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5 生魚、食べてみた!
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朝の光が差し込むキッチンで、私は目を覚ました。ナナさんとリゼさんの家での生活が始まってから、数日が経っていた。最初は気まずさや遠慮もあったが、二人の温かい気遣いに触れるうちに、少しずつ心がほぐれていくのを感じていた。
「おはよう、リーナ。今日は私が朝食当番よ」
ナナさんが明るい声で声をかける。リゼさんは笑顔で食器を並べていた。私もお茶を淹れたりして、みんなで協力しあって食事が始まる。
三人で囲む食卓は、いつだって穏やかで、あたたかい雰囲気に包まれている。
私たちは、それぞれの好みを大切にしていて、いつの間にか――誰かが誰かの“好き”を覚えて、さりげなく料理に反映させるようになっていた。
たとえば私がナナさんの好きな羊のチーズ焼きミートパイを作ると、次の日にはナナさんが私の好物のローストチキンと栗の詰め物を焼いてくれて、リゼさんはそのどちらもふまえて、私たちが喜びそうなスープやサラダを用意してくれる。
誰かが中心になるというより、みんなが“誰かのため”に動いていて、その優しさがちゃんと料理に映る。
だから、食事のことで喧嘩なんて起きたことがない。
むしろ、私たちは本当に仲が良くて、お互いを大切に思い合えているんだ――そう感じられる、かけがえのない時間になっていた。
◆◇◆
今日は、ふたりを驚かせたい。少しでも喜んでもらえたら、きっと私も嬉しくなる。そんな思いを抱えて、私は一人で市場に足を運んだ。
屋根付きの市場の一角、魚を扱う珍しい屋台に目を奪われた。氷を敷き詰めた木箱の上に、銀の鱗が光る魚が数匹と、淡いピンク色の切り身が並べられていた。
「この魚……すごく綺麗ですね」
思わず漏らすと、店先のおじさんが、にやりと笑った。
「だろう? 海辺の村から今朝届いたばかりだ。今日はいいのが入った。身がやわらかくて、火を入れすぎるともったいないくらいだ」
「……火を通さない、という選択肢もあるんですか?」
おじさんが肩をすくめる。
「東の異国じゃ、薄く切って豆を発酵させた調味料や辛い香辛料をつけて食べるらしい。俺はやったことないが、あちらからの旅人がそう言ってたよ。新鮮であれば、腹も壊さないそうだ」
「へぇ……」
私は魚をじっと見つめる。手のひらほどの大きさの切り身をひとつ、手に取った。
(たぶん……自分なりに調合したオイルと……レモナの絞り汁を合わせたら、うまく調和するかも)
「これを……ください。できれば薄く削ぎやすいように、整えてもらえると助かります」
「ずいぶん慣れてるな。嬢ちゃん、どこかの厨房で働いてるのか?」
「いえ。ただ、料理が……好きなんです」
果実屋でレモナも購入し、市場をあとにした。帰宅すると、ナナさんとリゼさんは、ちょうどリビングで紅茶を飲んでいた。
「おかえり、リーナ。遅かったね?」
「ええ、ちょっと……挑戦してみたい料理があって、市場に寄ってたんです」
「挑戦? ……この前の太麺を使って、鶏出汁で煮込んだスープ麺、あれは美味しかったわ」
「うんうん、薄衣の山菜包み揚げもまた食べたい」
「今日はね、お魚ですよ。あっ、庭に生えてるディルアとバジラ、使っていいですか?」
「いいよ、どんどん使って~。リーナが料理に使ってくれると、なんか嬉しいし」
私は庭に出てそれらを摘むと、買ってきた魚とレモナを並べ、キッチンに立った。薄く削ぐように身を切り、私特性オイル(オリーブの実を搾った油に、刻んだディルア、バジラを混ぜレモナの果汁を数滴だけ絞った)に、ほんの少し塩を加えて、香りが馴染むように静かに冷やしておく。
そして、あらかじめ冷やしておいた陶器の皿に、透けるような淡いピンクの魚を丁寧に並べた。
(色もいい。……おいしそうだわ)
「できました。……試してみてください」
少し照れながら、二人の前に皿を差し出す。
ナナさんがまず匂いを嗅いで、眉をひそめた。
「……これ、生じゃない? 火、通ってないんだね」
「はい。市場のおじさんに、東の異国では特別な調味料と辛い香辛料で食べると聞きましたが、私なりに工夫してみました」
「へぇ、冒険してきたな~。でも見た目、すごく綺麗だし、おいしそうだよ?」
「……ちょっとドキドキするけどね」
「――じゃあ、まず私が食べますね」
私は一切れを口に運び、慎重に噛みしめた。冷たい。けれど、舌の上でとろけて、特性オイルと相性抜群。驚くほど、豊かな味わいだった。
「……うん。すごく、おいしい。大丈夫、ちゃんとおいしいです」
「ふふ、リーナが真っ先に食べてるの、ちょっと可愛い」
「じゃあ……私もいってみようかな。せっかくだし!」
ナナさんが意を決して口に運ぶ。そして、目を丸くした。
「……なにこれ、なにこれ!? 爽やかで、魚臭さ全然ない! ていうか、めっちゃうまい!」
リゼさんも、目を細めながらそっとひと口。
「……うん。ディルア、バジラにレモナ果汁のバランスが絶妙。熱を通していないからこそ、素材の風味がきちんと生きてる。これは素晴らしいわね」
「ほんと!? よかったぁ……!」
ほっと胸を撫で下ろすと同時に、嬉しさがこみ上げてくる。大好きな二人を驚かせたり、喜ばせたりするのって……本当に幸せなことだな、って思う。
ギルベルトと囲んだ食卓を思い返すと、不思議と味気なかったように思えてくる。最初の頃は「美味しい」って笑ってくれたのに、やがてそれも言わなくなって――出された料理を、ただ黙って口に運ぶだけの日が、いつの間にか当たり前になっていた。
家事をするのも、生活費をやりくりするのも、私の役目のように扱われていた。私だけが与え続け、彼は受け取るばかりで――それにすら気づいていなかった。
今になって思う。
あの人とは、別れて正解だったんだ、と。
•───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•
※次回6話「静かに崩れていく」、ギルベルト視点、ミレイユ視点、リーナ視点で、三者の明暗、描きます。朝7時更新予定です。
「おはよう、リーナ。今日は私が朝食当番よ」
ナナさんが明るい声で声をかける。リゼさんは笑顔で食器を並べていた。私もお茶を淹れたりして、みんなで協力しあって食事が始まる。
三人で囲む食卓は、いつだって穏やかで、あたたかい雰囲気に包まれている。
私たちは、それぞれの好みを大切にしていて、いつの間にか――誰かが誰かの“好き”を覚えて、さりげなく料理に反映させるようになっていた。
たとえば私がナナさんの好きな羊のチーズ焼きミートパイを作ると、次の日にはナナさんが私の好物のローストチキンと栗の詰め物を焼いてくれて、リゼさんはそのどちらもふまえて、私たちが喜びそうなスープやサラダを用意してくれる。
誰かが中心になるというより、みんなが“誰かのため”に動いていて、その優しさがちゃんと料理に映る。
だから、食事のことで喧嘩なんて起きたことがない。
むしろ、私たちは本当に仲が良くて、お互いを大切に思い合えているんだ――そう感じられる、かけがえのない時間になっていた。
◆◇◆
今日は、ふたりを驚かせたい。少しでも喜んでもらえたら、きっと私も嬉しくなる。そんな思いを抱えて、私は一人で市場に足を運んだ。
屋根付きの市場の一角、魚を扱う珍しい屋台に目を奪われた。氷を敷き詰めた木箱の上に、銀の鱗が光る魚が数匹と、淡いピンク色の切り身が並べられていた。
「この魚……すごく綺麗ですね」
思わず漏らすと、店先のおじさんが、にやりと笑った。
「だろう? 海辺の村から今朝届いたばかりだ。今日はいいのが入った。身がやわらかくて、火を入れすぎるともったいないくらいだ」
「……火を通さない、という選択肢もあるんですか?」
おじさんが肩をすくめる。
「東の異国じゃ、薄く切って豆を発酵させた調味料や辛い香辛料をつけて食べるらしい。俺はやったことないが、あちらからの旅人がそう言ってたよ。新鮮であれば、腹も壊さないそうだ」
「へぇ……」
私は魚をじっと見つめる。手のひらほどの大きさの切り身をひとつ、手に取った。
(たぶん……自分なりに調合したオイルと……レモナの絞り汁を合わせたら、うまく調和するかも)
「これを……ください。できれば薄く削ぎやすいように、整えてもらえると助かります」
「ずいぶん慣れてるな。嬢ちゃん、どこかの厨房で働いてるのか?」
「いえ。ただ、料理が……好きなんです」
果実屋でレモナも購入し、市場をあとにした。帰宅すると、ナナさんとリゼさんは、ちょうどリビングで紅茶を飲んでいた。
「おかえり、リーナ。遅かったね?」
「ええ、ちょっと……挑戦してみたい料理があって、市場に寄ってたんです」
「挑戦? ……この前の太麺を使って、鶏出汁で煮込んだスープ麺、あれは美味しかったわ」
「うんうん、薄衣の山菜包み揚げもまた食べたい」
「今日はね、お魚ですよ。あっ、庭に生えてるディルアとバジラ、使っていいですか?」
「いいよ、どんどん使って~。リーナが料理に使ってくれると、なんか嬉しいし」
私は庭に出てそれらを摘むと、買ってきた魚とレモナを並べ、キッチンに立った。薄く削ぐように身を切り、私特性オイル(オリーブの実を搾った油に、刻んだディルア、バジラを混ぜレモナの果汁を数滴だけ絞った)に、ほんの少し塩を加えて、香りが馴染むように静かに冷やしておく。
そして、あらかじめ冷やしておいた陶器の皿に、透けるような淡いピンクの魚を丁寧に並べた。
(色もいい。……おいしそうだわ)
「できました。……試してみてください」
少し照れながら、二人の前に皿を差し出す。
ナナさんがまず匂いを嗅いで、眉をひそめた。
「……これ、生じゃない? 火、通ってないんだね」
「はい。市場のおじさんに、東の異国では特別な調味料と辛い香辛料で食べると聞きましたが、私なりに工夫してみました」
「へぇ、冒険してきたな~。でも見た目、すごく綺麗だし、おいしそうだよ?」
「……ちょっとドキドキするけどね」
「――じゃあ、まず私が食べますね」
私は一切れを口に運び、慎重に噛みしめた。冷たい。けれど、舌の上でとろけて、特性オイルと相性抜群。驚くほど、豊かな味わいだった。
「……うん。すごく、おいしい。大丈夫、ちゃんとおいしいです」
「ふふ、リーナが真っ先に食べてるの、ちょっと可愛い」
「じゃあ……私もいってみようかな。せっかくだし!」
ナナさんが意を決して口に運ぶ。そして、目を丸くした。
「……なにこれ、なにこれ!? 爽やかで、魚臭さ全然ない! ていうか、めっちゃうまい!」
リゼさんも、目を細めながらそっとひと口。
「……うん。ディルア、バジラにレモナ果汁のバランスが絶妙。熱を通していないからこそ、素材の風味がきちんと生きてる。これは素晴らしいわね」
「ほんと!? よかったぁ……!」
ほっと胸を撫で下ろすと同時に、嬉しさがこみ上げてくる。大好きな二人を驚かせたり、喜ばせたりするのって……本当に幸せなことだな、って思う。
ギルベルトと囲んだ食卓を思い返すと、不思議と味気なかったように思えてくる。最初の頃は「美味しい」って笑ってくれたのに、やがてそれも言わなくなって――出された料理を、ただ黙って口に運ぶだけの日が、いつの間にか当たり前になっていた。
家事をするのも、生活費をやりくりするのも、私の役目のように扱われていた。私だけが与え続け、彼は受け取るばかりで――それにすら気づいていなかった。
今になって思う。
あの人とは、別れて正解だったんだ、と。
•───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•
※次回6話「静かに崩れていく」、ギルベルト視点、ミレイユ視点、リーナ視点で、三者の明暗、描きます。朝7時更新予定です。
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