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学院編
112. 男子生徒
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男子生徒と人けのない所に移動しながら、僕は彼が誰なのかをずっと考えていた。
背格好から僕と同じ位の年齢だと推測されるが、それにもかかわらず言動はかなり大人びている。
もしかして彼がクリフトン・ダウナー公爵令息だろうか?
誰もいない場所まで来ると、僕の前を歩いていた男子生徒がくるりと僕を振り返った。
「まだ名乗っておりませんでしたね。失礼いたしました。クリフトン・ダウナーと申します。以後お見知り置きを」
恭しく僕に向かってお辞儀をするところを見ると、僕が誰かを知っていて尚且つそれを信じて疑っていないのだろう。
向こうが名乗ってきた以上、僕も名乗るのが礼儀だろう。
「ご丁寧な挨拶をありがとうございます。僕はエドアルド・エルガーです」
ペコリと頭を下げる僕にクリフトンはフッと笑いを漏らした。
「もう身分を偽らなくてもいいんですよ。堂々と『エドアルド・アルズベリー』と名乗ってください。エドアルド王子」
クリフトンの言葉に僕はヒュッと息を呑む。
言葉を失った僕にクリフトンは「失礼します」と言って両手を伸ばしてきた。
「あっ!」
クリフトンの両手が僕の顔から黒縁眼鏡を奪い取った。
素顔が露わになった僕を見てクリフトンは嬉しそうな顔をする。
「これはこれは…。エドワード王子に瓜二つではないですか。お二人が並ばれたらどちらがどちらかなんてわからないでしょうね」
僕は慌ててクリフトンから眼鏡を奪い返そうと手を伸ばしたが、それよりも早くクリフトンは眼鏡を頭上に掲げた。
「こんな無粋な眼鏡などおやめください。…おや? これは全然度が入っていないじゃないですか。それなのにわざわざこんな眼鏡をかけているなんて…。もしやご自分が王子だとご存知だったんですか?」
クリフトンはいきなり僕の腕を掴むとぐっと顔を近づけてきた。
その視線はここ最近、僕を見ていたあの視線を思い出させる。
何もかもを見通すような瞳に僕は視線を逸らす事が出来なかった。
「…ほう、なるほど…。前世の記憶を持ったままこの世界に転生ですか。面白いですね。ますます次期国王に推したくなりますよ。もしや、エルガー男爵もそれを見越してエドアルド様を養子にされたのですか? 爵位には興味がないと言いながら、とんでもない野心を持っていらしたんですね」
クックッと笑うクリフトンに僕は急いで反論する。
あの優しい人達をこんな権力争いに巻き込みたくはない。
「クリフトンさん、義両親は何も知りません。関係ない人を巻き込まないでくれますか! それに僕は王位を継ぐ気なんてありません!」
僕はクリフトンの腕を振り払うと、反対の手に持っていた眼鏡を取り返した。
眼鏡をかけて立ち去ろうとする僕の背中にクリフトンの冷ややかな声が突き刺さる。
「仕方がありませんね。それでは今回も邪魔者には消えてもらいましょうか。二百年前と同じようにね」
二百年前だって?
クリフトンは一体何の事を言っているんだ?
僕は驚いて振り返り、クリフトンの姿をまじまじと見つめた。
どこをどう見ても僕と同じ年頃の男の子にしか見えないのに、どうしてそんな言葉が出てくるのだろうか?
「…もしかして君も転生者?」
恐る恐る尋ねる僕にクリフトンは軽く首を振った。
「私は転生者ではありませんよ。今はこの少年の器を借りているだけです。私の本当の名前はジェイコブ・バークスです。二百年前、弟王子の為に兄王子を殺してあげたのに、兄王子を支援していた貴族達と共に処刑された者ですよ」
ジェイコブと名乗る男の言葉に気になるワードが出て来た。
『少年の器』だって?
つまり、ジェイコブは魂だけの存在という事なんだろうか?
背格好から僕と同じ位の年齢だと推測されるが、それにもかかわらず言動はかなり大人びている。
もしかして彼がクリフトン・ダウナー公爵令息だろうか?
誰もいない場所まで来ると、僕の前を歩いていた男子生徒がくるりと僕を振り返った。
「まだ名乗っておりませんでしたね。失礼いたしました。クリフトン・ダウナーと申します。以後お見知り置きを」
恭しく僕に向かってお辞儀をするところを見ると、僕が誰かを知っていて尚且つそれを信じて疑っていないのだろう。
向こうが名乗ってきた以上、僕も名乗るのが礼儀だろう。
「ご丁寧な挨拶をありがとうございます。僕はエドアルド・エルガーです」
ペコリと頭を下げる僕にクリフトンはフッと笑いを漏らした。
「もう身分を偽らなくてもいいんですよ。堂々と『エドアルド・アルズベリー』と名乗ってください。エドアルド王子」
クリフトンの言葉に僕はヒュッと息を呑む。
言葉を失った僕にクリフトンは「失礼します」と言って両手を伸ばしてきた。
「あっ!」
クリフトンの両手が僕の顔から黒縁眼鏡を奪い取った。
素顔が露わになった僕を見てクリフトンは嬉しそうな顔をする。
「これはこれは…。エドワード王子に瓜二つではないですか。お二人が並ばれたらどちらがどちらかなんてわからないでしょうね」
僕は慌ててクリフトンから眼鏡を奪い返そうと手を伸ばしたが、それよりも早くクリフトンは眼鏡を頭上に掲げた。
「こんな無粋な眼鏡などおやめください。…おや? これは全然度が入っていないじゃないですか。それなのにわざわざこんな眼鏡をかけているなんて…。もしやご自分が王子だとご存知だったんですか?」
クリフトンはいきなり僕の腕を掴むとぐっと顔を近づけてきた。
その視線はここ最近、僕を見ていたあの視線を思い出させる。
何もかもを見通すような瞳に僕は視線を逸らす事が出来なかった。
「…ほう、なるほど…。前世の記憶を持ったままこの世界に転生ですか。面白いですね。ますます次期国王に推したくなりますよ。もしや、エルガー男爵もそれを見越してエドアルド様を養子にされたのですか? 爵位には興味がないと言いながら、とんでもない野心を持っていらしたんですね」
クックッと笑うクリフトンに僕は急いで反論する。
あの優しい人達をこんな権力争いに巻き込みたくはない。
「クリフトンさん、義両親は何も知りません。関係ない人を巻き込まないでくれますか! それに僕は王位を継ぐ気なんてありません!」
僕はクリフトンの腕を振り払うと、反対の手に持っていた眼鏡を取り返した。
眼鏡をかけて立ち去ろうとする僕の背中にクリフトンの冷ややかな声が突き刺さる。
「仕方がありませんね。それでは今回も邪魔者には消えてもらいましょうか。二百年前と同じようにね」
二百年前だって?
クリフトンは一体何の事を言っているんだ?
僕は驚いて振り返り、クリフトンの姿をまじまじと見つめた。
どこをどう見ても僕と同じ年頃の男の子にしか見えないのに、どうしてそんな言葉が出てくるのだろうか?
「…もしかして君も転生者?」
恐る恐る尋ねる僕にクリフトンは軽く首を振った。
「私は転生者ではありませんよ。今はこの少年の器を借りているだけです。私の本当の名前はジェイコブ・バークスです。二百年前、弟王子の為に兄王子を殺してあげたのに、兄王子を支援していた貴族達と共に処刑された者ですよ」
ジェイコブと名乗る男の言葉に気になるワードが出て来た。
『少年の器』だって?
つまり、ジェイコブは魂だけの存在という事なんだろうか?
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