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私の推しは、にーろくふです
俺がお前との結婚を賭けるな、と言ったのは――
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「そもそも、お前、めぐるのなにがいいんだ。
まだ出会ったばかりだろうが」
と田中が久門に訊く。
百合香がサービスで、ココアを振る舞ってくれたので、みんなでテーブルで飲んでいた。
いや、自分が飲むついでに、
「いるかい?」
と多めに作ってくれただけなのだが。
「そりゃあ、めぐるんちゃんのクラスメイトの田中には、思い出も歴史も敵わないけどさ」
と言う久門に、
いや、すれ違い同級生なので、思い出もなにもないんだが、と二人は思っていたが。
二人ともカップを握ったまま、黙っていた。
「でも、めぐるんちゃんには、僕の方が、似合ってると思うんだよ。
なんたって僕は『おしゃれな棋士ランキング』2位だからね」
「……1位じゃないのか」
と健が突っ込む。
「『おしゃべりしたら楽しそうな棋士ランキング』も3位だよ」
2位ですらないのかよ……という顔を全員がしていた。
「『グルメそうな棋士ランキング』なんか5位だよ」
「それ、何人に聞いたやつなんだ?」
と問うた健に、久門が答える。
「30人くらいだったかな」
「お前に投票したの、2人くらいじゃないのか……?
っていうか、投票したのがその人数しかいないのなら。
5位って、最下位では?」
「でも、名前も出てないやつもいるんだから、そいつよりは勝ってるだろ」
みんな、なんとなく田中を見た。
だが、田中は特に興味ないようだった。
まあ、この人が気になるランキングは将棋だけだよね、とめぐるは思う。
そこで、健が、くそっ、と言った。
「お前程度でおしゃれな棋士ランキング上位に入るとは……っ。
この日のために、もうちょっと踏ん張って、棋士になっておけばよかったっ」
「いや、残念なのそこ……?」
なかなかみんなが戻ってこないので、覗きに来た師匠がそう呟いていた。
「でもさあ、よく考えたら、最近、久門の方があちこちで負けてないか?」
スランプなの、あいつの方じゃない?
と久門が帰ったあと、健が言う。
「スランプの基準も人それぞれですもんね」
とめぐるが言うと、なぜかカウンターの向こうから、百合香がじっとこちらを見ていた。
「なんだかんだで、この間、田中、久門に勝ったしな。
お前的になにがスランプなの?」
「あいつごときに手こずるのが嫌なんだ」
ごときとか言ってる……。
よほど苦手なんだな、久門さん、とめぐるが苦笑いしたとき、しんみり健が言った。
「まあ、そんな久門でも俺よりは強いわけだけど」
「そんなことはない。
お前が途中で諦めただけだ。
昔は久門より強かったじゃないか」
昔っていつの話だよ、と健は眉をひそめる。
遅れてココアをもらった師匠が満足げに微笑んで言う。
「健くんなら、今からでも遅くありませんよ。
前よりも厳しい道かもしれませんが。
頑張れるのなら、頑張ってみるのも悪くないでしょう」
「師匠……っ」
「そういえば、囲碁の筋の方も悪くないと明田さんがおっしゃってましたよ」
「明田さん……」
とめぐるが呟くと、
「いつものあのおじいさんだ」
と田中が教えてくれる。
「ああ、あの、仙人みたいな方」
と言うと、師匠が笑った。
「天上で囲碁打ってそうな方ですよね。
棋士の人って、囲碁も強いんですか?」
「どうだろうな。
好きな人は結構いるから、将棋連盟に囲碁部もあるし。
将棋引退しても、囲碁打ちに来る人もいるしな」
俺はやらないが、と田中は言っていた。
今日は用事があったので、夕方までで、めぐるは食堂の仕事は終わりだった。
「送ろう」
となぜか田中が言ってくれたので、素直に送られる。
私が勝負のネタにされたから、申し訳なく思ってかな、とめぐるは思う。
そうじゃなきゃ、送ってくれるだなんて……
いや、そういや、結構送ってくれてるな。
そんなことを考えながら、二人並んで川沿いの道を歩いていたが。
田中は将棋のことでも考えはじめたのか、川を見たまま無言だった。
だが、嫌な感じの沈黙ではない。
めぐるも川や対岸の街並みを見ながら、お菓子のことを考えていた。
橋を渡る前、ふっと田中がこちらを振り返った。
いきなり、目が合って、めぐるは戸惑う。
なにか言わなければっ、と焦った瞬間、
「久門さんは……」
と言ってしまっていた。
インパクトの強い人だから、つい、名前が出てしまったのだろう。
だが、田中は、……なぜ、久門、という顔をしていた。
「あの~、その、久門さんも実はスランプ気味なんでしょうかね?
それで、なにかのきっかけになればと思って、私を賭けるなんて言ったのでは?」
「どうだろうな」
と感情の窺えない声で言われ、
まあ、田中さんにとっては、私の結婚なんて、どうでもいいことか、と思う。
「……巻き込んでしまってすまないな」
「あー、いえいえっ。
でも、あんなに繰り返し、『結構だ』って、田中さんに言われると。
私がいらないと言われてるみたいで、ちょっとあれなんですけど」
と言って、めぐるは、はは、と笑ったが、田中は笑わなかった。
「俺がお前との結婚を賭けるな、と言ったのは。
……お前がかかってると思ったら、緊張して、またスランプになりそうだったから。
それだけだ」
いや、それだけだって。
なんか……私は今の一言に緊張してしまうんですが。
まあ、田中さんのことだから、深い意味はないんだろう――。
そう思うことにした。
田中はめぐるを送ったあと、夜道を帰りながら思っていた。
さっきの言い方、ちょっと違ったかな、と。
めぐるの運命がかかっていると思ったら、緊張してスランプになるから嫌だ、というのは、今の自分の心情を表す言葉としては、ちょっと違う。
めぐるを賭けられると嫌なのは、ただ、純粋に、負けたら嫌だから。
めぐるがかかっているのに、負けたら嫌だから。
久門の冗談だとしても、なんだか嫌だから。
冗談。
……冗談だよな、たぶん。
そもそも、この話、俺もめぐるも受けてはいないし――。
だが、田中の中で、自分が負けたら、めぐるが久門と結婚したり、黒木田と結婚したりしていた。
……黒木田。
女子に人気のイケメン棋士。
思慮深い顔立ちで、着物が似合う。
ちょっとクールそうなところもいいらしい。
……めぐるはそんな男、好きだろうか。
健が聞いていたら、
「いやいや。
『女子に人気のイケメン棋士。
思慮深い顔立ちで、着物が似合う。
ちょっとクールそう』なのはお前も一緒だからな」
と言っていただろうが。
いなかったので、言ってくれなかったし。
おのれが500人以上に聞いた、ちゃんとしたイケメン棋士ランキングで1位なのも、田中は知らなかった。
「黒木田も着物似合うけど、ちょっと顔濃いよな~。
お前はほんとうに、すっきりして、端正な顔してるよな。
お前が1位、黒木田が2位か。
そういや、久門のやつ、9位だったから、イケメンランキングに関しては、なんにも言わなかったよな~っ。
イケメンは間違いないのに、女子の好感度低いんじゃねえの?
はははははは。
……まあ、俺は棋士じゃないから、全然入れないんだけど」
と健が愚痴りそうな状況なことも知らなかった。
まあ、久門が適当に言ってるだけだから、と思っていた二日後、将棋会館近くの蕎麦屋で、黒木田とバッタリ出会ってしまった。
まだ出会ったばかりだろうが」
と田中が久門に訊く。
百合香がサービスで、ココアを振る舞ってくれたので、みんなでテーブルで飲んでいた。
いや、自分が飲むついでに、
「いるかい?」
と多めに作ってくれただけなのだが。
「そりゃあ、めぐるんちゃんのクラスメイトの田中には、思い出も歴史も敵わないけどさ」
と言う久門に、
いや、すれ違い同級生なので、思い出もなにもないんだが、と二人は思っていたが。
二人ともカップを握ったまま、黙っていた。
「でも、めぐるんちゃんには、僕の方が、似合ってると思うんだよ。
なんたって僕は『おしゃれな棋士ランキング』2位だからね」
「……1位じゃないのか」
と健が突っ込む。
「『おしゃべりしたら楽しそうな棋士ランキング』も3位だよ」
2位ですらないのかよ……という顔を全員がしていた。
「『グルメそうな棋士ランキング』なんか5位だよ」
「それ、何人に聞いたやつなんだ?」
と問うた健に、久門が答える。
「30人くらいだったかな」
「お前に投票したの、2人くらいじゃないのか……?
っていうか、投票したのがその人数しかいないのなら。
5位って、最下位では?」
「でも、名前も出てないやつもいるんだから、そいつよりは勝ってるだろ」
みんな、なんとなく田中を見た。
だが、田中は特に興味ないようだった。
まあ、この人が気になるランキングは将棋だけだよね、とめぐるは思う。
そこで、健が、くそっ、と言った。
「お前程度でおしゃれな棋士ランキング上位に入るとは……っ。
この日のために、もうちょっと踏ん張って、棋士になっておけばよかったっ」
「いや、残念なのそこ……?」
なかなかみんなが戻ってこないので、覗きに来た師匠がそう呟いていた。
「でもさあ、よく考えたら、最近、久門の方があちこちで負けてないか?」
スランプなの、あいつの方じゃない?
と久門が帰ったあと、健が言う。
「スランプの基準も人それぞれですもんね」
とめぐるが言うと、なぜかカウンターの向こうから、百合香がじっとこちらを見ていた。
「なんだかんだで、この間、田中、久門に勝ったしな。
お前的になにがスランプなの?」
「あいつごときに手こずるのが嫌なんだ」
ごときとか言ってる……。
よほど苦手なんだな、久門さん、とめぐるが苦笑いしたとき、しんみり健が言った。
「まあ、そんな久門でも俺よりは強いわけだけど」
「そんなことはない。
お前が途中で諦めただけだ。
昔は久門より強かったじゃないか」
昔っていつの話だよ、と健は眉をひそめる。
遅れてココアをもらった師匠が満足げに微笑んで言う。
「健くんなら、今からでも遅くありませんよ。
前よりも厳しい道かもしれませんが。
頑張れるのなら、頑張ってみるのも悪くないでしょう」
「師匠……っ」
「そういえば、囲碁の筋の方も悪くないと明田さんがおっしゃってましたよ」
「明田さん……」
とめぐるが呟くと、
「いつものあのおじいさんだ」
と田中が教えてくれる。
「ああ、あの、仙人みたいな方」
と言うと、師匠が笑った。
「天上で囲碁打ってそうな方ですよね。
棋士の人って、囲碁も強いんですか?」
「どうだろうな。
好きな人は結構いるから、将棋連盟に囲碁部もあるし。
将棋引退しても、囲碁打ちに来る人もいるしな」
俺はやらないが、と田中は言っていた。
今日は用事があったので、夕方までで、めぐるは食堂の仕事は終わりだった。
「送ろう」
となぜか田中が言ってくれたので、素直に送られる。
私が勝負のネタにされたから、申し訳なく思ってかな、とめぐるは思う。
そうじゃなきゃ、送ってくれるだなんて……
いや、そういや、結構送ってくれてるな。
そんなことを考えながら、二人並んで川沿いの道を歩いていたが。
田中は将棋のことでも考えはじめたのか、川を見たまま無言だった。
だが、嫌な感じの沈黙ではない。
めぐるも川や対岸の街並みを見ながら、お菓子のことを考えていた。
橋を渡る前、ふっと田中がこちらを振り返った。
いきなり、目が合って、めぐるは戸惑う。
なにか言わなければっ、と焦った瞬間、
「久門さんは……」
と言ってしまっていた。
インパクトの強い人だから、つい、名前が出てしまったのだろう。
だが、田中は、……なぜ、久門、という顔をしていた。
「あの~、その、久門さんも実はスランプ気味なんでしょうかね?
それで、なにかのきっかけになればと思って、私を賭けるなんて言ったのでは?」
「どうだろうな」
と感情の窺えない声で言われ、
まあ、田中さんにとっては、私の結婚なんて、どうでもいいことか、と思う。
「……巻き込んでしまってすまないな」
「あー、いえいえっ。
でも、あんなに繰り返し、『結構だ』って、田中さんに言われると。
私がいらないと言われてるみたいで、ちょっとあれなんですけど」
と言って、めぐるは、はは、と笑ったが、田中は笑わなかった。
「俺がお前との結婚を賭けるな、と言ったのは。
……お前がかかってると思ったら、緊張して、またスランプになりそうだったから。
それだけだ」
いや、それだけだって。
なんか……私は今の一言に緊張してしまうんですが。
まあ、田中さんのことだから、深い意味はないんだろう――。
そう思うことにした。
田中はめぐるを送ったあと、夜道を帰りながら思っていた。
さっきの言い方、ちょっと違ったかな、と。
めぐるの運命がかかっていると思ったら、緊張してスランプになるから嫌だ、というのは、今の自分の心情を表す言葉としては、ちょっと違う。
めぐるを賭けられると嫌なのは、ただ、純粋に、負けたら嫌だから。
めぐるがかかっているのに、負けたら嫌だから。
久門の冗談だとしても、なんだか嫌だから。
冗談。
……冗談だよな、たぶん。
そもそも、この話、俺もめぐるも受けてはいないし――。
だが、田中の中で、自分が負けたら、めぐるが久門と結婚したり、黒木田と結婚したりしていた。
……黒木田。
女子に人気のイケメン棋士。
思慮深い顔立ちで、着物が似合う。
ちょっとクールそうなところもいいらしい。
……めぐるはそんな男、好きだろうか。
健が聞いていたら、
「いやいや。
『女子に人気のイケメン棋士。
思慮深い顔立ちで、着物が似合う。
ちょっとクールそう』なのはお前も一緒だからな」
と言っていただろうが。
いなかったので、言ってくれなかったし。
おのれが500人以上に聞いた、ちゃんとしたイケメン棋士ランキングで1位なのも、田中は知らなかった。
「黒木田も着物似合うけど、ちょっと顔濃いよな~。
お前はほんとうに、すっきりして、端正な顔してるよな。
お前が1位、黒木田が2位か。
そういや、久門のやつ、9位だったから、イケメンランキングに関しては、なんにも言わなかったよな~っ。
イケメンは間違いないのに、女子の好感度低いんじゃねえの?
はははははは。
……まあ、俺は棋士じゃないから、全然入れないんだけど」
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