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2学期
勉強会へようこそ 。その2
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いよいよ放課後がやって来た。
僕は腕組みをして彼女が来るのを待った。
隣りの清水先生の方がソワソワしていた。
「失礼します。」
来た…!
彼女が職員室に入って来た。
真っ直ぐにこちらに向かってきた。
「来たな。」
「呼ばれましたので。」
「よし、生徒指導室に行くぞ!
ついて来い!」
僕は立ち上がり、田宮を連れて職員室を出た。
清水先生が田宮に手を振っていた。
ガチャ。
「入れ。」
僕は素っ気く彼女に言うと、彼女を奥の椅子に座らせた。
バタン。ガチャ。
ドアを閉めて鍵を掛けた。
僕はドア側の席に座って、脚を組んだ。
おそらく、すでに《勉強会》は始まっている!
「…で?説明して貰えるか?」
「わからないと言いました。」
「田宮…何が言いたい?」
「自分でわからないのに…どうして先生はわかってるって言うんですか?」
「お前の今までの成績であり得ないだろ。」
「…わからないって…知らないとは違うんです。
知っていても、わからない…知ってるはずなのにわからない…。」
「!」
彼女は僕の記憶の事を言ってるのか?
やはりこれは…《勉強会》!
「どうすれはいいんでしょう?」
「はああ?田宮!聞いてるのはこっちだぞ!」
「そうでしたね。
多分…1つは整理がついてないんだと思います。
色々と出来事が多すぎて。」
「じゃあ1つづつ整理していけばいい。」
「…ですね。
でも片付けって結構難しいですよね。」
は?片付けに話しが飛んだぞ。
僕は田宮のペースに乗らないように彼女の言葉に注視した。
「同じ大きさや形の物だけならいいですけと…実際バラバラな形ばかりで。
まるで…人間の個性みたい。
ふふふ。」
彼女は肘をついて笑顔を見せた。
「で、個性がどうした。」
「個性ってなんでしょうね?
これが無くても人間は生きていける。
でもこれが無くては人間ではない…。
それが…自分…。
個としての存在意味…。」
「まったく、わからんな。」
「そうでしたね…自分をしまい込む方法を先生はご存知のようだから。」
「どう言う意味だ!?」
彼女が僕を見ながらハッキリと言った。
「言葉の通りです。
いいですね。
都合のいいように出し入れ出来るなんて。」
「おい!田宮!」
君はさっきから何を言ってるんだ?
「わからない…わかりたくない…触りたくない…聞きたくない…。
先生と同じですよね…白紙答案を出した私は。」
つまりは何か?
僕が自分で思い出したくないと思ってるって事か?
そんなバカな…。
「じゃあ、答えはわかってるけど、書きたくない。
問題を解きたくない。
そういう事かな?」
「う~ん似てますね。
問題そのものがあるのを認めたくないんです!」
「問題が存在してるのを認めたくないと?」
「そんなところですね。」
僕は知らぬ間にすっかり田宮のペースに乗せられていた。
「これからお前はどうするつもりだ?」
「そうですね。
先生の言う通りにします。」
「はっ?」
「だって…楽ですよね…その方が…
誰も傷つかないでしょうから…。
自分も…そして…周りも…。」
…ボク…ハ…イラナイ…。
「!!」
あの声が聞こえた!
「さあ。
武本先生、私はどうしたらいいでしょう?」
彼女は自分の髪の毛をクルクルと指先で巻きながら真っ直ぐに笑った。
「この…!自分で考えろ!」
「考えた結果…自分の希望を言わない方がいいと考えましたが。」
ズキッ。
頭が少しだけ痛かった。
なんだ何なんだこの会話は…!?
僕の顔から汗が流れ出した…。
僕は過去を否定してるのか…?
田宮は僕の体調に気が付いたのかまったく別の話しに切り替えた。
「先生…金井先生に…結婚したいと言われました。」
「あ…。」
「それで…これを頂きました。」
彼女は僕の目の前に、真っ赤なケースに入った可愛らしい指輪を見せた。
婚約指輪!?
「受け取ったんだな…。」
「はい。」
「そうか…結婚するんだな。」
わかっていたものの…やっぱり辛い。
「しませんよ。結婚。」
彼女はキョトンとした顔をした。
「はああ?お前!受け取ったんだよな!これ!」
「はい。
だって武本先生、男の人が奢ってくれる物は受け取れって言ったじゃないですか!」
「な…!」
またか…僕は頭を抱えた。
何でこうなるんだ!
「受け取ると、結婚しますって返事した事になるんだよ!
この指輪はそういう意味!」
「やだ!じゃあ金井先生に返さなきゃ。」
「あ、いや、田宮返すってそう簡単に…。
金井先生が傷つくぞ…。」
「だって…。」
さっきまでの顔と大違いで、戸惑い不安そうな顔をする彼女…。
「仕方ない…僕が一緒に行って返そう。
僕にも責任あるし…。」
「…はい。
ありがとうございます。」
彼女は少し照れたように頬を赤く染めて下を向いた。
「じゃあ、お前の処分を考えなきゃいけないんだが…。」
僕は話を戻した。
…どうしよう。
結局、頭の中の整理は一切ついていない。
「そうですね。
早く決めて下さい。」
これまでの彼女との会話を精査してないものの、幾つかのヒントらしき物は垣間見えた。
まだ物足りなさが心に残った。
やはり…もう1度…話をしてもらうか…。
まだ《勉強会》の回数には余裕がある。
「補習後、個人的指導を行う。
反抗的態度にはキチンと指導しなければならないからな。
どうせ、課題を出したところでこなしてしまうだろ。」
「わかりました。」
「今日はここまでだな。」
「はい。
ご迷惑をお掛けしました。」
彼女は深々と頭を下げた。
無意識に手が伸びた。
彼女の下げた頭を思わす撫でてしまった。
素直な彼女はこんなにも可愛いのに…。
僕は部屋の鍵を開けて彼女と部屋を出た。
「とりあえず、指輪は明日返しに行こう。」
「はい。」
僕等はその場をそれぞれに分かれて立ち去った。
僕は腕組みをして彼女が来るのを待った。
隣りの清水先生の方がソワソワしていた。
「失礼します。」
来た…!
彼女が職員室に入って来た。
真っ直ぐにこちらに向かってきた。
「来たな。」
「呼ばれましたので。」
「よし、生徒指導室に行くぞ!
ついて来い!」
僕は立ち上がり、田宮を連れて職員室を出た。
清水先生が田宮に手を振っていた。
ガチャ。
「入れ。」
僕は素っ気く彼女に言うと、彼女を奥の椅子に座らせた。
バタン。ガチャ。
ドアを閉めて鍵を掛けた。
僕はドア側の席に座って、脚を組んだ。
おそらく、すでに《勉強会》は始まっている!
「…で?説明して貰えるか?」
「わからないと言いました。」
「田宮…何が言いたい?」
「自分でわからないのに…どうして先生はわかってるって言うんですか?」
「お前の今までの成績であり得ないだろ。」
「…わからないって…知らないとは違うんです。
知っていても、わからない…知ってるはずなのにわからない…。」
「!」
彼女は僕の記憶の事を言ってるのか?
やはりこれは…《勉強会》!
「どうすれはいいんでしょう?」
「はああ?田宮!聞いてるのはこっちだぞ!」
「そうでしたね。
多分…1つは整理がついてないんだと思います。
色々と出来事が多すぎて。」
「じゃあ1つづつ整理していけばいい。」
「…ですね。
でも片付けって結構難しいですよね。」
は?片付けに話しが飛んだぞ。
僕は田宮のペースに乗らないように彼女の言葉に注視した。
「同じ大きさや形の物だけならいいですけと…実際バラバラな形ばかりで。
まるで…人間の個性みたい。
ふふふ。」
彼女は肘をついて笑顔を見せた。
「で、個性がどうした。」
「個性ってなんでしょうね?
これが無くても人間は生きていける。
でもこれが無くては人間ではない…。
それが…自分…。
個としての存在意味…。」
「まったく、わからんな。」
「そうでしたね…自分をしまい込む方法を先生はご存知のようだから。」
「どう言う意味だ!?」
彼女が僕を見ながらハッキリと言った。
「言葉の通りです。
いいですね。
都合のいいように出し入れ出来るなんて。」
「おい!田宮!」
君はさっきから何を言ってるんだ?
「わからない…わかりたくない…触りたくない…聞きたくない…。
先生と同じですよね…白紙答案を出した私は。」
つまりは何か?
僕が自分で思い出したくないと思ってるって事か?
そんなバカな…。
「じゃあ、答えはわかってるけど、書きたくない。
問題を解きたくない。
そういう事かな?」
「う~ん似てますね。
問題そのものがあるのを認めたくないんです!」
「問題が存在してるのを認めたくないと?」
「そんなところですね。」
僕は知らぬ間にすっかり田宮のペースに乗せられていた。
「これからお前はどうするつもりだ?」
「そうですね。
先生の言う通りにします。」
「はっ?」
「だって…楽ですよね…その方が…
誰も傷つかないでしょうから…。
自分も…そして…周りも…。」
…ボク…ハ…イラナイ…。
「!!」
あの声が聞こえた!
「さあ。
武本先生、私はどうしたらいいでしょう?」
彼女は自分の髪の毛をクルクルと指先で巻きながら真っ直ぐに笑った。
「この…!自分で考えろ!」
「考えた結果…自分の希望を言わない方がいいと考えましたが。」
ズキッ。
頭が少しだけ痛かった。
なんだ何なんだこの会話は…!?
僕の顔から汗が流れ出した…。
僕は過去を否定してるのか…?
田宮は僕の体調に気が付いたのかまったく別の話しに切り替えた。
「先生…金井先生に…結婚したいと言われました。」
「あ…。」
「それで…これを頂きました。」
彼女は僕の目の前に、真っ赤なケースに入った可愛らしい指輪を見せた。
婚約指輪!?
「受け取ったんだな…。」
「はい。」
「そうか…結婚するんだな。」
わかっていたものの…やっぱり辛い。
「しませんよ。結婚。」
彼女はキョトンとした顔をした。
「はああ?お前!受け取ったんだよな!これ!」
「はい。
だって武本先生、男の人が奢ってくれる物は受け取れって言ったじゃないですか!」
「な…!」
またか…僕は頭を抱えた。
何でこうなるんだ!
「受け取ると、結婚しますって返事した事になるんだよ!
この指輪はそういう意味!」
「やだ!じゃあ金井先生に返さなきゃ。」
「あ、いや、田宮返すってそう簡単に…。
金井先生が傷つくぞ…。」
「だって…。」
さっきまでの顔と大違いで、戸惑い不安そうな顔をする彼女…。
「仕方ない…僕が一緒に行って返そう。
僕にも責任あるし…。」
「…はい。
ありがとうございます。」
彼女は少し照れたように頬を赤く染めて下を向いた。
「じゃあ、お前の処分を考えなきゃいけないんだが…。」
僕は話を戻した。
…どうしよう。
結局、頭の中の整理は一切ついていない。
「そうですね。
早く決めて下さい。」
これまでの彼女との会話を精査してないものの、幾つかのヒントらしき物は垣間見えた。
まだ物足りなさが心に残った。
やはり…もう1度…話をしてもらうか…。
まだ《勉強会》の回数には余裕がある。
「補習後、個人的指導を行う。
反抗的態度にはキチンと指導しなければならないからな。
どうせ、課題を出したところでこなしてしまうだろ。」
「わかりました。」
「今日はここまでだな。」
「はい。
ご迷惑をお掛けしました。」
彼女は深々と頭を下げた。
無意識に手が伸びた。
彼女の下げた頭を思わす撫でてしまった。
素直な彼女はこんなにも可愛いのに…。
僕は部屋の鍵を開けて彼女と部屋を出た。
「とりあえず、指輪は明日返しに行こう。」
「はい。」
僕等はその場をそれぞれに分かれて立ち去った。
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