18 / 39
18.リディアの苛立ち
しおりを挟む
リディアにとってアーバント帝国は、大国だという意識はあっても、野蛮な国という意識だった。
そのため、リディアに傾倒して留学という手段をもって、ルングレム王国に来ていたディリスがルングレム王国を田舎と称した時、初めて興味を持った。
確かにディリスの持ち物は、どれも一級品で、リディアに贈られる品物も、アイザックがくれるより質が上。
ただし、それはリディア自身に振り向いてほしいため、無理してアイザックよりも良いものを贈ってくれているのだと思っていた。
しかし、それはアーバント帝国に来て意識が変わった。
そして、留学が決まり、ディリスの邸宅でお世話になることになった。
しかし、今は苛立ちしかない。
こんな屈辱生まれて初めてだった。
それは登校初日。
言葉も分からないのに、従妹のアメルが自分に気を使って通訳を買って出なかったことから始まり、ディリスがあまりにも情けなく見え、最後はアイザックとその側近が女子に言い寄られてデレデレしている姿を見たことだ。
だから、アイザックを正気に戻すために、娼婦のような女を排除しようとしただけなのに。
悪いことは何もしていない、リディアはただ王太子であるアイザックの品位を守ろうとしただけなのに。
しかし、アイザックはリディアに謝罪するように言った。
なぜ?
身分もわきまえずに王太子に無礼なふるまいをしていたのはそこの女なのに!
そう訴えても、教師から注意も受けた。
なぜ平民の分際で自分を注意して、無礼を働いた女を庇うのか理解できない。
リディアはいずれアイザックと結婚して、王族の一員となる予定だったが、これでは考えなおさなければならない。
いらいらした苛立ちは、帰宅時間になっても収まらなかった。
アイザックが迎えに来れば、許してあげたのに、彼は姿さえ見せなかった。
迎えに来てくれたディリスに、事細かにどれだけ自分が正しい行いをしたのか訴え、ディリスはそれを肯定してくれたのだけは、良かったと思う。
アイザックもディリスの邸宅で世話になっているので、リディアはアイザックの顔を見ると気分が悪くなると言えば、きっとなんとかしてくれる。
「リディアは何も悪くないのだから、堂々としていればいいさ。アイザックたちに出て行ってもらおう。何、このアーバント帝国には一流のホテルがいくつもあるし、留学生には学校寮もある。多少不便でもそれくらい我慢してもらおう」
「ディリス様、お願いします。今はあなただけが頼りなんです」
「ああもちろんだ。そうだ、気分を変えて買い物でもしないか? アーバント帝国に来たばかりで色々必要なものもそろっていないだろう? 宝石でもドレスでもなんでも買ってあげよう」
「本当ですか? うれしいです、ディリス様」
やはり、こうでなければ。
リディアは機嫌を少し浮上させ、ディリスの案内の元アーバント帝国の帝都を馬車の中から眺める。
やはり悔しいがルングレム王国よりも、豊に感じた。
平民の着ているものも、貴族並みの質の良さだったりする。
平民が貴族以上のものを身に着けるなど、身分制度で厳しいルングレム王国では考えられない。
しかし、これが現実だ。
「ねぇディリス様。もしかして平民は貴族の事を敬っていないんですか? だから今日の女みたいな身をわきまえない女がいるのかしら?」
「悲しいことに、身分をわきまえない平民が多い事は事実さ。だからこそ私は皇帝になり、国を統率しあるべき姿にしようと試みていたんだ」
「ええ、ディリス様のおっしゃっていることは正しいと思います。ルングレム王国は、きちんと王族や貴族が平民を統率しておりますもの。思いあがった平民が多くなれば、内乱が起こるとわたしはきちんと歴史で知っています」
それなのに、歴史を繰り返そうとするような輩が多すぎる。
貴族が平民を統率できなくなれば、また戦争が起こると歴史に学んでいないのか、不思議だった。
「やはりリディアは頭がいいな! 私の考えをよく理解してくれている……、私にはリディアしか将来を考えられる女性はいないよ」
「ふふふ、でもわたしはアイザック様の婚約者候補ですよ。でも、それも少し考えなければならないかもしれませんが。浮気症のある男性と結婚しても、幸せになれないかもしれませんから。ただ、わたしも貴族の娘。家のために結婚するのは覚悟しています」
「リディア、今はそう考えるな。アーバント帝国にいるときくらい、楽しいことを考えてほしい。そして、アーバント帝国がルングレム王国よりも暮らしやすい国であると、証明させてくれ」
リディアの機嫌がだいぶ戻ってきた。
しかし、それも少しの間だけだった。
そのため、リディアに傾倒して留学という手段をもって、ルングレム王国に来ていたディリスがルングレム王国を田舎と称した時、初めて興味を持った。
確かにディリスの持ち物は、どれも一級品で、リディアに贈られる品物も、アイザックがくれるより質が上。
ただし、それはリディア自身に振り向いてほしいため、無理してアイザックよりも良いものを贈ってくれているのだと思っていた。
しかし、それはアーバント帝国に来て意識が変わった。
そして、留学が決まり、ディリスの邸宅でお世話になることになった。
しかし、今は苛立ちしかない。
こんな屈辱生まれて初めてだった。
それは登校初日。
言葉も分からないのに、従妹のアメルが自分に気を使って通訳を買って出なかったことから始まり、ディリスがあまりにも情けなく見え、最後はアイザックとその側近が女子に言い寄られてデレデレしている姿を見たことだ。
だから、アイザックを正気に戻すために、娼婦のような女を排除しようとしただけなのに。
悪いことは何もしていない、リディアはただ王太子であるアイザックの品位を守ろうとしただけなのに。
しかし、アイザックはリディアに謝罪するように言った。
なぜ?
身分もわきまえずに王太子に無礼なふるまいをしていたのはそこの女なのに!
そう訴えても、教師から注意も受けた。
なぜ平民の分際で自分を注意して、無礼を働いた女を庇うのか理解できない。
リディアはいずれアイザックと結婚して、王族の一員となる予定だったが、これでは考えなおさなければならない。
いらいらした苛立ちは、帰宅時間になっても収まらなかった。
アイザックが迎えに来れば、許してあげたのに、彼は姿さえ見せなかった。
迎えに来てくれたディリスに、事細かにどれだけ自分が正しい行いをしたのか訴え、ディリスはそれを肯定してくれたのだけは、良かったと思う。
アイザックもディリスの邸宅で世話になっているので、リディアはアイザックの顔を見ると気分が悪くなると言えば、きっとなんとかしてくれる。
「リディアは何も悪くないのだから、堂々としていればいいさ。アイザックたちに出て行ってもらおう。何、このアーバント帝国には一流のホテルがいくつもあるし、留学生には学校寮もある。多少不便でもそれくらい我慢してもらおう」
「ディリス様、お願いします。今はあなただけが頼りなんです」
「ああもちろんだ。そうだ、気分を変えて買い物でもしないか? アーバント帝国に来たばかりで色々必要なものもそろっていないだろう? 宝石でもドレスでもなんでも買ってあげよう」
「本当ですか? うれしいです、ディリス様」
やはり、こうでなければ。
リディアは機嫌を少し浮上させ、ディリスの案内の元アーバント帝国の帝都を馬車の中から眺める。
やはり悔しいがルングレム王国よりも、豊に感じた。
平民の着ているものも、貴族並みの質の良さだったりする。
平民が貴族以上のものを身に着けるなど、身分制度で厳しいルングレム王国では考えられない。
しかし、これが現実だ。
「ねぇディリス様。もしかして平民は貴族の事を敬っていないんですか? だから今日の女みたいな身をわきまえない女がいるのかしら?」
「悲しいことに、身分をわきまえない平民が多い事は事実さ。だからこそ私は皇帝になり、国を統率しあるべき姿にしようと試みていたんだ」
「ええ、ディリス様のおっしゃっていることは正しいと思います。ルングレム王国は、きちんと王族や貴族が平民を統率しておりますもの。思いあがった平民が多くなれば、内乱が起こるとわたしはきちんと歴史で知っています」
それなのに、歴史を繰り返そうとするような輩が多すぎる。
貴族が平民を統率できなくなれば、また戦争が起こると歴史に学んでいないのか、不思議だった。
「やはりリディアは頭がいいな! 私の考えをよく理解してくれている……、私にはリディアしか将来を考えられる女性はいないよ」
「ふふふ、でもわたしはアイザック様の婚約者候補ですよ。でも、それも少し考えなければならないかもしれませんが。浮気症のある男性と結婚しても、幸せになれないかもしれませんから。ただ、わたしも貴族の娘。家のために結婚するのは覚悟しています」
「リディア、今はそう考えるな。アーバント帝国にいるときくらい、楽しいことを考えてほしい。そして、アーバント帝国がルングレム王国よりも暮らしやすい国であると、証明させてくれ」
リディアの機嫌がだいぶ戻ってきた。
しかし、それも少しの間だけだった。
400
あなたにおすすめの小説
【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません
かずきりり
恋愛
今日も約束を反故される。
……約束の時間を過ぎてから。
侍女の怒りに私の怒りが収まる日々を過ごしている。
貴族の結婚なんて、所詮は政略で。
家同士を繋げる、ただの契約結婚に過ぎない。
なのに……
何もかも義姉優先。
挙句、式や私の部屋も義姉の言いなりで、義姉の望むまま。
挙句の果て、侯爵家なのだから。
そっちは子爵家なのだからと見下される始末。
そんな相手に信用や信頼が生まれるわけもなく、ただ先行きに不安しかないのだけれど……。
更に、バージンロードを義姉に歩かせろだ!?
流石にそこはお断りしますけど!?
もう、付き合いきれない。
けれど、婚約白紙を今更出来ない……
なら、新たに契約を結びましょうか。
義理や人情がないのであれば、こちらは情けをかけません。
-----------------------
※こちらの作品はカクヨムでも掲載しております。
【完結】真実の愛のキスで呪い解いたの私ですけど、婚約破棄の上断罪されて処刑されました。時間が戻ったので全力で逃げます。
かのん
恋愛
真実の愛のキスで、婚約者の王子の呪いを解いたエレナ。
けれど、何故か王子は別の女性が呪いを解いたと勘違い。そしてあれよあれよという間にエレナは見知らぬ罪を着せられて処刑されてしまう。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」 これは。処刑台にて首チョンパされた瞬間、王子にキスした時間が巻き戻った少女が、全力で王子から逃げた物語。
ゆるふわ設定です。ご容赦ください。全16話。本日より毎日更新です。短めのお話ですので、気楽に頭ふわっと読んでもらえると嬉しいです。※王子とは結ばれません。 作者かのん
.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.ホットランキング8位→3位にあがりました!ひゃっほーー!!!ありがとうございます!
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。
平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました
Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。
伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。
理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。
これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる