9 / 9
8 アイラは魔聖女、魔天竜の番い
しおりを挟む
隣国エクアガーナの森に降り立った魔天竜は、鍛えられた体つきの美丈夫に姿を変えると、見事な駿馬にまたがり王宮に向かう。
「アレキサンダー国王陛下。どちらにお出かけになっていたのですか? 本日はアイラ様が宮廷魔法使いの長に就任する、誠におめでたい日ですぞ。予定より10分も過ぎております」
「あぁ、すまない。宰相のお前を困らせてしまい、愛しのアイラも待たせてしまった。今日こそは求婚するつもりなのだが、アイラが受け入れてくれるか心配だ」
先ほどまでの覇者のオーラーは消え去り、恋に取り憑かれた悩める男がそこにはいた。
「国王陛下。私のような者に長など務まるでしょうか? ルワンダ国を追い出され家族から縁も切られた身ですのに、宮廷魔法使いの長など荷が重すぎます・・・・・・」
アイラはアレキサンダーの姿を見つけると頬を染めながらも、自信なさげに俯いた。
「ルワンダ国とアイラの家族が愚かなだけだ。魔物討伐隊の輩も含めて馬鹿者達の集まりさ。アイラの価値は俺がよくわかっている。今日はルワンダ国の伝説の勇者と聖女の結婚式があるそうだ。気になるかい?」
「いいえ、全く。ですが、妹はさぞ綺麗だったでしょうね。リリーは幼い頃から皆のアイドルでしたから」
「アイラを貶め偽りの聖女の名を騙るような女が綺麗なわけがない。アイラが今まで奴らにされた仕打ちを聞いて、俺は絶対に許さんと思った!」
「もう済んだことです。当初は恨んだものですが、今は感謝さえしております。そのようなことがあったからこそ、私はこのエクアガーナ王国にいるのですから。ここは素晴らしい国です」
エクアガーナ王国は、アイラにとって天国のような国であった。
女性でも魔法使いや騎士になることができ、実力があれば昇格することもできた。ここは、女性にかわいらしさだけを求めるルワンダ国ではないのだ。
さらに、エクアガーナ王国の女性はアイラのように皆背が高く手足も長い。この国ではもう劣等感を持つ必要は全くなかったのだ。
たくさんの仲間ができ友ができ、今では国王陛下にも直々に会うことができる魔法使いの長にもなろうとしている。思いがけない大出世だった。
「ところで、アイラ。もうひとつ重要な仕事を引き受けてくれないか? それは君でしかできない仕事さ」
「はい、なんでしょうか? 私のできることならなんなりとおっしゃってくださいませ」
「命令ではない。あくまでお願いだ。この国の王妃になってくれないか? もちろん嫌なら断ってくれても・・・・・・」
「なります! アレキサンダー陛下の妻ですよね? 嬉しいです」
「え? いいのか?」
「はい、もちろんです!だって、私はキラキラしたものが大好きですから」
アイラはアレキサンダーの服についた七色に光る鱗を手にとってにっこりと微笑んだ。
「まさか、アイラは俺の秘密を知っているのかい?」
「はい、魔天竜のような鱗を持つ爬虫類でしょう? 蛇さんですか? それともイグアナのような感じなのでしょうか? 秘密のペットをこっそり飼っていらっしゃるのですよね? この鱗、愛読書で見た魔天竜のものにそっくりです。結婚したら是非見せてくださいね! 私は幼い頃から魔天竜に恋をしているのですもの!」
「あっははは! あいにくペットではないよ。ひとつ良いことを教えてあげよう。魔天竜はね、人にもなれるし、伴侶には真の聖女の血を引く魔法使いを選ぶんだよ」
「まぁ、すごい! 聖女の血を引く魔法使い? 私もそんなふうに生まれたかったです! 」
「俺は最高についてる! すでに熱烈な相思相愛だ」
アレキサンダーは思わずアイラをしっかりと抱き寄せたのだった。
アイラが持っていた愛読書のインクのシミで読めなくなった部分や破れた箇所にはこう記されていたのである。
『真の聖女たる魔法使いを魔聖女と呼ぶ。魔聖女が繰り出す炎魔法と詠唱により魔物は魔粉になる。魔聖女は魔天竜の番いであり、絶対的な力を持つ史上最強の魔女である。』と。
完
「アレキサンダー国王陛下。どちらにお出かけになっていたのですか? 本日はアイラ様が宮廷魔法使いの長に就任する、誠におめでたい日ですぞ。予定より10分も過ぎております」
「あぁ、すまない。宰相のお前を困らせてしまい、愛しのアイラも待たせてしまった。今日こそは求婚するつもりなのだが、アイラが受け入れてくれるか心配だ」
先ほどまでの覇者のオーラーは消え去り、恋に取り憑かれた悩める男がそこにはいた。
「国王陛下。私のような者に長など務まるでしょうか? ルワンダ国を追い出され家族から縁も切られた身ですのに、宮廷魔法使いの長など荷が重すぎます・・・・・・」
アイラはアレキサンダーの姿を見つけると頬を染めながらも、自信なさげに俯いた。
「ルワンダ国とアイラの家族が愚かなだけだ。魔物討伐隊の輩も含めて馬鹿者達の集まりさ。アイラの価値は俺がよくわかっている。今日はルワンダ国の伝説の勇者と聖女の結婚式があるそうだ。気になるかい?」
「いいえ、全く。ですが、妹はさぞ綺麗だったでしょうね。リリーは幼い頃から皆のアイドルでしたから」
「アイラを貶め偽りの聖女の名を騙るような女が綺麗なわけがない。アイラが今まで奴らにされた仕打ちを聞いて、俺は絶対に許さんと思った!」
「もう済んだことです。当初は恨んだものですが、今は感謝さえしております。そのようなことがあったからこそ、私はこのエクアガーナ王国にいるのですから。ここは素晴らしい国です」
エクアガーナ王国は、アイラにとって天国のような国であった。
女性でも魔法使いや騎士になることができ、実力があれば昇格することもできた。ここは、女性にかわいらしさだけを求めるルワンダ国ではないのだ。
さらに、エクアガーナ王国の女性はアイラのように皆背が高く手足も長い。この国ではもう劣等感を持つ必要は全くなかったのだ。
たくさんの仲間ができ友ができ、今では国王陛下にも直々に会うことができる魔法使いの長にもなろうとしている。思いがけない大出世だった。
「ところで、アイラ。もうひとつ重要な仕事を引き受けてくれないか? それは君でしかできない仕事さ」
「はい、なんでしょうか? 私のできることならなんなりとおっしゃってくださいませ」
「命令ではない。あくまでお願いだ。この国の王妃になってくれないか? もちろん嫌なら断ってくれても・・・・・・」
「なります! アレキサンダー陛下の妻ですよね? 嬉しいです」
「え? いいのか?」
「はい、もちろんです!だって、私はキラキラしたものが大好きですから」
アイラはアレキサンダーの服についた七色に光る鱗を手にとってにっこりと微笑んだ。
「まさか、アイラは俺の秘密を知っているのかい?」
「はい、魔天竜のような鱗を持つ爬虫類でしょう? 蛇さんですか? それともイグアナのような感じなのでしょうか? 秘密のペットをこっそり飼っていらっしゃるのですよね? この鱗、愛読書で見た魔天竜のものにそっくりです。結婚したら是非見せてくださいね! 私は幼い頃から魔天竜に恋をしているのですもの!」
「あっははは! あいにくペットではないよ。ひとつ良いことを教えてあげよう。魔天竜はね、人にもなれるし、伴侶には真の聖女の血を引く魔法使いを選ぶんだよ」
「まぁ、すごい! 聖女の血を引く魔法使い? 私もそんなふうに生まれたかったです! 」
「俺は最高についてる! すでに熱烈な相思相愛だ」
アレキサンダーは思わずアイラをしっかりと抱き寄せたのだった。
アイラが持っていた愛読書のインクのシミで読めなくなった部分や破れた箇所にはこう記されていたのである。
『真の聖女たる魔法使いを魔聖女と呼ぶ。魔聖女が繰り出す炎魔法と詠唱により魔物は魔粉になる。魔聖女は魔天竜の番いであり、絶対的な力を持つ史上最強の魔女である。』と。
完
118
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(29件)
あなたにおすすめの小説
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~
玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。
その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは?
ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!
柚屋志宇
恋愛
「お姉様の婚約者ちょうだい!」欲しがり妹ルビーは、ついにサフィールの婚約者を欲しがった。
サフィールはコランダム子爵家の跡継ぎだったが、妹ルビーを溺愛する両親は、婚約者も跡継ぎの座もサフィールから奪いルビーに与えると言い出した。
サフィールは絶望したが、婚約者アルマンディンの助けでこの問題は国王に奏上され、サフィールとルビーの立場は大きく変わる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
★2025/11/22:HOTランキング1位ありがとうございます。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版
まほりろ
恋愛
国王の愛人の娘であるアリアベルタは、母親の死後、王宮内で放置されていた。
食事は一日に一回、カビたパンやまふ腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。
しかしアリアベルタはそれでもなんとか暮らしていた。
アリアベルタの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。
その妖精はアリアベルタに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。
ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたアリアベルタは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
※中編を大幅に改稿し、長編化しました。2025年1月20日
※長編版と差し替えました。2025年7月2日
※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
太真様
感想ありがとうございます🌸
そうなんです
爬虫類系も好きみたいですね😆
確かに史上最強の夫婦ですね
更新が途中で止まっており
申し訳ありませんでした
(。・人・`。))ゴメンナサレ
にもかかわらず
最後まで読んでくださりありがとうございます
⋀🎀⋀
(* ❛ᴗ❛ *)
ー U^^^Uー
│✨ ⭐️ ✨│
│✨ 感 ✨│
│✨ 謝 ✨│
│✨ 状 ✨│
│✨ ⭐ ✨│
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
よーこ様
感想ありがとうございます🌸
なんと
最近青空がとても更新を心待ちにしいている小説の作者様ですね😳
いつも楽しく読ませていただいてます
アイラを誉めてくださり
ありがとうございます🥰
ジャックも
おっしゃるように
悪人と言うわけではないんですよね
とても励みになる感想をいただき
感激しています⸜(*ˊᵕˋ*)⸝
最後までお読みいただきありがとうございました
⋀🎀⋀
(* ❛ᴗ❛ *)
ー U^^^Uー
│✨ ⭐️ ✨│
│✨ 感 ✨│
│✨ 謝 ✨│
│✨ 状 ✨│
│✨ ⭐ ✨│
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
えすく様
感想ありがとうございます🌸
そうなんですね
えすく様の予感はすばらしいですね👌
アイラは全然気がついてはいません😅
どっちかって言うと天然なんですよね(笑)
わかったときにはきっと
嬉し涙をたくさん流すことでしょう😭
更新に長い時間がかかってしまいすみませんでした
にもかかわらず
最後までお読みいただきありがとうございます✨
∧∞∧
(・∇・ *)
☆*゚*。 。*゚UU )~
*。 ☆ *U U
*。Thank You *゚
゚*。 。*゚
゚*。。*゚
感謝感激雨嵐♡