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75 凶行(ユージーン視点)
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ミランダとフェリシアの前で宙に浮いていた剣が僕に近寄ってきた。
僕の目の前でピタリと止まった剣がキラリと光り、本物の剣だと主張している。
僕は頭の中でその剣を手に取りミランダに斬りかかる事をシミュレーションしてみた。
だが、これだけ距離があれば、僕が剣を持った時点で、ミランダはそのナイフをフェリシアの首に突き立てるだろう。
それにミランダも僕が斬りかかる事を想定して身構えているはずだ。
身動きもせずに剣を凝視していると、ミランダから一番聞きたくない言葉が発せられた。
「ユージーン、その剣でエリックを斬りなさい!」
ふざけるな!
僕にそんな真似が出来ると思っているのか!
返事の代わりに思いっきりミランダを睨みつけるが、彼女は涼しい顔だ。
「あなたがエリックを斬らないのならば、私がこのフェリシアを斬るわよ。自分の父親と、ほんの少し前に現れたばかりの妹。あなたはどちらを選ぶのかしら」
僕にどちらも選べない事をわかっていて、ミランダはわざとそんな事を聞いてくる。
「ユージーン! 私の事はいいからフェリシアを助けてやってくれ」
父上が必死の形相で僕に訴えてくる。
父上だってこの状況ではそう言わざるを得ないだろう。
一国の国王が息子に命乞いをするなんて、プライドが許さないはずだ。
そんな父上をミランダは小馬鹿にしたようにせせら笑う。
「どう、エリック? 自分の息子に殺されるのと、自分の娘が目の前で殺されるのと、どっちが好みかしら?」
そんな選択肢を突きつけてくるなんて、この女は人間の皮を被った悪魔だ。
なおも動かない僕にミランダはしびれを切らしたようだ。
「こんな手は使いたくなかったんだけど、仕方がないわね。…さあ、ユージーン。剣を持ちなさい」
ミランダが命令すると、自分の意志に反して手が勝手に剣に向かって伸びていく。
必死に抗おうとするが、ブルブルと震える手は剣の柄を握っていた。
「やめろ! ミランダ! 僕に父親殺しをさせる気か!」
「勿論よ。エリックは息子に殺されて死亡。息子は父親殺しの罪で処刑。この国はフェリシアが継ぐけれど、後見人として私が側にいてあげるわ。フェリシアはただ玉座に座っていればいいだけよ」
ミランダはフェリシアを傀儡にしてこの国を牛耳るつもりなのだろう。
抵抗も虚しく僕が剣を振り下ろすと同時に、父上の身体から血飛沫が上がった。
「くっ!」
父上の顔が苦痛に歪むが、身体は硬直したように微動だにしない。
「大丈夫。ひと思いに殺したりはしないわ。じわじわとなぶり殺してあげる」
「やめろ、ミランダ! これ以上はやめてくれ!」
何とか止めさせようとミランダに懇願するが、ミランダは「チッ」と舌打ちをする。
「ギャアギャアうるさいわね。少し静かにしてちょうだい」
なおも呼びかけようとしたが、口が開くだけで言葉を発する事が出来なくなった。
更に僕の剣は父上に向かって振り下ろされ、飛び散った血が僕の頬に張り付く。
僕の目から溢れる涙が、その血を洗い流していく。
「うふふ、楽しいわね。本当はこれを前国王とエリックでやりたかったのよ。ねぇ、エリック。殺す方と殺される方とどちらが良かったかしらね」
ミランダの目が狂気に染まっている。
当事者は前国王夫妻とミランダの母親で、僕達は何の関係もないはずだ。
僕達はただ、そのとばっちりを受けているだけに過ぎない。
何とかミランダの魔法から逃れてこの状況を打破したいのに、身体が言う事を聞かない。
このまま僕は父上を斬り殺してしまうのだろうか?
父上は既に諦めたような表情をしている。
かなり出血しているようで顔面は蒼白だ。
僕の意志とは裏腹に腕が勝手に振りかぶる。
「もう、止めて!」
フェリシアが叫んだ途端、まばゆい光が辺りを照らした。
僕の目の前でピタリと止まった剣がキラリと光り、本物の剣だと主張している。
僕は頭の中でその剣を手に取りミランダに斬りかかる事をシミュレーションしてみた。
だが、これだけ距離があれば、僕が剣を持った時点で、ミランダはそのナイフをフェリシアの首に突き立てるだろう。
それにミランダも僕が斬りかかる事を想定して身構えているはずだ。
身動きもせずに剣を凝視していると、ミランダから一番聞きたくない言葉が発せられた。
「ユージーン、その剣でエリックを斬りなさい!」
ふざけるな!
僕にそんな真似が出来ると思っているのか!
返事の代わりに思いっきりミランダを睨みつけるが、彼女は涼しい顔だ。
「あなたがエリックを斬らないのならば、私がこのフェリシアを斬るわよ。自分の父親と、ほんの少し前に現れたばかりの妹。あなたはどちらを選ぶのかしら」
僕にどちらも選べない事をわかっていて、ミランダはわざとそんな事を聞いてくる。
「ユージーン! 私の事はいいからフェリシアを助けてやってくれ」
父上が必死の形相で僕に訴えてくる。
父上だってこの状況ではそう言わざるを得ないだろう。
一国の国王が息子に命乞いをするなんて、プライドが許さないはずだ。
そんな父上をミランダは小馬鹿にしたようにせせら笑う。
「どう、エリック? 自分の息子に殺されるのと、自分の娘が目の前で殺されるのと、どっちが好みかしら?」
そんな選択肢を突きつけてくるなんて、この女は人間の皮を被った悪魔だ。
なおも動かない僕にミランダはしびれを切らしたようだ。
「こんな手は使いたくなかったんだけど、仕方がないわね。…さあ、ユージーン。剣を持ちなさい」
ミランダが命令すると、自分の意志に反して手が勝手に剣に向かって伸びていく。
必死に抗おうとするが、ブルブルと震える手は剣の柄を握っていた。
「やめろ! ミランダ! 僕に父親殺しをさせる気か!」
「勿論よ。エリックは息子に殺されて死亡。息子は父親殺しの罪で処刑。この国はフェリシアが継ぐけれど、後見人として私が側にいてあげるわ。フェリシアはただ玉座に座っていればいいだけよ」
ミランダはフェリシアを傀儡にしてこの国を牛耳るつもりなのだろう。
抵抗も虚しく僕が剣を振り下ろすと同時に、父上の身体から血飛沫が上がった。
「くっ!」
父上の顔が苦痛に歪むが、身体は硬直したように微動だにしない。
「大丈夫。ひと思いに殺したりはしないわ。じわじわとなぶり殺してあげる」
「やめろ、ミランダ! これ以上はやめてくれ!」
何とか止めさせようとミランダに懇願するが、ミランダは「チッ」と舌打ちをする。
「ギャアギャアうるさいわね。少し静かにしてちょうだい」
なおも呼びかけようとしたが、口が開くだけで言葉を発する事が出来なくなった。
更に僕の剣は父上に向かって振り下ろされ、飛び散った血が僕の頬に張り付く。
僕の目から溢れる涙が、その血を洗い流していく。
「うふふ、楽しいわね。本当はこれを前国王とエリックでやりたかったのよ。ねぇ、エリック。殺す方と殺される方とどちらが良かったかしらね」
ミランダの目が狂気に染まっている。
当事者は前国王夫妻とミランダの母親で、僕達は何の関係もないはずだ。
僕達はただ、そのとばっちりを受けているだけに過ぎない。
何とかミランダの魔法から逃れてこの状況を打破したいのに、身体が言う事を聞かない。
このまま僕は父上を斬り殺してしまうのだろうか?
父上は既に諦めたような表情をしている。
かなり出血しているようで顔面は蒼白だ。
僕の意志とは裏腹に腕が勝手に振りかぶる。
「もう、止めて!」
フェリシアが叫んだ途端、まばゆい光が辺りを照らした。
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