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廃洋館
#30
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地下室は、レンガと石でできており、その所為か空気が冷たい…。
『あなた方は、あまりこの空気は、吸わない方が、よろしいかと…。』
彼女はそう言い、近くにあったランタンに、火を灯した。
そして、わたしたち一同は、目を疑った…。壁や床、天井にまで、何かで引っ搔いた様な傷が、いくつも刻まれていた。
「何だ…こりゃ…。」
「よく見ると、血の様なものも、滲んでいますね…。」
私は、声が出なかった。
『暴れた後です…。気を付けて下さい。この子の逆鱗に触れれば、文字通り祟られます。』
ナツミさんは、奥の壁の方にある松明に、火を点けた。そこには、両手に手枷を着けられた、髪の長い女性が、俯いていた。容姿こそ、ナツミさんに似てはいるが、雰囲気や伝わってくる、気配は全く真逆なものだ…。何というか、とても好きにはなれない…。
『だ…誰?』
雰囲気とは、裏腹に、か細い声が、部屋中に木霊した。
『久々のお客様ですよ…。』
『お客様…。っ!帰って!今すぐこの館から、出て行って!』
急に取り乱した様に、彼女はそう叫んだ。
『この人たちは私たちの存在に気付いてくれた人たちよ。数十年ぶりぶりに来た、真のお客よ?』
ナツミさんが、諭すようにそう言った。だが、手枷を着けられた、彼女が更に叫んだ。
『だったら、猶更出て行って頂戴!私の力が、安定している間に!』
そういった直後だった。
フッと、周りの松明やランタンの火が消え、煙の臭いが、部屋中に漂った。
「何?」
私がそういうと、手枷を着けられた彼女が、声を上げた。
『始まった…。皆!私の近くに来て!じゃないと、護れない!』
私がその言葉に理解する前に、大谷が、動き出した。
「今は、ナツミさんのいう事に、従って下さい!」
訳が分からぬまま。私と寺井さんは、彼女の近くに寄った。すると、私たちは、力強く、床に座らされた。思わず腰を打ったが、それを気にしているどころではなかった…。
部屋は、火が消され、暗闇しかないはずなのに、影のようなものが、いくつも、壁や床、天井に浮かび上がっていた…。人影ではない…。唯々蠢く、謎の影…。
『貴方、大谷とか言ったわね?あの本が読めたのなら、知ってるでしょ?私を使う方法。』
大谷は頷き、本を開いた。
「不浄を燃やす蒼炎よ…。邪なる影餓を、退き給え…。」
大谷がそういうと、手枷の末端の鎖が青白く光りだした。
『フ…随分と男らしいね…。じゃぁ、5年分、貰うよ?』
彼女がそう言ったとたん、鎖の光が、どんどんと光、とうとう、手枷の部分まで、行き着き、彼女自身を、青白い光が包んだ。
『下がって…。ここは私の館でもあるのよ?』
青白い光は、次第に熱を帯び、冷たかった地下室が、どんどんと温かくなった。
『あなた方は、あまりこの空気は、吸わない方が、よろしいかと…。』
彼女はそう言い、近くにあったランタンに、火を灯した。
そして、わたしたち一同は、目を疑った…。壁や床、天井にまで、何かで引っ搔いた様な傷が、いくつも刻まれていた。
「何だ…こりゃ…。」
「よく見ると、血の様なものも、滲んでいますね…。」
私は、声が出なかった。
『暴れた後です…。気を付けて下さい。この子の逆鱗に触れれば、文字通り祟られます。』
ナツミさんは、奥の壁の方にある松明に、火を点けた。そこには、両手に手枷を着けられた、髪の長い女性が、俯いていた。容姿こそ、ナツミさんに似てはいるが、雰囲気や伝わってくる、気配は全く真逆なものだ…。何というか、とても好きにはなれない…。
『だ…誰?』
雰囲気とは、裏腹に、か細い声が、部屋中に木霊した。
『久々のお客様ですよ…。』
『お客様…。っ!帰って!今すぐこの館から、出て行って!』
急に取り乱した様に、彼女はそう叫んだ。
『この人たちは私たちの存在に気付いてくれた人たちよ。数十年ぶりぶりに来た、真のお客よ?』
ナツミさんが、諭すようにそう言った。だが、手枷を着けられた、彼女が更に叫んだ。
『だったら、猶更出て行って頂戴!私の力が、安定している間に!』
そういった直後だった。
フッと、周りの松明やランタンの火が消え、煙の臭いが、部屋中に漂った。
「何?」
私がそういうと、手枷を着けられた彼女が、声を上げた。
『始まった…。皆!私の近くに来て!じゃないと、護れない!』
私がその言葉に理解する前に、大谷が、動き出した。
「今は、ナツミさんのいう事に、従って下さい!」
訳が分からぬまま。私と寺井さんは、彼女の近くに寄った。すると、私たちは、力強く、床に座らされた。思わず腰を打ったが、それを気にしているどころではなかった…。
部屋は、火が消され、暗闇しかないはずなのに、影のようなものが、いくつも、壁や床、天井に浮かび上がっていた…。人影ではない…。唯々蠢く、謎の影…。
『貴方、大谷とか言ったわね?あの本が読めたのなら、知ってるでしょ?私を使う方法。』
大谷は頷き、本を開いた。
「不浄を燃やす蒼炎よ…。邪なる影餓を、退き給え…。」
大谷がそういうと、手枷の末端の鎖が青白く光りだした。
『フ…随分と男らしいね…。じゃぁ、5年分、貰うよ?』
彼女がそう言ったとたん、鎖の光が、どんどんと光、とうとう、手枷の部分まで、行き着き、彼女自身を、青白い光が包んだ。
『下がって…。ここは私の館でもあるのよ?』
青白い光は、次第に熱を帯び、冷たかった地下室が、どんどんと温かくなった。
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