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学院編
111 噂話
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時折誰かの視線を感じながらも、いつも通りの学院生活を送っていた。
今のところ、エドワード王子とは顔を合わせていないが、どうやら二年生になる時にクラス替えがあるらしい。
出来ればエドワード王子とは別のクラスになりたいのだが、クラス分けの基準がわからない以上、僕に打つ手はない。
僕の事情を知っているマーリン先生かヴィクター先生に泣きつこうかと思ったが、『人間社会には手を出さない』と言われているので期待できそうもない。
こうなりゃ神頼みしか無いかな?
もっとも祈ったところで聞き届けてくれるような神様がいるとは限らないけどね。
そんなある日、いつものようにアーサーと共に登校すると、クラス内はいつも以上にザワザワと騒がしかった。
「おはよう。…何かあったのか?」
アーサーが自分の席の隣にいるティモシーに尋ねると、ティモシーは興奮したような早口でまくしたてる。
「あ、アーサー、大変だよ! エドワード王子に双子の弟がいるって噂が出てきたんだって! それで今、エドワード王子のクラスが二分して対立しているんだって!」
ティモシーの言葉に僕は頭を思い切りハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
「何だって!? それは本当なのか?」
アーサーがティモシーを問い詰めるのを僕はアーサーの後ろで顔を伏せるようにして聞き耳を立てる。
「双子の弟の事はわからないけれど、エドワード王子のクラスが二分しているのは本当だよ。アルドリッジ公爵と対立しているダウナー公爵の息子がエドワード王子に反旗を翻したってさ」
ティモシーの話を聞きながら、僕は何処から双子の話が漏れたのだろうかと考えた。
僕が生まれた時にその場にいた国王、医師、サラの三人から漏れたとは考えにくい。
王妃にしても僕には何の感情も抱いていないようだったから、この線もないだろう。
僕の存在を突き止めたスタンレイ子爵も今は伯爵になっているし、ポップコーンを教えた時に口止めをしているから、今更暴露したとは思えない。
マーリン先生とヴィクター先生も秘密を漏らしたりはしないだろう。
では、一体何処から双子の話が出てきたのだろうか?
「エドワード王子が双子だったとしても、そんな話は一言も聞いた事がないぞ。それが本当だとしたら、もう一人は何処へ行ったんだ?」
アーサーの詰問にティモシーは口を尖らせる。
「ダウナー公爵家のクリフトンが言うには『二百年前の騒動が再び起こらないように国王が秘密裏に捨てた』らしいよ。それでエドワード王子が激怒したってさ。『僕の父親はそんな非道な真似はしない』ってね」
ティモシーの話を聞いて僕はふいっと顔を反らした。
非道な真似…ね。
エドワード王子にとって国王は優しい人なのだろう。
だけど、僕は知っている。
本当は情け容赦のない人だという事を。
何しろ生まれたばかりの僕を殺そうとしたんだからな。
でも、今はそんな事はどうでもいい。
問題はクリフトンが何処で双子の話を知ったのかと言う事だ。
そして、この『双子王子』の話が学院内で噂になっていると知ったら国王はどんな対応をしてくるのだろうか?
…まさか、僕に刺客を放ったりしないよね。
そんな考えを頭から振り払い僕は席に着いた。
その日の放課後、アーサーと一緒に馬車乗り場に向かっている時の事だった。
僕達の目の前に一人の男子生徒が立ち塞がった。
僕とアーサーがピタリと足を止めると、その男子生徒はアーサーに向かって告げた。
「君は先に行っててくれるかな」
口調は穏やかだが有無を言わせない響きがある。
明らかにアーサーよりは身分が上だという威圧的な態度だった。
アーサーがチラリと僕を見たので、軽く頷いておく。
「ごめん、エド。先に行ってるね」
アーサーがバタバタと遠ざかると、その男子生徒は僕をじっと見つめてきた。
その視線にどことなく既視感を覚える。
「場所を変えましょう。エドアルド君も他の人に聞かれたくはないでしょう?」
男子生徒に言われるまま、僕は彼の後をついて行った。
今のところ、エドワード王子とは顔を合わせていないが、どうやら二年生になる時にクラス替えがあるらしい。
出来ればエドワード王子とは別のクラスになりたいのだが、クラス分けの基準がわからない以上、僕に打つ手はない。
僕の事情を知っているマーリン先生かヴィクター先生に泣きつこうかと思ったが、『人間社会には手を出さない』と言われているので期待できそうもない。
こうなりゃ神頼みしか無いかな?
もっとも祈ったところで聞き届けてくれるような神様がいるとは限らないけどね。
そんなある日、いつものようにアーサーと共に登校すると、クラス内はいつも以上にザワザワと騒がしかった。
「おはよう。…何かあったのか?」
アーサーが自分の席の隣にいるティモシーに尋ねると、ティモシーは興奮したような早口でまくしたてる。
「あ、アーサー、大変だよ! エドワード王子に双子の弟がいるって噂が出てきたんだって! それで今、エドワード王子のクラスが二分して対立しているんだって!」
ティモシーの言葉に僕は頭を思い切りハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
「何だって!? それは本当なのか?」
アーサーがティモシーを問い詰めるのを僕はアーサーの後ろで顔を伏せるようにして聞き耳を立てる。
「双子の弟の事はわからないけれど、エドワード王子のクラスが二分しているのは本当だよ。アルドリッジ公爵と対立しているダウナー公爵の息子がエドワード王子に反旗を翻したってさ」
ティモシーの話を聞きながら、僕は何処から双子の話が漏れたのだろうかと考えた。
僕が生まれた時にその場にいた国王、医師、サラの三人から漏れたとは考えにくい。
王妃にしても僕には何の感情も抱いていないようだったから、この線もないだろう。
僕の存在を突き止めたスタンレイ子爵も今は伯爵になっているし、ポップコーンを教えた時に口止めをしているから、今更暴露したとは思えない。
マーリン先生とヴィクター先生も秘密を漏らしたりはしないだろう。
では、一体何処から双子の話が出てきたのだろうか?
「エドワード王子が双子だったとしても、そんな話は一言も聞いた事がないぞ。それが本当だとしたら、もう一人は何処へ行ったんだ?」
アーサーの詰問にティモシーは口を尖らせる。
「ダウナー公爵家のクリフトンが言うには『二百年前の騒動が再び起こらないように国王が秘密裏に捨てた』らしいよ。それでエドワード王子が激怒したってさ。『僕の父親はそんな非道な真似はしない』ってね」
ティモシーの話を聞いて僕はふいっと顔を反らした。
非道な真似…ね。
エドワード王子にとって国王は優しい人なのだろう。
だけど、僕は知っている。
本当は情け容赦のない人だという事を。
何しろ生まれたばかりの僕を殺そうとしたんだからな。
でも、今はそんな事はどうでもいい。
問題はクリフトンが何処で双子の話を知ったのかと言う事だ。
そして、この『双子王子』の話が学院内で噂になっていると知ったら国王はどんな対応をしてくるのだろうか?
…まさか、僕に刺客を放ったりしないよね。
そんな考えを頭から振り払い僕は席に着いた。
その日の放課後、アーサーと一緒に馬車乗り場に向かっている時の事だった。
僕達の目の前に一人の男子生徒が立ち塞がった。
僕とアーサーがピタリと足を止めると、その男子生徒はアーサーに向かって告げた。
「君は先に行っててくれるかな」
口調は穏やかだが有無を言わせない響きがある。
明らかにアーサーよりは身分が上だという威圧的な態度だった。
アーサーがチラリと僕を見たので、軽く頷いておく。
「ごめん、エド。先に行ってるね」
アーサーがバタバタと遠ざかると、その男子生徒は僕をじっと見つめてきた。
その視線にどことなく既視感を覚える。
「場所を変えましょう。エドアルド君も他の人に聞かれたくはないでしょう?」
男子生徒に言われるまま、僕は彼の後をついて行った。
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