【完結】旦那様、契約妻の私は放っておいてくださいませ

青空一夏

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8 安定のきもさ、です!

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 ザヘリー女公爵様の侍女が、とても香りのよい紅茶を淹れてくれました。

(ああ。これこれ、このマスカテルフレーバー! 貧乏な我が家では飲めなかったけど、家庭教師先のお嬢様のお屋敷で頂いたことがあるわ。あのお嬢様のお父様は大商人でいらしたものね。いいえ、もっと上質の茶葉だわね。香りがもっと繊細で華やかだし、何より味の透明さとキレが違うわ!)

 素晴らしいーー♫ 私がにこにことその紅茶をいただいていると、ザヘリー女公爵様が嬉しそうに私を見ております。

「この紅茶は私も気に入っているのよ。まさに香りを楽しむという紅茶で、これは人生を楽しむことと似ていると思うのよ? アイビーさんは人生を楽しんでいる?」

「楽しむ・・・・・・楽しいというより、今までは必死だったかもしれません。エルナン男爵家は両親があぶなっかしいので、定期的に災難に見舞われておりましたから」

 そこからエルナン男爵家のことを、いろいろ聞かれました。妹が二人いることと、少々頼りない両親がいること。そんなことなどを、お答えしましたよ。

「とてもアイビーさんは、苦労してきた・・・・・・そういうことよね?」

「そうですねぇ。苦労してこなかった、とは言えないですね。でも、両親はお人好しすぎるところは困りますが、そう悪い人達でもないのです。私達3姉妹はそれなりの愛情はそそいでもらった、と思っていますから。ただおかげ様で金銭感覚は貴族の令嬢とかけ離れている、と言われておりますね」

 私の答えにザヘリー女公爵様は満足したようです。

「はっきり言って、女は化粧とドレスでいかようにも化けられますからね! 中身がしっかり者が一番です! アイビーさんとカイドは明日から、このザヘリー公爵家に住みなさい。結婚式は明後日でどうかしら?」

「はい、そうですね。え? えぇーーーー!! 明後日ですかぁーー!!」

 いくらなんでもそんなに早くは無理です。カイド様は驚愕の表情で涙目になっています。そこまで青ざめなくても、カイド様の自由は奪いませんよ。

 どうぞ1週間ごとに日替わり女性と、めいいっぱい楽しんでくださいませ。

「カイドはなんの不満があるの? 大好きな恋人同士なのでしょう? 二人は愛し合っているのよねぇ?」 

 ザヘリー女公爵様は最初はカイド様を睨み付け、次は優しい眼差しで私を見つめて、紅茶を飲みながら尋ねてくるのでした。

「も、もちろん私達は愛し合っていますよ。この私はアイビーのことを考えると、夜も眠れないほどです」

 カイド様が心にもないことを、さも思い詰めた表情でおっしゃいます。

 きもっつ!
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