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学院編
108 『九九』の授業
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次の計算の授業の時間。
チャイムと同時にバタバタとディクソン先生が教室に入って来た。
いつもゆったりとした動きのディクソン先生にしては珍しく息を切らしている。
「皆さん、大変な発見がありました! なんと、画期的な計算方法が見つかったのです!」
ゼイゼイと息を切らしながらも大興奮のディクソン先生に皆は困惑気味だった。
そんな生徒達をよそにディクソン先生はプリントを配り始めた。
プリントを受け取った生徒達はそこに書かれている内容に更に怪訝な表情を浮かべる。
そこに書かれていたのは『九九表』だった。
「『ににんがし』?『にさんがろく』?」
「先生! これは一体何の呪文ですか?」
プリントに目を通した生徒が口々に質問する中、アーサーは驚いたように僕を振り返る。
しまった。
アーサーに説明するのを忘れていたな。
さて、何と言って誤魔化そうか?
いや、ここはちゃんと正直に伝えるべきだな。
とりあえず僕は「後で」と口の動きだけでアーサーに伝えた。
困惑する生徒達に向かってディクソン先生は得意気に説明を始める。
「それでは順を追って説明しましょう。これは『九九表』と言って、掛け算の式と答えが載っています。その下にある呪文のような言葉はその式の読み方です。これを覚える事によって掛け算の答えがすぐに出てくるようになります。では、皆さん。声を揃えて復唱しましょう」
教室内に九九を復唱する生徒達の声が響く。
勿論、僕も一緒に声を出すけれど、こんなふうに声を揃えて九九を言うのは小学生以来だな。
ちょっと気恥ずかしいけれど、声を出さないと怪しまれちゃうからね。
授業が終わるとすぐにアーサーが僕の所にやって来たが、ここで出来るような話ではない。
そこでアーサーが口を開くよりも早く、僕の方から話しかけた。
「アーサー、今日帰りに僕の家に寄って行かないか? 一緒に九九の暗記をしようよ」
それを聞いてアーサーは僕の意図を察してくれた。
「ああ、良いよ。僕も今、そう言おうと思っていたんだ」
そして、放課後。
僕の部屋でアーサーと二人きりになってからようやく僕は今回の騒動について話した。
「先日、僕が剣術の授業で滅茶苦茶痛がったのを覚えているかな?」
「ん? ああ、そういえばそんな事もあったような気がするな」
オーウェンが何処まで記憶を改ざんしたのかわからなかったけれど、どうやらそこの部分は残っていたようだ。
「その犯人はやっぱりジェイミーだったんだ。それでアーサーもその標的にされたんだ。そこへマーリン先生が現れたんだ」
「マーリン先生が?」
流石にヴィクター先生が初代王のヴィンセントで僕の先祖だとは言えないので、マーリン先生だけにしておこう。
「そうなんだ。ジェイミーが何らかの術を使っているのを察知して助けに来てくれたんだ」
「ジェイミーの奴! 明日、学院で会ったらぶん殴ってやろうか」
「止めてくれよ、アーサー。マーリン先生が記憶を改ざんしてくれたんだから、向こうはもう何も覚えていないよ」
拳を握りしめて立ち上がるアーサーを僕は慌てて押し留める。
「はぁ、しょうがないな。それと『九九』とどういう関係があるんだ?」
「ジェイミーは僕とアーサーが自分よりも成績が良いのが気に入らなかったみたいだから、マーリン先生にお願いして、ディクソン先生から『九九』を広めてもらう事にしたんだ。そうすれば僕達だって堂々と『九九』を使えるだろ」
そう言うとアーサーは「うんうん」と頷いた。
「確かにね。計算の授業の時、うっかり『九九』が口から出そうで困っていたんだよ。まだ完璧に覚えていない所もあるからさ。順番に言わないとパッと出てこないんだよね」
あー、わかる。
確かに覚えたての頃はそんな感じだったな。
とりあえず、アーサーにはマーリン先生の事は話さないように口止めしておこう。
チャイムと同時にバタバタとディクソン先生が教室に入って来た。
いつもゆったりとした動きのディクソン先生にしては珍しく息を切らしている。
「皆さん、大変な発見がありました! なんと、画期的な計算方法が見つかったのです!」
ゼイゼイと息を切らしながらも大興奮のディクソン先生に皆は困惑気味だった。
そんな生徒達をよそにディクソン先生はプリントを配り始めた。
プリントを受け取った生徒達はそこに書かれている内容に更に怪訝な表情を浮かべる。
そこに書かれていたのは『九九表』だった。
「『ににんがし』?『にさんがろく』?」
「先生! これは一体何の呪文ですか?」
プリントに目を通した生徒が口々に質問する中、アーサーは驚いたように僕を振り返る。
しまった。
アーサーに説明するのを忘れていたな。
さて、何と言って誤魔化そうか?
いや、ここはちゃんと正直に伝えるべきだな。
とりあえず僕は「後で」と口の動きだけでアーサーに伝えた。
困惑する生徒達に向かってディクソン先生は得意気に説明を始める。
「それでは順を追って説明しましょう。これは『九九表』と言って、掛け算の式と答えが載っています。その下にある呪文のような言葉はその式の読み方です。これを覚える事によって掛け算の答えがすぐに出てくるようになります。では、皆さん。声を揃えて復唱しましょう」
教室内に九九を復唱する生徒達の声が響く。
勿論、僕も一緒に声を出すけれど、こんなふうに声を揃えて九九を言うのは小学生以来だな。
ちょっと気恥ずかしいけれど、声を出さないと怪しまれちゃうからね。
授業が終わるとすぐにアーサーが僕の所にやって来たが、ここで出来るような話ではない。
そこでアーサーが口を開くよりも早く、僕の方から話しかけた。
「アーサー、今日帰りに僕の家に寄って行かないか? 一緒に九九の暗記をしようよ」
それを聞いてアーサーは僕の意図を察してくれた。
「ああ、良いよ。僕も今、そう言おうと思っていたんだ」
そして、放課後。
僕の部屋でアーサーと二人きりになってからようやく僕は今回の騒動について話した。
「先日、僕が剣術の授業で滅茶苦茶痛がったのを覚えているかな?」
「ん? ああ、そういえばそんな事もあったような気がするな」
オーウェンが何処まで記憶を改ざんしたのかわからなかったけれど、どうやらそこの部分は残っていたようだ。
「その犯人はやっぱりジェイミーだったんだ。それでアーサーもその標的にされたんだ。そこへマーリン先生が現れたんだ」
「マーリン先生が?」
流石にヴィクター先生が初代王のヴィンセントで僕の先祖だとは言えないので、マーリン先生だけにしておこう。
「そうなんだ。ジェイミーが何らかの術を使っているのを察知して助けに来てくれたんだ」
「ジェイミーの奴! 明日、学院で会ったらぶん殴ってやろうか」
「止めてくれよ、アーサー。マーリン先生が記憶を改ざんしてくれたんだから、向こうはもう何も覚えていないよ」
拳を握りしめて立ち上がるアーサーを僕は慌てて押し留める。
「はぁ、しょうがないな。それと『九九』とどういう関係があるんだ?」
「ジェイミーは僕とアーサーが自分よりも成績が良いのが気に入らなかったみたいだから、マーリン先生にお願いして、ディクソン先生から『九九』を広めてもらう事にしたんだ。そうすれば僕達だって堂々と『九九』を使えるだろ」
そう言うとアーサーは「うんうん」と頷いた。
「確かにね。計算の授業の時、うっかり『九九』が口から出そうで困っていたんだよ。まだ完璧に覚えていない所もあるからさ。順番に言わないとパッと出てこないんだよね」
あー、わかる。
確かに覚えたての頃はそんな感じだったな。
とりあえず、アーサーにはマーリン先生の事は話さないように口止めしておこう。
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