8 / 9
7 嘘つき達の末路ー因果応報その2
しおりを挟む
「うわぁ、こっちに来るぞ! 来るな! 来るなぁーー!!」
勇者と聖女を護衛していた精鋭のはずの騎士達は、剣を放り投げ逃げまどう。やみくもに剣を振り回し奇声をあげる者もいたが、ただやかましいだけである。
「うおぉおおーー!! こんな魔物なんて怖くないぞぉおおーー。きえぇええぇぇぇええーー。うぉりやぁああーー」
そんな奇声だけで魔天竜を倒せるわけもなく魔天竜の吐く青白い炎は、なんと男達の尻に命中し文字通り、尻に火がついた形で走り回る始末であった。
「ひぃいいぃいーー! 熱い、熱い! 熱いよぉおおーー! 母ちゃぁーーん、助けてぇえーー。神様、助けてぇえーー」
「うひゃーー。尻が熱い。焦げる、焦げるぅううぅうーー」
元魔物討伐隊の無様な様子に民衆達は呆れかえり、子供達は腹を抱えて大笑いしだした。
「あっははは。お尻に火がついて逃げてるだけで戦いもしないよ。あんなのが騎士様なんておっかしいよ。強いなんて嘘だね!」
「そうだ、あいつらは嘘つきだ! 勇者様も聖女様もなんとかしろよ!」
ジャックは魔天竜にオオトカゲの魔粉を浴びせかけると、
「魔物に宿し魂よ、上位魔物の魔粉を浴びよ! 浄化新生!・・・・・・」
アイラに教わった呪文を詠唱しようとするが、そんなものが効く相手ではない。魔天竜はオオトカゲより上位の魔神とも崇められる存在なのだ。
「やっぱり駄目か。ならば炎の魔法を・・・・・・炎の竜巻・・・・・・」
詠唱途中で魔天竜は容赦なく青白い炎をジャックに吐きかけた。咄嗟にジャックは隣のリリーを庇い、背中一面にその炎を浴びる。
「きゃぁーー! ジャックが死んじゃう! 誰か助けてぇええーー。助けてぇええーー!」
聖女は涙と鼻水でグチャグチャとなった顔を兄のハリーに向けた。
ところがハリーはここにいるはずもないアイラの名前を呼んで助けを求めていたのだった。
「アイラぁぁあああーー!! 助けろ! 僕を助けろぉおお。いつものように早く助けに来いよぉおおおおおお」
その声に反応した魔天竜は向きを変えハリーの正面から炎を浴びせた。そして、すっかりその身体を焼き尽くすと用は済んだとばかりに天を駆け巡り、巨大な身体の美しい鱗を陽光に煌めかせ隣国の方角に飛び去っていったのだった。
魔天竜が優美な姿で去った後に残されたのは、尻に大火傷を負った騎士達と背中に大火傷を負った瀕死の偽物勇者。自慢の顔に大火傷を負った偽物聖女。そして、焼け焦げた死体となったハリー・ジャスミンであった。
「なんだい! 勇者でも聖女でもないじゃないか! あいつらは皆大嘘つきだ!」
「そうだ、そうだ! わし達民衆を騙した極悪人だぁーー!」
民衆が憤り勇者達に石を投げ、罵倒を浴びせる。
一連の勇者達の様子を見ていた国王陛下は凄まじい怒りで額に青筋を浮かばせた。
「大嘘つきめ! 余を騙したな! つまりは魔物退治の功績者はアイラ・ジャスミンだったということか? おい、偽物勇者よ! オオトカゲを魔粉にしたのはアイラなのか?」
ジャックは苦痛に顔を歪めながら国王陛下の問いに頷き、その場に崩れる。
「あぁ、嘘なんてつくんじゃなかった・・・・・・アイラの手柄だったのに・・・・・・でも、リリーは守れたよ。リリー、ごめんよ」
「ちょっと、全然守れてないわよ! 私を見てよ! 顔が痛くて堪らないわ。熱くて焼けるようよ。こんなんじゃぁ助かっても嬉しくない!」
「ふん、安心しろ! 余に嘘をついた大罪人が生きていられると思うか? 死んだ者は森に打ち捨て供養は無用だ。怪我をした者の手当も必要ない! 大嘘つきは即刻、死刑だ。引っ捕らえろ!」
「いやぁあああーー。やめてよ、離してぇええ! 私は嘘なんてついてない! お兄様が勝手に聖女だって言ったのよ。私は悪くない! 被害者よ」
「リリー・ジャスミンよ! お前には口がある。兄の言葉を否定して真実を話すことはできたはずだ。それをしないで黙認したんだ。同罪だろう? そこのジャックも自らが勇者とは言わなかったが、ハリー・ジャスミンの言葉を明確に否定もしなかった。人の責任にするのはやめろ! 騎士に昇格した者達も嘘の報告を余にしたのだ。 自業自得だ」
リリーや尻を焦がした騎士達は項垂れて後悔の涙を流すのだった。
勇者と聖女を護衛していた精鋭のはずの騎士達は、剣を放り投げ逃げまどう。やみくもに剣を振り回し奇声をあげる者もいたが、ただやかましいだけである。
「うおぉおおーー!! こんな魔物なんて怖くないぞぉおおーー。きえぇええぇぇぇええーー。うぉりやぁああーー」
そんな奇声だけで魔天竜を倒せるわけもなく魔天竜の吐く青白い炎は、なんと男達の尻に命中し文字通り、尻に火がついた形で走り回る始末であった。
「ひぃいいぃいーー! 熱い、熱い! 熱いよぉおおーー! 母ちゃぁーーん、助けてぇえーー。神様、助けてぇえーー」
「うひゃーー。尻が熱い。焦げる、焦げるぅううぅうーー」
元魔物討伐隊の無様な様子に民衆達は呆れかえり、子供達は腹を抱えて大笑いしだした。
「あっははは。お尻に火がついて逃げてるだけで戦いもしないよ。あんなのが騎士様なんておっかしいよ。強いなんて嘘だね!」
「そうだ、あいつらは嘘つきだ! 勇者様も聖女様もなんとかしろよ!」
ジャックは魔天竜にオオトカゲの魔粉を浴びせかけると、
「魔物に宿し魂よ、上位魔物の魔粉を浴びよ! 浄化新生!・・・・・・」
アイラに教わった呪文を詠唱しようとするが、そんなものが効く相手ではない。魔天竜はオオトカゲより上位の魔神とも崇められる存在なのだ。
「やっぱり駄目か。ならば炎の魔法を・・・・・・炎の竜巻・・・・・・」
詠唱途中で魔天竜は容赦なく青白い炎をジャックに吐きかけた。咄嗟にジャックは隣のリリーを庇い、背中一面にその炎を浴びる。
「きゃぁーー! ジャックが死んじゃう! 誰か助けてぇええーー。助けてぇええーー!」
聖女は涙と鼻水でグチャグチャとなった顔を兄のハリーに向けた。
ところがハリーはここにいるはずもないアイラの名前を呼んで助けを求めていたのだった。
「アイラぁぁあああーー!! 助けろ! 僕を助けろぉおお。いつものように早く助けに来いよぉおおおおおお」
その声に反応した魔天竜は向きを変えハリーの正面から炎を浴びせた。そして、すっかりその身体を焼き尽くすと用は済んだとばかりに天を駆け巡り、巨大な身体の美しい鱗を陽光に煌めかせ隣国の方角に飛び去っていったのだった。
魔天竜が優美な姿で去った後に残されたのは、尻に大火傷を負った騎士達と背中に大火傷を負った瀕死の偽物勇者。自慢の顔に大火傷を負った偽物聖女。そして、焼け焦げた死体となったハリー・ジャスミンであった。
「なんだい! 勇者でも聖女でもないじゃないか! あいつらは皆大嘘つきだ!」
「そうだ、そうだ! わし達民衆を騙した極悪人だぁーー!」
民衆が憤り勇者達に石を投げ、罵倒を浴びせる。
一連の勇者達の様子を見ていた国王陛下は凄まじい怒りで額に青筋を浮かばせた。
「大嘘つきめ! 余を騙したな! つまりは魔物退治の功績者はアイラ・ジャスミンだったということか? おい、偽物勇者よ! オオトカゲを魔粉にしたのはアイラなのか?」
ジャックは苦痛に顔を歪めながら国王陛下の問いに頷き、その場に崩れる。
「あぁ、嘘なんてつくんじゃなかった・・・・・・アイラの手柄だったのに・・・・・・でも、リリーは守れたよ。リリー、ごめんよ」
「ちょっと、全然守れてないわよ! 私を見てよ! 顔が痛くて堪らないわ。熱くて焼けるようよ。こんなんじゃぁ助かっても嬉しくない!」
「ふん、安心しろ! 余に嘘をついた大罪人が生きていられると思うか? 死んだ者は森に打ち捨て供養は無用だ。怪我をした者の手当も必要ない! 大嘘つきは即刻、死刑だ。引っ捕らえろ!」
「いやぁあああーー。やめてよ、離してぇええ! 私は嘘なんてついてない! お兄様が勝手に聖女だって言ったのよ。私は悪くない! 被害者よ」
「リリー・ジャスミンよ! お前には口がある。兄の言葉を否定して真実を話すことはできたはずだ。それをしないで黙認したんだ。同罪だろう? そこのジャックも自らが勇者とは言わなかったが、ハリー・ジャスミンの言葉を明確に否定もしなかった。人の責任にするのはやめろ! 騎士に昇格した者達も嘘の報告を余にしたのだ。 自業自得だ」
リリーや尻を焦がした騎士達は項垂れて後悔の涙を流すのだった。
84
あなたにおすすめの小説
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
悪役令嬢扱いで国外追放?なら辺境で自由に生きます
タマ マコト
ファンタジー
王太子の婚約者として正しさを求め続けた侯爵令嬢セラフィナ・アルヴェインは、
妹と王太子の“真実の愛”を妨げた悪役令嬢として国外追放される。
家族にも見捨てられ、たった一人の侍女アイリスと共に辿り着いたのは、
何もなく、誰にも期待されない北方辺境。
そこで彼女は初めて、役割でも評価でもない「自分の人生」を生き直す決意をする。
王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~
玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。
その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは?
ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!
柚屋志宇
恋愛
「お姉様の婚約者ちょうだい!」欲しがり妹ルビーは、ついにサフィールの婚約者を欲しがった。
サフィールはコランダム子爵家の跡継ぎだったが、妹ルビーを溺愛する両親は、婚約者も跡継ぎの座もサフィールから奪いルビーに与えると言い出した。
サフィールは絶望したが、婚約者アルマンディンの助けでこの問題は国王に奏上され、サフィールとルビーの立場は大きく変わる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
★2025/11/22:HOTランキング1位ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる