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プレオープンですっ!
僕は一体、何処に就職したんだ……
しおりを挟むサラダを運んだあと、青田は中に戻り、のどかを探した。
キッチンに行くと、腕まくりした成瀬社長と巨乳が料理を作っている。
いや、失礼。
巨乳の人が作っている、と思った青田は振り向いた成瀬貴弘に、
「よく来たな、青田」
と肩を叩かれた。
布巾を渡され、
「そこの座敷の、お前が飛ばされてきた呪いの部屋近くのテーブル、拭いてこい」
と言われる。
そして、巨乳の人に雑草や花のたくさん入った鮮やかなサラダを渡された。
これ、なんのサラダかな、と思いながら、キッチンを出ると、のどかが来た。
よく見れば、その顔立ちは何処となく、巨乳の人と似ている。
のどかの方が可愛らしい感じだが。
顔を見、胸を見、顔を見て、
「のどかさん、このサラダは何処に」
と訊くと、常日頃からそういう扱いを受けているのか。
「ちょっとーっ、青田さん、今、何処見て、私かどうか判断しましたっ!?」
とのどかが叫び出す。
すると、キッチンから、貴弘が、
「やかましいっ、のどかっ。
お前に巨乳は求めてないっ。
さっさと運べっ」
と怒鳴ってくる。
さっきから、のどかさんは厨房に居ないが、この店は誰の店だ……。
そして、僕は何処に就職したんだ……と思いながら、青田はサラダを運び、テーブルを拭いた。
その日、一日、料理を運んではテーブルを拭き。
へとへとに疲れたところで、のどかが何故か暑いのに、鍋焼きうどんを作ってくれた。
「のどかっ、雑草入れるなーっ」
と怒鳴る八神の声を聞きながら、うどんを食べ、
「ほら」
と中原という、何故、此処に居るのかよくわからないよその会社の社長秘書にビールをもらい、よく働いたので、疲れ果てて寝た。
「起きて、起きて、青田さんー」
と朝、のどかに起こされ、そのままカフェに連れて行かれた。
起こしてくれたのは巨乳美女ではなかったが。
愛らしいのどかだったので、機嫌よく目が覚めた。
そのまま一日また働かされる。
「プレオープン今日までの予定だったんですけど。
明日の昼、来られなかった人たちが来たいって言うんですよ」
とのどかが貴弘と話しているのが聞こえてきた。
「お前ひとりで回せるか?
八神は?」
と貴弘が八神を振り向く。
「いや、俺は仕事の合間に此処で働くために、不規則な仕事をしてるわけじゃないんだが……」
明日は居ないし、と八神は言う。
「困ったな。
明日は、青田も会社に連れて行こうと思ってるんだが。
みんなに挨拶しないといけないし」
そう貴弘が言うと、のどかが、
「えーっ。
青田さん、仕事行っちゃ駄目ーっ」
と言い出す。
「青田さん、温厚だし、評判いいの。
記憶力もいいし」
「なんだ、それは。
温厚でない俺に対する嫌味か、胡桃沢」
と中原がのどかに食ってかかった後ろから、
「どうでもいいが、何故、俺も働かされてるんだ……」
と昨日の夜、呪いにより降ってきた男、海崎綾太がエプロンつけて、物を運びながら言う。
此処に来るか来ないか迷っていて、開店祝いの真っ赤な薔薇のアレンジメントを持ったまま、降ってきてしまったらしい。
「ありがとうっ。
来てくれてっ」
と言うのどかに、そのまま引きずっていかれ、働かされていた。
「社長っ、こっち、モスコ二つとビール追加お願いしますー」
と玄関からテント組の彼の会社の女子たちに叫ばれ、
「お前らっ、月曜日、覚えとけよっ」
と綾太は叫び返している。
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