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2学期
勉強会へようこそ 。その1
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土日と僕の気持ちは意外にも冷静かつプラス思考だった。
もう少し悩んだり動揺するかと思ったが…。
別人みたいだ…。
自分でも何かが違うのを感じた。
田宮はこの変化を恐れているのかな。
月曜日になって支度をしながら鏡を見つめた。
見かけはまったく以前と同じ…何が変わったんだ僕は…?
髪をオールバックにセットして、ワイシャツとネクタイを装着した。
気合いは十分だった。
僕は今朝は旧理科準備室へは行かなかった。
決心が鈍るといけないと思った。
ある意味、僕は今日彼女と対決しなければならない。
テスト返却後、他の生徒の前で白紙答案を出した彼女を叱り、生徒指導室へ呼ばなくてはならない。
職員室に入るとまだ、数人の先生しか出勤していなかった。
僕は自分の席に座ると、引き出しからパグ犬のストラップを取り出し、手帳と一緒に胸ポケットにしまった。
もう12月に入ってしまってる。
早いな…。
あの夏の日の彼女をまだ鮮明に思い出せるのに…月日はあっという間に流れて行く。
金井先生は彼女にプロポーズしてクリスマスイブは彼女と過ごすつもりだろう。
そして、きっと僕の言った通り…彼女は金井先生と…。
「ふぅ…。」
考えても仕方ない事だ。
彼女は僕のものじゃない。
わかってる…誰よりも…わかってる…。
僕は気持ちを切り替えて、今日1日の準備を始めた。
「おっす。早ぇ~な。武本。」
「おはようございます。清水先生。」
清水先生がコートを脱ぎながら入って来た。
僕は自分清水先生のコーヒーを入れた。
「サンキュー。
…で、生徒指導室に呼び出すのか?」
「ええ。
そうしないと、他の生徒に示しがつかないですから。」
「あんまり、イジメてくれるなよ。
慰める俺の身にもなってくれ。」
「どうですかね。
どっちかっていうと僕の方が、彼女にイジメられそうな気がします。」
「だははは!違いねぇ!」
清水先生は僕の背中をバンバン叩いた。
「そういや、お前クリスマスイブどうすんだ?」
ペンをクルクル回しながら清水先生は聞いて来た。
「どうって…独り孤独に過ごしますよ。」
「ふーん。
もしかして…初めてじゃないか?
そういうの。」
「あ…そうですね。多分。
気がつかなかった…。」
クリスマスイブはいつも誰かが側にいてくれた。
田宮とは反対だ…。
今年のクリスマスイブは田宮の気持ちがわかるかもな…。
彼女はずっと…孤独なクリスマスイブを過ごして来たんだ…。
そして、それも今年から変わるんだ…。
僕は朝のホームルームの為に担任クラスの1年3組に移動した。
ガバッ。
「おはようございます!武本先生!」
「こら!葉月やめろ!」
葉月 結菜が勢いよく抱きついて来た。
マジでコケそうになった。
ったく、うっとおしい!
「先生!期末テストも終わったし。
クリスマスまですぐです!」
「あ~。ハイハイ。」
「先生と一緒に過ごしたいの!」
「無理!」
僕は間髪入れず断った。
いくら田宮とクリスマスを過ごせないからといって、他の人と過ごす気はさらさらなかった。
「もうっ!」
怒った葉月の後ろに田宮の姿が見えた。
今日は髪を下ろしてるんだ…。
保健室のキスがフラッシュバックした。
素早く教室に入って、気持ちを切り替えホームルームに臨んだ。
4時限目…とうとうその時が来た。
1年4組の授業だ…。
僕は胸ポケットを握りしめた。
…大丈夫だ…。
「では、答案用紙を返却する。
呼ばれたら前へ!」
僕は次々と答案用紙を返却して行った。
そして、田宮以外に返却し終わった。
いよいよだ…!
「このクラスに白紙答案を出した奴がいる!」
生徒がザワザワと騒ぎだす。
「田宮!放課後、職員室に来い!
生徒指導室で指導を行う!」
言った!
「はい。」
彼女は澄ました顔で視線を合わせない。
生徒の視線が田宮に集中した。
「すっげ~田宮!
やりやがった!」
「かっけー!マジ?
武本とのマジバトルじゃん!」
「どんだけ武本嫌いなの?
あははは!」
事情を知らない生徒は面白がるばかりだった。
こいつらは何も知らない…。
僕等が何度もキスをした仲だなんて想像もしてないんだろうな。
「静かにしろ!
今からテストの解説をする。」
僕は流れ作業の様に授業を進めた。
「おー昼飯食おうぜ!昼飯!」
「岸先生がいないからって毎回の様に僕を誘わなくてもいいんじゃないですか?」
「バーカ。
話し聞きたいからに決まってんだろ!」
昼休み職員室から僕は引き摺られるように食堂へと連れ去られた。
「言ったらしいな。
他のクラスにまであっという間に噂流れてんぞ。」
清水先生が愛妻弁当を食べながら、箸の頭で僕を突いた。
「仕事ですからね。」
僕は素っ気ない返事をしながらラーメンをすすった。
「ったく。
マジ、今のお前つまんね~!」
「清水先生は僕の何が変わったように見えますか?」
「その口調だよ!
大人ぶりやがって!
感情がないような喋り!」
「…感情がない…!?」
僕自身はそんなつもりはなかった。
でも…。
「前のお前はすぐ動揺するしテンパるし観てて飽きないんだよな~。」
「オモチャですか?」
「毒だって吐きゃしねぇ。ちっ!」
どういう事なんだ…僕の感情は…どこへ消えたんだ…。
そういえば、あの声も頭痛も倒れて以来何も起こって何もいない。
「せっかく、鍵の掛かった小部屋に2人きりなんだから…頑張れよ。」
「何を頑張るんです?下らない。」
「あ~俺の武本があぁ!」
「僕は誰の物でもありません。」
清水先生は僕の反応が気に入らずイライラしていた。
僕は放課後の生徒指導室で行われるであろう《勉強会》の方が気になっていた。
もう少し悩んだり動揺するかと思ったが…。
別人みたいだ…。
自分でも何かが違うのを感じた。
田宮はこの変化を恐れているのかな。
月曜日になって支度をしながら鏡を見つめた。
見かけはまったく以前と同じ…何が変わったんだ僕は…?
髪をオールバックにセットして、ワイシャツとネクタイを装着した。
気合いは十分だった。
僕は今朝は旧理科準備室へは行かなかった。
決心が鈍るといけないと思った。
ある意味、僕は今日彼女と対決しなければならない。
テスト返却後、他の生徒の前で白紙答案を出した彼女を叱り、生徒指導室へ呼ばなくてはならない。
職員室に入るとまだ、数人の先生しか出勤していなかった。
僕は自分の席に座ると、引き出しからパグ犬のストラップを取り出し、手帳と一緒に胸ポケットにしまった。
もう12月に入ってしまってる。
早いな…。
あの夏の日の彼女をまだ鮮明に思い出せるのに…月日はあっという間に流れて行く。
金井先生は彼女にプロポーズしてクリスマスイブは彼女と過ごすつもりだろう。
そして、きっと僕の言った通り…彼女は金井先生と…。
「ふぅ…。」
考えても仕方ない事だ。
彼女は僕のものじゃない。
わかってる…誰よりも…わかってる…。
僕は気持ちを切り替えて、今日1日の準備を始めた。
「おっす。早ぇ~な。武本。」
「おはようございます。清水先生。」
清水先生がコートを脱ぎながら入って来た。
僕は自分清水先生のコーヒーを入れた。
「サンキュー。
…で、生徒指導室に呼び出すのか?」
「ええ。
そうしないと、他の生徒に示しがつかないですから。」
「あんまり、イジメてくれるなよ。
慰める俺の身にもなってくれ。」
「どうですかね。
どっちかっていうと僕の方が、彼女にイジメられそうな気がします。」
「だははは!違いねぇ!」
清水先生は僕の背中をバンバン叩いた。
「そういや、お前クリスマスイブどうすんだ?」
ペンをクルクル回しながら清水先生は聞いて来た。
「どうって…独り孤独に過ごしますよ。」
「ふーん。
もしかして…初めてじゃないか?
そういうの。」
「あ…そうですね。多分。
気がつかなかった…。」
クリスマスイブはいつも誰かが側にいてくれた。
田宮とは反対だ…。
今年のクリスマスイブは田宮の気持ちがわかるかもな…。
彼女はずっと…孤独なクリスマスイブを過ごして来たんだ…。
そして、それも今年から変わるんだ…。
僕は朝のホームルームの為に担任クラスの1年3組に移動した。
ガバッ。
「おはようございます!武本先生!」
「こら!葉月やめろ!」
葉月 結菜が勢いよく抱きついて来た。
マジでコケそうになった。
ったく、うっとおしい!
「先生!期末テストも終わったし。
クリスマスまですぐです!」
「あ~。ハイハイ。」
「先生と一緒に過ごしたいの!」
「無理!」
僕は間髪入れず断った。
いくら田宮とクリスマスを過ごせないからといって、他の人と過ごす気はさらさらなかった。
「もうっ!」
怒った葉月の後ろに田宮の姿が見えた。
今日は髪を下ろしてるんだ…。
保健室のキスがフラッシュバックした。
素早く教室に入って、気持ちを切り替えホームルームに臨んだ。
4時限目…とうとうその時が来た。
1年4組の授業だ…。
僕は胸ポケットを握りしめた。
…大丈夫だ…。
「では、答案用紙を返却する。
呼ばれたら前へ!」
僕は次々と答案用紙を返却して行った。
そして、田宮以外に返却し終わった。
いよいよだ…!
「このクラスに白紙答案を出した奴がいる!」
生徒がザワザワと騒ぎだす。
「田宮!放課後、職員室に来い!
生徒指導室で指導を行う!」
言った!
「はい。」
彼女は澄ました顔で視線を合わせない。
生徒の視線が田宮に集中した。
「すっげ~田宮!
やりやがった!」
「かっけー!マジ?
武本とのマジバトルじゃん!」
「どんだけ武本嫌いなの?
あははは!」
事情を知らない生徒は面白がるばかりだった。
こいつらは何も知らない…。
僕等が何度もキスをした仲だなんて想像もしてないんだろうな。
「静かにしろ!
今からテストの解説をする。」
僕は流れ作業の様に授業を進めた。
「おー昼飯食おうぜ!昼飯!」
「岸先生がいないからって毎回の様に僕を誘わなくてもいいんじゃないですか?」
「バーカ。
話し聞きたいからに決まってんだろ!」
昼休み職員室から僕は引き摺られるように食堂へと連れ去られた。
「言ったらしいな。
他のクラスにまであっという間に噂流れてんぞ。」
清水先生が愛妻弁当を食べながら、箸の頭で僕を突いた。
「仕事ですからね。」
僕は素っ気ない返事をしながらラーメンをすすった。
「ったく。
マジ、今のお前つまんね~!」
「清水先生は僕の何が変わったように見えますか?」
「その口調だよ!
大人ぶりやがって!
感情がないような喋り!」
「…感情がない…!?」
僕自身はそんなつもりはなかった。
でも…。
「前のお前はすぐ動揺するしテンパるし観てて飽きないんだよな~。」
「オモチャですか?」
「毒だって吐きゃしねぇ。ちっ!」
どういう事なんだ…僕の感情は…どこへ消えたんだ…。
そういえば、あの声も頭痛も倒れて以来何も起こって何もいない。
「せっかく、鍵の掛かった小部屋に2人きりなんだから…頑張れよ。」
「何を頑張るんです?下らない。」
「あ~俺の武本があぁ!」
「僕は誰の物でもありません。」
清水先生は僕の反応が気に入らずイライラしていた。
僕は放課後の生徒指導室で行われるであろう《勉強会》の方が気になっていた。
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