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6.お父様との会話
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本当に疲れた。ユーシス様があんなに話の通じない人だとは思わなかった。わたしと結婚するの一点張りだった。ジョゼフがいなければもっと大変だっただろう。ジョゼフと騒動を知った別荘の使用人たちはユーシス様をものすごい勢いで別荘から追い出した。
使用人たちはまさか二人が別荘でそのようなことをしているとは思っていなかったのでかなり憤慨している。皆わたしを慰めてくれ、結果的に二人の逢い引きを手助けすることになってしまったことを謝っていた。皆は何も悪くないのに……。お義母様は今部屋に軟禁状態になっている。当たり前だが、お義母様に対しては皆冷たくなってしまった。
はぁ……。お父様になんて言えば良いんだろう。とても気が重い。お義母様が浮気をして妊娠、しかもその相手はわたしの婚約者。
「アルティナ様、そんなに気負わなくてください。悪いのはロレッタ様たちです。旦那様の体のことはわたしの方から話しますから……」
「でも……」
「大丈夫ですよ。旦那様のことは大旦那様の手紙が残されています。もしもの時のためにと残されていました。隠すことを決めたのは大旦那様です。アルティナ様が背負う必要はありません。……それに、わたしも一緒に隠してきたのですから」
「そう……お祖父様が……。申し訳ないけれど、ジョゼフにお任せするわ」
あれから、すぐにお父様に連絡をしている。忙しいお父様の手を煩わせるのは心苦しかったが、こちらに来てもらう方が良いと考えたのだ。
「お父様……」
「アルティナ、大変だったね」
「いえ、お父様こそ……」
「無理はしなくて良い。おまえは現場を目撃してしまったんだろう? どれほどつらかったか……」
お父様の顔は暗い。すっかりやつれてしまっている。それなのにわたしのことを気遣ってくれる。本当に優しいお父様だ。
「お義母様とお話をされますか?」
「いや、まずはアルティナの話が先だ。ロレッタは放っておけば良い」
わたしとジョゼフはここで目撃したこと、話したことをお父様に説明した。お父様の体のことは除いて……。お父様の顔がどんどん変わっていく。
「ユーシスは浮気をした上でアルティナと結婚すると。しかも、ロレッタとの子供を二人の子として育てれば良いなどと……。そんなことはありえないだろ」
「えぇ。ですからきっぱりお断りしました。わたしに子供ができないかもしれないから丁度良いだろうなんて馬鹿にしています。それにわたしと結婚した後もお義母様と関係を続けるような言い方でしたから……」
「どこまでも失礼な男だ」
「旦那様、わたしのほうからもお話が……。まずはこれをお読みください。アルティナ様は少しお休みになってはいかがでしょうか? ずいぶんお疲れでしょう」
そう言ってジョゼフはお父様に手紙を渡した。きっとお祖父様が残した手紙だ。
「そうだな。わたしはこの手紙を読むから少し休んでおいで」
「はい。失礼しますね」
ジョゼフはお父様とわたし、それぞれに気を遣ってくれたのだと思う。お父様は手紙を読めばショックを受けるだろうし、わたしもそんなお父様にどう接すれば良いのかわからない。お父様はわたしに情けない姿なんてみられたくないだろう。ジョゼフの気遣いにありがたく甘えることにした。
部屋で休んでいるとお父様が訪ねてきた。
「アルティナ、いろいろとすまなかった」
「お父様が謝ることなど何もないと思いますが……」
「いや。ずっとおまえをだましていた。わたしたちは本当の親ではないのに親のふりを……」
「お父様! わたしはお父様とお母様の娘だと思ってはいけないのですか? オレリア母様は確かにわたしを産んだ母親かもしれません。けれど、わたしは二人の娘として育ちました。二人を本当の親だと思っていますし、娘として育ててくれて感謝しています。なのに、お父様に謝られてしまってはわたしは娘ではいられなくなってしまいます……」
「すまない。アルティナはわたしたちの子だ。オレリアには悪いが本当の自分たちの娘だと思っている」
「お父様……」
「泣かないでくれ、アルティナ」
「ごめんなさい。いろいろとこみ上げてきてしまって……。わたしはこれからもずっとお父様たちの娘です」
「あぁ、それは変わらないよ。余計なことを言ってしまってすまなかった。今までこのことを胸に秘めていたのはつらかっただろう」
「自分がお父様とお母様の娘でないことを認めるのが嫌だったのです。それにお父様のことをわたしが勝手に話すことはできませんから……。今回のことはわたしとジョゼフだけで確認して、何もなければ黙っていようと思っていました。まさかお義母様のお相手がユーシス様だとは思いませんでしたが……。わたしはこうなってしまった以上、ユーシス様とは結婚したくありませんし、慰謝料も請求したいです」
「それは当然だ。わたしもロレッタとは離婚する。お腹の子のことがなかったとしてもアルティナの婚約者と通じていたような人間とは暮らせない。父親がちゃんといるのだから二人が責任を持って育てるべきだろう」
「わたしもそう思います。ユーシス様がお義母様とちゃんと結婚するかはわかりませんが……」
お父様としばらく話していると、ジョゼフがお茶を持ってきてくれた。タイミングが良い。三人で今後のことを話し合った。
お義母様の家にもかなりの額を慰謝料を請求することになりそうだ。お義母様の実家は払えるのかしら……。
使用人たちはまさか二人が別荘でそのようなことをしているとは思っていなかったのでかなり憤慨している。皆わたしを慰めてくれ、結果的に二人の逢い引きを手助けすることになってしまったことを謝っていた。皆は何も悪くないのに……。お義母様は今部屋に軟禁状態になっている。当たり前だが、お義母様に対しては皆冷たくなってしまった。
はぁ……。お父様になんて言えば良いんだろう。とても気が重い。お義母様が浮気をして妊娠、しかもその相手はわたしの婚約者。
「アルティナ様、そんなに気負わなくてください。悪いのはロレッタ様たちです。旦那様の体のことはわたしの方から話しますから……」
「でも……」
「大丈夫ですよ。旦那様のことは大旦那様の手紙が残されています。もしもの時のためにと残されていました。隠すことを決めたのは大旦那様です。アルティナ様が背負う必要はありません。……それに、わたしも一緒に隠してきたのですから」
「そう……お祖父様が……。申し訳ないけれど、ジョゼフにお任せするわ」
あれから、すぐにお父様に連絡をしている。忙しいお父様の手を煩わせるのは心苦しかったが、こちらに来てもらう方が良いと考えたのだ。
「お父様……」
「アルティナ、大変だったね」
「いえ、お父様こそ……」
「無理はしなくて良い。おまえは現場を目撃してしまったんだろう? どれほどつらかったか……」
お父様の顔は暗い。すっかりやつれてしまっている。それなのにわたしのことを気遣ってくれる。本当に優しいお父様だ。
「お義母様とお話をされますか?」
「いや、まずはアルティナの話が先だ。ロレッタは放っておけば良い」
わたしとジョゼフはここで目撃したこと、話したことをお父様に説明した。お父様の体のことは除いて……。お父様の顔がどんどん変わっていく。
「ユーシスは浮気をした上でアルティナと結婚すると。しかも、ロレッタとの子供を二人の子として育てれば良いなどと……。そんなことはありえないだろ」
「えぇ。ですからきっぱりお断りしました。わたしに子供ができないかもしれないから丁度良いだろうなんて馬鹿にしています。それにわたしと結婚した後もお義母様と関係を続けるような言い方でしたから……」
「どこまでも失礼な男だ」
「旦那様、わたしのほうからもお話が……。まずはこれをお読みください。アルティナ様は少しお休みになってはいかがでしょうか? ずいぶんお疲れでしょう」
そう言ってジョゼフはお父様に手紙を渡した。きっとお祖父様が残した手紙だ。
「そうだな。わたしはこの手紙を読むから少し休んでおいで」
「はい。失礼しますね」
ジョゼフはお父様とわたし、それぞれに気を遣ってくれたのだと思う。お父様は手紙を読めばショックを受けるだろうし、わたしもそんなお父様にどう接すれば良いのかわからない。お父様はわたしに情けない姿なんてみられたくないだろう。ジョゼフの気遣いにありがたく甘えることにした。
部屋で休んでいるとお父様が訪ねてきた。
「アルティナ、いろいろとすまなかった」
「お父様が謝ることなど何もないと思いますが……」
「いや。ずっとおまえをだましていた。わたしたちは本当の親ではないのに親のふりを……」
「お父様! わたしはお父様とお母様の娘だと思ってはいけないのですか? オレリア母様は確かにわたしを産んだ母親かもしれません。けれど、わたしは二人の娘として育ちました。二人を本当の親だと思っていますし、娘として育ててくれて感謝しています。なのに、お父様に謝られてしまってはわたしは娘ではいられなくなってしまいます……」
「すまない。アルティナはわたしたちの子だ。オレリアには悪いが本当の自分たちの娘だと思っている」
「お父様……」
「泣かないでくれ、アルティナ」
「ごめんなさい。いろいろとこみ上げてきてしまって……。わたしはこれからもずっとお父様たちの娘です」
「あぁ、それは変わらないよ。余計なことを言ってしまってすまなかった。今までこのことを胸に秘めていたのはつらかっただろう」
「自分がお父様とお母様の娘でないことを認めるのが嫌だったのです。それにお父様のことをわたしが勝手に話すことはできませんから……。今回のことはわたしとジョゼフだけで確認して、何もなければ黙っていようと思っていました。まさかお義母様のお相手がユーシス様だとは思いませんでしたが……。わたしはこうなってしまった以上、ユーシス様とは結婚したくありませんし、慰謝料も請求したいです」
「それは当然だ。わたしもロレッタとは離婚する。お腹の子のことがなかったとしてもアルティナの婚約者と通じていたような人間とは暮らせない。父親がちゃんといるのだから二人が責任を持って育てるべきだろう」
「わたしもそう思います。ユーシス様がお義母様とちゃんと結婚するかはわかりませんが……」
お父様としばらく話していると、ジョゼフがお茶を持ってきてくれた。タイミングが良い。三人で今後のことを話し合った。
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