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18 永遠にさようなら(ハミルトン視点)
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私は3人の侍女の殺気だった気配を背後に感じながら、ベンジャミン家の応接室で、優雅にお茶を嗜むオリビアに見とれていた。オリビアの横にはベンジャミン男爵夫妻が氷のような表情を浮かべて座っている。私は元婚約者のクロエから、おかしな魔法をかけられていたことをはなした。
「お話はわかりました。全ては魔法のせいだったということですか。ですが、私の気持ちはすっかりハミルトン様にはなくなりました。憧れていた方の妻となれたことは嬉しかったのですが、今はお顔を見るだけでも辛いのです」
私を責めるわけでもなく、淡々と自分の心情を語るオリビアは悲しいほど美しかった。艶やかな金髪は陽に照らされなくても光を含んでいるかのように輝いている。澄んだエメラルドグリーンの瞳は、どんな宝石よりもキラキラと輝いていた。
彼女が私に憧れていたことは初めて知ったし、夜会での出会いのことは正直よく覚えていなかった。今更なにをどう後悔しても時間は巻き戻せない。
「援助していただいたお金は、全て利息をつけて返済したいと思っています。公爵の爵位も手放すつもりです。私はその器ではなかった。オリビア、悲しい思いをたくさんさせたね。本当にすまない。魔法にさえかかっていなければ、貴女に誠心誠意尽くして、一生大事にしたはずだ」
その言葉にオリビアの瞳から一筋の涙がこぼれた。
「ハミルトン様、さようなら。もう、二度と会いたくありません」
オリビアが柔らかな声で紡いだ言葉は永遠のさようならだった。ベンジャミン男爵夫妻が私に話しかけることはなかった。多分、口もききたくないということだろう。
ベンジャミン家へ向かう頃は小雨だったのに、帰る頃には土砂降りに変わっていた。まるで、私の心を映し出したかのようだった。
「お話はわかりました。全ては魔法のせいだったということですか。ですが、私の気持ちはすっかりハミルトン様にはなくなりました。憧れていた方の妻となれたことは嬉しかったのですが、今はお顔を見るだけでも辛いのです」
私を責めるわけでもなく、淡々と自分の心情を語るオリビアは悲しいほど美しかった。艶やかな金髪は陽に照らされなくても光を含んでいるかのように輝いている。澄んだエメラルドグリーンの瞳は、どんな宝石よりもキラキラと輝いていた。
彼女が私に憧れていたことは初めて知ったし、夜会での出会いのことは正直よく覚えていなかった。今更なにをどう後悔しても時間は巻き戻せない。
「援助していただいたお金は、全て利息をつけて返済したいと思っています。公爵の爵位も手放すつもりです。私はその器ではなかった。オリビア、悲しい思いをたくさんさせたね。本当にすまない。魔法にさえかかっていなければ、貴女に誠心誠意尽くして、一生大事にしたはずだ」
その言葉にオリビアの瞳から一筋の涙がこぼれた。
「ハミルトン様、さようなら。もう、二度と会いたくありません」
オリビアが柔らかな声で紡いだ言葉は永遠のさようならだった。ベンジャミン男爵夫妻が私に話しかけることはなかった。多分、口もききたくないということだろう。
ベンジャミン家へ向かう頃は小雨だったのに、帰る頃には土砂降りに変わっていた。まるで、私の心を映し出したかのようだった。
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