御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

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冒険者編

191 次の依頼

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 ビッグアントの駆除をした翌日、僕とアーサーは再び冒険者ギルドを訪れていた。

 二人で依頼書が貼り付けられているボードの前に立ち、どの依頼を受けるか吟味しようとしたが…。

「随分と依頼書が少ないな」

「Eランクなんて殆ど無いぞ」

 元々多くなかった依頼書だけれど、現在ボードに貼られているのはどのランクの依頼書も数枚程度に減っている。

 僕達以外にも冒険者がいるのだから依頼書が減るのは当然だけれど、それにしても残っているのが少なすぎる。

 それに依頼を受けた日付もあまり新しいものがないように見える。

「ここの冒険者ギルドにはあまり依頼が入ってこないのかな?」

 冒険者ギルド内にいる冒険者の数も以前に比べて減ってきているようだ。

「何を悩んでいるんだ?」

 背後から声をかけられて振り返ると、時折見かける冒険者の一人が立っていた。

 二十代後半くらいのがっしりとした身体つきの冒険者だ。

 腰に下げている剣や装備からそれなりに冒険者をやっているのだと察せられる。

「いえ、随分と依頼書が少ないなと思って…」

 そう答えるとその冒険者は納得したようにウンウンとうなずいた。

「…だろうな。だけどしょうがないさ。この辺りはあまり魔獣が出たりしないからな。今貼られている依頼書にしても、この辺りのものじゃないからな」

 冒険者に言われて他のランクの依頼書を見てみると、確かにこの王都の街の依頼書は殆ど無かった。

「たくさん依頼を受けたいんならここじゃなくて他の街に行く事を勧めるよ。だが、流石にその年齢じゃ親に止められそうだな。ま、頑張れよ」

 それだけ告げると冒険者はどこかへ去って行った。

 僕とアーサーはポツンとその場に取り残される。

「他の街かぁ…。ちょっと難しそうだな。エドはどう?」

 アーサーが少し顔をしかめながら僕に顔を向ける。

「そうだな。冒険者をやっているのも心配されているのに、よその街に行くとなったら反対されるのは目に見えてるな」

 義両親はもとより、クリスまでもが僕がいなくなるのを反対しそうだ。

 少ないながらも依頼はあるので、とりあえずこなしていくしかないだろう。

 ボードに残されている依頼は「ラージバタフライの羽根」と「ローリーポーリーの採取」だけだ。

「どっちから行く?」

 アーサーに聞くと「うーん」としばらく迷った末、「ローリーポーリーの採取」を選んだ。

「こっちにしようか。ここから割と近いしね」

 アーサーの言う通り、依頼が出された所は昨日の畑に近い場所だった。

「それじゃ、早速行こうか」

 僕はボードからその依頼書を剥がすと冒険者ギルドを後にした。

 昨日の畑からさらに進んで行くと、依頼書を出している家に到着した。

 その家の住人らしき男性が外で作業をしている。

「あの、この依頼を受けて来たんですが…」

 僕が声をかけると男性は作業の手を止めてこちらを振り返った。

 僕とアーサーを見て少し首を傾げている。

「依頼?」

 あれ?

 ここじゃなかったのかな?

 僕はポケットから依頼書を取り出して男性に見せた。

「あの、これなんですけど…」

 男性は僕が持っていた依頼書を受け取るとまじまじと見つめた。

 しばらく目を通していた男性は軽く息を吐くと依頼書を僕に差し出してきた。

「これか…。誰も来ないから依頼を取り下げようかと思っていたんだが…。君達がやってくれるのか?」

 どうやら取り下げられる寸前だったようだ。

 間に合ってよかったと内心でホッとする。

「この向こうに森があるだろう? あそこにたぶんいると思うから、取れるだけ取ってきてほしい」

「わかりました。行ってきます」

 僕は男性にペコリと頭を下げると、アーサーと一緒に森に向かった。

「…果たして取ってこれるかな?」

 男性の呟きは僕達の耳には届かなかった。
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