18 / 29
17 婚約破棄
しおりを挟む
「ひっ・・・・・・! と、特に意味はございません。ただ、なんとなく・・・・・・つい口から出てしまっただけでございます!」
アメリが青ざめた顔で必死に言い繕う。けれど震える声は明らかに動揺を示し、その弁明は大聖堂に空しく響くだけだった。
「お母様のおっしゃる通りです。本当に深い意味などなくて・・・・・・ただ、ふと口をついて出ただけです」
メルバもまた、アメリに倣うように慌てて言葉を重ね、口元だけを引きつらせるように笑った。
お父様は血の気を失った顔で、アメリとメルバを交互に見やる。その表情から察するに、私の誘拐事件については本当に知らされていなかったのだろう。
「ほぉ・・・・・・余には穏やかならぬ言葉に聞こえたぞ。通常、そのような言葉を吐く者は、何かしら後ろ暗いことをしている人間に他ならぬ。・・・・・・余を見くびるな!」
国王陛下の叱責に、大聖堂の空気が震えた。
「わ、私は本当に何も知りません!」
メルバが慌てて声を上げる。
「すべてはお母様が勝手にやったことですわ! 私は止めようとしたのに・・・・・・!」
必死の弁明は母親を犠牲にしてでも、自分だけは逃れようとするずるさに満ちていた。
「なっ・・・・・・何を言い出すの!」
アメリが顔を引き攣らせ、娘に食ってかかる。
「メルバが泣きついてきたから、私は仕方なく手を下してきたんじゃない! あなたがちゃんと勉強していさえすれば成績を偽装する必要もなかったし、聖女の力が本物であればあんなことをせずに済んだのよ。何もかも、スカーレットより劣るあなたが悪いんじゃない!」
神聖なる大聖堂で繰り広げられる醜悪な親子喧嘩に、貴族たちの間からひそひそと呆れ声が洩れた。
「なんと愚劣な・・・・・・」
「大聖堂で口汚く言い争うとは・・・・・・恥知らずだ」
抑えきれぬ失笑と軽蔑の視線が、母娘を取り巻いていった。
その時、スチュアート様が一歩進み出て、落ち着いた声で国王陛下に向かって告げた。
「陛下、これ以上この母娘に弁明を許しても、醜態をさらすだけで時間の無駄です。ですから私から申し上げます。昨夜、スカーレット嬢は彼らの手の者によって拉致され、森に連れ込まれました。魔獣に襲わせるつもりだったのです。私は幸いその場に駆けつけ、彼女を救い出しましたが・・・・・・この母娘は、本物の聖女を闇に葬り去ろうとしたのです」
その言葉に、大聖堂全体が凍りつく。ざわめきはすぐに怒号へと変わり、幾人かの貴族は信じられぬものを見るようにアメリとメルバを凝視した。
「……何とも恐るべき、罪深き親子よ。メルバ、お前は聖女ではないのに聖女を騙り、この国を欺き、余までも欺いた。そればかりか、実の姉を魔獣の餌食にしようとした。人の道を外れた、人でなしの所業というほかあるまい。その罪の重さ、分かっておるか。本来ならば、この場で極刑に処してしかるべき大罪だ」
国王陛下が低く、しかし雷鳴のごとき響きを帯びた声で宣告した。メルバが青ざめて震え上がる。けれど国王陛下はさらに声を張り上げた。
「しかし、今年は王女の慶事の年。めでたき年に血を流すことは許されぬ。ゆえに死をもって贖わせはせぬ。その代わり、命よりも重い恥辱を背負い、生涯をかけて罪をさらすのだ! アメリも同罪とする!」
その裁きの声は、大聖堂の隅々にまで轟き渡り、誰ひとりとして息を呑む以外にできなかった。
「生涯をかけて罪を晒す? いったいどんなことをさせるというのですか?」
アメリは恐怖に顔を引き攣らせ、全身を震わせていた。
「痛いのは嫌です! 絶対に痛いのは嫌!」
駄々をこねるように叫んだのはメルバだった。その子供じみた姿に、居並ぶ貴族たちの間から失笑が漏れる。
お父様は蒼白な顔で、ただ何度も国王陛下に向かって首を振っていた。
「し、知りませなんだ・・・・・・! 私は何も知らなかったのです! 全ては妻と娘が勝手に・・・・・・私は、この件には一切関わっていません」
その必死の言い訳は、見苦しいほどに大聖堂へ響き渡った。
国王陛下はお父様の言葉は無視なさって、メルバに向かって声をかけた。
「メルバよ、安心せよ。痛いことはせぬ。何しろ今年は孫が生まれた、めでたい年であるからな。血は流したくない。まず第二王子レオンハルトとの婚約を破棄させる」
陛下のお言葉のとおり、今年は降嫁された王女殿下が第一子をお産みになり、王家にとって慶び尽きぬ年だった。
その言葉に従い、レオンハルト殿下が前へ進み出た。人々の視線が彼に注がれる中、殿下は毅然と顔を上げ、冷然とメルバを見据えて宣言した。
「メルバ。お前との婚約は、今この時をもって破棄する。偽りと欺瞞にまみれた者を、王族の伴侶とすることなど断じてありえない。私の隣に立つ資格など、最初から君にはなかったのだ」
「そ、そんなぁ。第二王子妃になれると思っていたのにぃ」
メルバの叫びに、レオンハルト殿下は冷笑を浮かべて答えた。
「第二王子妃? 我が国にそのような称号は存在しない。仮に私と婚姻を結んだとしても、私は王家を離れ臣下となる身。その妻に妃の称号が与えられるはずがないだろう! お前は我が国の法も知らないのか? 姉の手柄を奪い取ることしか能のない者は、やはり頭の中も空っぽなのだな」
レオンハルト殿下の言葉が大聖堂に響き渡った瞬間、夫人たちが口元を扇で隠しながら、クスクスと笑い声を漏らした。
「第二王子妃ですって。妃と呼ばれるのは国王陛下と王太子殿下の正妻だけですのに」
「あまりにも無知で、聞いていて恥ずかしくなりますわね」
「幼い子供でも知っている常識ですのに」
ささやきは次々と広がり、やがて大聖堂全体を満たす。笑いの矛先は一斉にメルバへと注がれ、彼女を容赦なく追い詰めていった。
「な、なんでよ? 私は・・・・・・カーク女侯爵にもなって、第二王子妃と呼ばれると思っていたのに! レオンハルト様と結婚すれば、爵位も称号も、全部手に入るんじゃないの?」
涙を滲ませ、掠れた声で言い続けるメルバ。けれどその必死の声は、むしろ失笑を誘うばかりだった。絶望に顔を歪める彼女の姿は、もはや貴族の娘としての威厳の欠片も残してはいなかった。
その惨めな光景を見下ろしながら、国王陛下が再び声を上げられる。
「……さて。これで終わりではないぞ。余が科す断罪は、まだこれからだ」
威厳を帯びた低い声が大聖堂に轟き、空気が一層張り詰めた。これから先に待ち受ける裁きの重さを、誰もが息を呑んで感じ取っていたのだった。
アメリが青ざめた顔で必死に言い繕う。けれど震える声は明らかに動揺を示し、その弁明は大聖堂に空しく響くだけだった。
「お母様のおっしゃる通りです。本当に深い意味などなくて・・・・・・ただ、ふと口をついて出ただけです」
メルバもまた、アメリに倣うように慌てて言葉を重ね、口元だけを引きつらせるように笑った。
お父様は血の気を失った顔で、アメリとメルバを交互に見やる。その表情から察するに、私の誘拐事件については本当に知らされていなかったのだろう。
「ほぉ・・・・・・余には穏やかならぬ言葉に聞こえたぞ。通常、そのような言葉を吐く者は、何かしら後ろ暗いことをしている人間に他ならぬ。・・・・・・余を見くびるな!」
国王陛下の叱責に、大聖堂の空気が震えた。
「わ、私は本当に何も知りません!」
メルバが慌てて声を上げる。
「すべてはお母様が勝手にやったことですわ! 私は止めようとしたのに・・・・・・!」
必死の弁明は母親を犠牲にしてでも、自分だけは逃れようとするずるさに満ちていた。
「なっ・・・・・・何を言い出すの!」
アメリが顔を引き攣らせ、娘に食ってかかる。
「メルバが泣きついてきたから、私は仕方なく手を下してきたんじゃない! あなたがちゃんと勉強していさえすれば成績を偽装する必要もなかったし、聖女の力が本物であればあんなことをせずに済んだのよ。何もかも、スカーレットより劣るあなたが悪いんじゃない!」
神聖なる大聖堂で繰り広げられる醜悪な親子喧嘩に、貴族たちの間からひそひそと呆れ声が洩れた。
「なんと愚劣な・・・・・・」
「大聖堂で口汚く言い争うとは・・・・・・恥知らずだ」
抑えきれぬ失笑と軽蔑の視線が、母娘を取り巻いていった。
その時、スチュアート様が一歩進み出て、落ち着いた声で国王陛下に向かって告げた。
「陛下、これ以上この母娘に弁明を許しても、醜態をさらすだけで時間の無駄です。ですから私から申し上げます。昨夜、スカーレット嬢は彼らの手の者によって拉致され、森に連れ込まれました。魔獣に襲わせるつもりだったのです。私は幸いその場に駆けつけ、彼女を救い出しましたが・・・・・・この母娘は、本物の聖女を闇に葬り去ろうとしたのです」
その言葉に、大聖堂全体が凍りつく。ざわめきはすぐに怒号へと変わり、幾人かの貴族は信じられぬものを見るようにアメリとメルバを凝視した。
「……何とも恐るべき、罪深き親子よ。メルバ、お前は聖女ではないのに聖女を騙り、この国を欺き、余までも欺いた。そればかりか、実の姉を魔獣の餌食にしようとした。人の道を外れた、人でなしの所業というほかあるまい。その罪の重さ、分かっておるか。本来ならば、この場で極刑に処してしかるべき大罪だ」
国王陛下が低く、しかし雷鳴のごとき響きを帯びた声で宣告した。メルバが青ざめて震え上がる。けれど国王陛下はさらに声を張り上げた。
「しかし、今年は王女の慶事の年。めでたき年に血を流すことは許されぬ。ゆえに死をもって贖わせはせぬ。その代わり、命よりも重い恥辱を背負い、生涯をかけて罪をさらすのだ! アメリも同罪とする!」
その裁きの声は、大聖堂の隅々にまで轟き渡り、誰ひとりとして息を呑む以外にできなかった。
「生涯をかけて罪を晒す? いったいどんなことをさせるというのですか?」
アメリは恐怖に顔を引き攣らせ、全身を震わせていた。
「痛いのは嫌です! 絶対に痛いのは嫌!」
駄々をこねるように叫んだのはメルバだった。その子供じみた姿に、居並ぶ貴族たちの間から失笑が漏れる。
お父様は蒼白な顔で、ただ何度も国王陛下に向かって首を振っていた。
「し、知りませなんだ・・・・・・! 私は何も知らなかったのです! 全ては妻と娘が勝手に・・・・・・私は、この件には一切関わっていません」
その必死の言い訳は、見苦しいほどに大聖堂へ響き渡った。
国王陛下はお父様の言葉は無視なさって、メルバに向かって声をかけた。
「メルバよ、安心せよ。痛いことはせぬ。何しろ今年は孫が生まれた、めでたい年であるからな。血は流したくない。まず第二王子レオンハルトとの婚約を破棄させる」
陛下のお言葉のとおり、今年は降嫁された王女殿下が第一子をお産みになり、王家にとって慶び尽きぬ年だった。
その言葉に従い、レオンハルト殿下が前へ進み出た。人々の視線が彼に注がれる中、殿下は毅然と顔を上げ、冷然とメルバを見据えて宣言した。
「メルバ。お前との婚約は、今この時をもって破棄する。偽りと欺瞞にまみれた者を、王族の伴侶とすることなど断じてありえない。私の隣に立つ資格など、最初から君にはなかったのだ」
「そ、そんなぁ。第二王子妃になれると思っていたのにぃ」
メルバの叫びに、レオンハルト殿下は冷笑を浮かべて答えた。
「第二王子妃? 我が国にそのような称号は存在しない。仮に私と婚姻を結んだとしても、私は王家を離れ臣下となる身。その妻に妃の称号が与えられるはずがないだろう! お前は我が国の法も知らないのか? 姉の手柄を奪い取ることしか能のない者は、やはり頭の中も空っぽなのだな」
レオンハルト殿下の言葉が大聖堂に響き渡った瞬間、夫人たちが口元を扇で隠しながら、クスクスと笑い声を漏らした。
「第二王子妃ですって。妃と呼ばれるのは国王陛下と王太子殿下の正妻だけですのに」
「あまりにも無知で、聞いていて恥ずかしくなりますわね」
「幼い子供でも知っている常識ですのに」
ささやきは次々と広がり、やがて大聖堂全体を満たす。笑いの矛先は一斉にメルバへと注がれ、彼女を容赦なく追い詰めていった。
「な、なんでよ? 私は・・・・・・カーク女侯爵にもなって、第二王子妃と呼ばれると思っていたのに! レオンハルト様と結婚すれば、爵位も称号も、全部手に入るんじゃないの?」
涙を滲ませ、掠れた声で言い続けるメルバ。けれどその必死の声は、むしろ失笑を誘うばかりだった。絶望に顔を歪める彼女の姿は、もはや貴族の娘としての威厳の欠片も残してはいなかった。
その惨めな光景を見下ろしながら、国王陛下が再び声を上げられる。
「……さて。これで終わりではないぞ。余が科す断罪は、まだこれからだ」
威厳を帯びた低い声が大聖堂に轟き、空気が一層張り詰めた。これから先に待ち受ける裁きの重さを、誰もが息を呑んで感じ取っていたのだった。
1,659
あなたにおすすめの小説
【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】
聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。
「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」
甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!?
追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。
癒しの聖女を追放した王国は、守護神に愛想をつかされたそうです。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
癒しの聖女は身を削り激痛に耐え、若さを犠牲にしてまで五年間も王太子を治療した。十七歳なのに、歯も全て抜け落ちた老婆の姿にまでなって、王太子を治療した。だがその代償の与えられたのは、王侯貴族達の嘲笑と婚約破棄、そして実質は追放と死刑に繋がる領地と地位だった。この行いに、守護神は深く静かに激怒した。
「華がない」と婚約破棄された私が、王家主催の舞踏会で人気です。
百谷シカ
恋愛
「君には『華』というものがない。そんな妻は必要ない」
いるんだかいないんだかわからない、存在感のない私。
ニネヴィー伯爵令嬢ローズマリー・ボイスは婚約を破棄された。
「無難な妻を選んだつもりが、こうも無能な娘を生むとは」
父も私を見放し、母は意気消沈。
唯一の望みは、年末に控えた王家主催の舞踏会。
第1王子フランシス殿下と第2王子ピーター殿下の花嫁選びが行われる。
高望みはしない。
でも多くの貴族が集う舞踏会にはチャンスがある……はず。
「これで結果を出せなければお前を修道院に入れて離婚する」
父は無慈悲で母は絶望。
そんな私の推薦人となったのは、ゼント伯爵ジョシュア・ロス卿だった。
「ローズマリー、君は可愛い。君は君であれば完璧なんだ」
メルー侯爵令息でもありピーター殿下の親友でもあるゼント伯爵。
彼は私に勇気をくれた。希望をくれた。
初めて私自身を見て、褒めてくれる人だった。
3ヶ月の準備期間を経て迎える王家主催の舞踏会。
華がないという理由で婚約破棄された私は、私のままだった。
でも最有力候補と噂されたレーテルカルノ伯爵令嬢と共に注目の的。
そして親友が推薦した花嫁候補にピーター殿下はとても好意的だった。
でも、私の心は……
===================
(他「エブリスタ」様に投稿)
プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!
山田 バルス
恋愛
王都の中央にそびえる黄金の魔塔――その頂には、選ばれし者のみが入ることを許された「王都学院」が存在する。魔法と剣の才を持つ貴族の子弟たちが集い、王国の未来を担う人材が育つこの学院に、一人の少女が通っていた。
名はベアトリス=ローデリア。金糸を編んだような髪と、透き通るような青い瞳を持つ、美しき伯爵令嬢。気品と誇りを備えた彼女は、その立ち居振る舞いひとつで周囲の目を奪う、まさに「王都の金の薔薇」と謳われる存在であった。
だが、彼女には胸に秘めた切ない想いがあった。
――婚約者、シャルル=フォンティーヌ。
同じ伯爵家の息子であり、王都学院でも才気あふれる青年として知られる彼は、ベアトリスの幼馴染であり、未来を誓い合った相手でもある。だが、学院に入ってからというもの、シャルルは王女殿下と共に生徒会での活動に没頭するようになり、ベアトリスの前に姿を見せることすら稀になっていった。
そんなある日、ベアトリスは前世を思い出した。この世界はかつて病院に入院していた時の乙女ゲームの世界だと。
そして、自分は悪役令嬢だと。ゲームのシナリオをぶち壊すために、ベアトリスは立ち上がった。
レベルを上げに励み、頂点を極めた。これでゲームシナリオはぶち壊せる。
そう思ったベアトリスに真の目的が見つかった。前世では病院食ばかりだった。好きなものを食べられずに死んでしまった。だから、この世界では美味しいものを食べたい。ベアトリスの食への欲求を満たす旅が始まろうとしていた。
王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる