まず、後宮に入れませんっ! ~悪役令嬢として他の国に嫁がされましたが、何故か荷物から勇者の剣が出てきたので、魔王を倒しに行くことになりました

菱沼あゆ

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悪役令嬢だと言われ、国を追い出されました

姉を追い出してみたものの

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「お義姉さまが伝説の勇者となって旅立ったってどういうことっ?
 しかも、アーローが追っていっただなんてっ」

 城で報告を受けた妹のウィリカは怒り狂っていた。

「アーローが戻ってきたら、私の愛人にしてあげようと思っていたのに。
 アーローが崇拝していたお姉さまはもういないのだから」

 ああ、どうしようっ、とウィリカは苦悩する。

「きっと王様はお義姉さまでは気に入らず、伝説の勇者だということにして、追い払ったに違いないわっ。

 そして、姉の代わりに私を寄越せという気なのよっ。
 そもそも、トレラントの王様は、私が目当てだったんだわっ」

「いや~、どうなんですかね~?」
と鋭い三白眼だが、整った顔、いつも綺麗に整えられた銀髪の男、サミュエルが言う。

 サミュエルは城の事務官であることを示す白い制服を着ていた。

 まだ若いので、事務官のトップというわけではないが。
 隠居した父の仕事を引き継ぎ、城の事務処理を一手に引き受けているので、今の王様も彼には逆らえない。

「それだったら、最初からウィリカ様を指名してくると思いますよ」

「私に最初に声をかけたら、恐れ多いと思ったんじゃないの?
 だって、お姉さまより私の方が何倍も優れていて、美しいものっ」

 いや~、と言ったのは、サミュエルだけではなかった。
 ウィリカの父である王、ランベルトも共に唸る。

「あら、お義父さまっ。
 私の方がお義姉さまより美しいでしょうっ?」

「まあ、王妃はお前推しだから、お前をいいところに嫁がせてやりたいと思ってはいた。
 だからこそ、フェリシアを貶めたり、国から追い出したりしたのではないか」

 お前では、フェリシアには太刀打ちならんから、と言われてしまう。

「さすがはクラリッサさまの娘だ」

 クラリッサはランベルトが追い出した妻、前王の妃だ。

「ずっと憧れていたクラリッサさまと結婚したはいいが、相手にされなくて、修道院に追いやったこと、後悔されてるんですか?」
と言うサミュエルに、

「……お前、ほんとうにズバッと言うな」
とランベルトは言う。

「優秀じゃなかったら、即絞首刑だぞ。

 それでフェリシアさま……
 フェリシアは、今、何処に?」

「アーローが追っていたので、いずれわかるでしょう」
と苦い顔でサミュエルは言う。

「おのれ、アーローめっ。
 傷心のフェリシアさまに取り入るつもりだなっ」

 くそっ、今すぐこんな城捨てて、私も追っていってやるっ、とサミュエルは叫んだ。

「いや、待てっ。
 私たちを見捨てるなっ」
とランベルトはサミュエルに追い縋る。

「そうよっ。
 あなたがいてくれないと、この城は回らないのよっ。

 だから、私が結婚してあげるって言ったじゃないっ」

「……結構です。
 私に仕事をこのまま続けさせたいのなら、絶対にそれだけは勘弁だと申しましたよね?」

 脅しつけるような部下の三白眼の目に、王たちはこくこくと慌てて頷いた。

「ああ、フェリシアさまっ。
 今、何処でどのようにされているのかっ」

 心配でならないっとサミュエルは苦悩する。


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