
 またしても、青白い炎が左手から燃え盛った。それを、彼の胸元に、近づけた。
 「な、何をするんですか?」
 「大丈夫。貰った寿命を返すだけ。それと、久々に自由にしてもらったから、そのお礼…。」
 炎は、彼の胸元に当たると、吸い込まれる様に、体内に入り込んだ。その直後、大谷は息を吹き返した。そして、ゆっくりと目を覚ました。
 『気分はどう?』
 「あまりよくはないですね…。」
 『そう…。ならもう少し休んで行って。館の怪異は、さっきので、全部燃やし尽くしたから、いつでも出られるはず…。』
 彼女は、そう言い大谷の頭を持ち上げ、自分の太ももの上に乗せた。所謂膝枕ってやつだ…。
 「あ、あの…。貴女は一体…。」
 『私はナツミ。さっきの女の片割れ…。つまり、邪悪な方。』
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