1 / 9
1 妹のフローレンスは可愛いものよ
しおりを挟む
「聞いてくれ、エリーゼ! 実はな、我がポピンズ候爵家は借金がたくさんある!」
お父様は私をサロンに呼びつけなぜか胸を張った。
「はい、存じ上げておりますわ」
お母様と妹が次々と散財するのでいつもポピンズ候爵家は赤字だった。
「それでだ、エリーゼにはリッチ候爵家の嫡男に嫁いでもらいたい!」
「あの全く社交界に顔を出さないフェルゼン様ですね? なにやらよからぬ噂がありますけれど、怪物だとか・・・・・・面白そうですわねぇ~~」
少しも嫌がらない私に両親は目を剥いて驚きの顔を向けてきた。
「いいのか? 恐ろしく醜いかもしれないのだぞ?」
とお父様は念を押し、
「途中で嫌だと帰ってきてもこの屋敷には入れませんよ!」
と脅すように私に言い放つお母様。
「あら、大丈夫ですわぁ。醜いなんて嘘かもしれませんしね。だってよくおとぎ話でも醜い振りをして、実はとても美しかった令嬢や王子様のお話がたくさんありますものね!」
にこにこと答える私に妹のフローレンスが顔色を変えた。
「お姉様! ずるい! だったらそのフェルゼン様と婚約するのは私です! だって、リッチ家は大金持ちですもの! お父様、私をフェルゼン様の婚約者にしてください。お姉様、いいでしょう?」
フローレンスは蜂蜜色のふわふわ毛を揺らせながら叫んだ。
「もちろん、いいですわよ。面白そうだと思ったけれどフローレンスにフェルゼン様を譲るわ」
私は軽く微笑んで庭園から漂う薔薇の香りに酔いしれた。
「今日もなんて綺麗に薔薇が咲いているのかしらぁ。香りも素敵だし良いお天気だし、最高にいい日ねぇ」
私がのんびりと伸びをするとフローレンスと両親は、びっくりしたような顔でこちらを見てきた。
「そんな当たり前のことで幸せを感じるなんてお姉様って本当に不幸な方ねぇ。バカみたいですわ」
「そうよ、薔薇はいい香りがするのは当然ですし、天気が良いのもこの時期は当たり前! 雨なんてめったに降らないじゃないの?」
お母様はフンと鼻を鳴らした。
「まぁ、こんなに気持ちの良い日に感謝をしないなんてもったいない。人生の半分は損をしていましてよ?」
私はコロコロと笑いながらその場を後にした。
自分がこの世界ではない場所で生きていたという記憶は幼い頃に蘇ったものだ。きっかけはフローレンスに思いっきり突き飛ばされて噴水の角に頭をぶつけて気絶したこと。
大怪我をしたけれどこれもフローレンスには感謝している。だって、それがなければ思い出さなかったから。
そう、私は久我陽葵。日本という国で妹弟が多い家庭で育った長女。母親は末っ子を産んですぐに他界しており、私は妹弟の面倒を見ながら家事をこなし高校に通っていた苦労人だったのよ。父は仕事で大抵いなかったからその大変さはすさまじかった。
それを思えばこの異世界の優雅な貴族の暮らしは天国よ。妹のフローレンスはお人形さんみたいに可愛いし、ねだり魔なのは前の世界での末っ子にそっくりで憎めない。
それに私の前世は冴えない女子高校生だったけれど、今は金髪碧眼の美人で身体もボンキュボンなのが嬉しい。もう、生きているだけで幸せ感じちゃう。
お父様は私をサロンに呼びつけなぜか胸を張った。
「はい、存じ上げておりますわ」
お母様と妹が次々と散財するのでいつもポピンズ候爵家は赤字だった。
「それでだ、エリーゼにはリッチ候爵家の嫡男に嫁いでもらいたい!」
「あの全く社交界に顔を出さないフェルゼン様ですね? なにやらよからぬ噂がありますけれど、怪物だとか・・・・・・面白そうですわねぇ~~」
少しも嫌がらない私に両親は目を剥いて驚きの顔を向けてきた。
「いいのか? 恐ろしく醜いかもしれないのだぞ?」
とお父様は念を押し、
「途中で嫌だと帰ってきてもこの屋敷には入れませんよ!」
と脅すように私に言い放つお母様。
「あら、大丈夫ですわぁ。醜いなんて嘘かもしれませんしね。だってよくおとぎ話でも醜い振りをして、実はとても美しかった令嬢や王子様のお話がたくさんありますものね!」
にこにこと答える私に妹のフローレンスが顔色を変えた。
「お姉様! ずるい! だったらそのフェルゼン様と婚約するのは私です! だって、リッチ家は大金持ちですもの! お父様、私をフェルゼン様の婚約者にしてください。お姉様、いいでしょう?」
フローレンスは蜂蜜色のふわふわ毛を揺らせながら叫んだ。
「もちろん、いいですわよ。面白そうだと思ったけれどフローレンスにフェルゼン様を譲るわ」
私は軽く微笑んで庭園から漂う薔薇の香りに酔いしれた。
「今日もなんて綺麗に薔薇が咲いているのかしらぁ。香りも素敵だし良いお天気だし、最高にいい日ねぇ」
私がのんびりと伸びをするとフローレンスと両親は、びっくりしたような顔でこちらを見てきた。
「そんな当たり前のことで幸せを感じるなんてお姉様って本当に不幸な方ねぇ。バカみたいですわ」
「そうよ、薔薇はいい香りがするのは当然ですし、天気が良いのもこの時期は当たり前! 雨なんてめったに降らないじゃないの?」
お母様はフンと鼻を鳴らした。
「まぁ、こんなに気持ちの良い日に感謝をしないなんてもったいない。人生の半分は損をしていましてよ?」
私はコロコロと笑いながらその場を後にした。
自分がこの世界ではない場所で生きていたという記憶は幼い頃に蘇ったものだ。きっかけはフローレンスに思いっきり突き飛ばされて噴水の角に頭をぶつけて気絶したこと。
大怪我をしたけれどこれもフローレンスには感謝している。だって、それがなければ思い出さなかったから。
そう、私は久我陽葵。日本という国で妹弟が多い家庭で育った長女。母親は末っ子を産んですぐに他界しており、私は妹弟の面倒を見ながら家事をこなし高校に通っていた苦労人だったのよ。父は仕事で大抵いなかったからその大変さはすさまじかった。
それを思えばこの異世界の優雅な貴族の暮らしは天国よ。妹のフローレンスはお人形さんみたいに可愛いし、ねだり魔なのは前の世界での末っ子にそっくりで憎めない。
それに私の前世は冴えない女子高校生だったけれど、今は金髪碧眼の美人で身体もボンキュボンなのが嬉しい。もう、生きているだけで幸せ感じちゃう。
67
あなたにおすすめの小説
お姉さまは最愛の人と結ばれない。
りつ
恋愛
――なぜならわたしが奪うから。
正妻を追い出して伯爵家の後妻になったのがクロエの母である。愛人の娘という立場で生まれてきた自分。伯爵家の他の兄弟たちに疎まれ、毎日泣いていたクロエに手を差し伸べたのが姉のエリーヌである。彼女だけは他の人間と違ってクロエに優しくしてくれる。だからクロエは姉のために必死にいい子になろうと努力した。姉に婚約者ができた時も、心から上手くいくよう願った。けれど彼はクロエのことが好きだと言い出して――
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?
志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」
第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。
「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」
「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」
「そうですわ、お姉様」
王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。
「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」
私だけが知っている妹の秘密。
それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。
婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。
将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。
レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。
「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です
涙乃(るの)
恋愛
男爵家の双子の姉妹のフィオーリとクリスティナは、髪色以外はよく似ている。
姉のフィオーリ宛にとある伯爵家から結婚の申し込みが。
結婚式の1ヶ月前に伯爵家へと住まいを移すように提案されると、フィオーリはクリスティナへ式までの代役を依頼する。
「クリスティナ、大丈夫。絶対にバレないから!
結婚式に入れ替われば問題ないから。お願い」
いえいえいえ、問題しかないと思いますよ。
ゆるい設定世界観です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる