191 / 242
冒険者編
191 次の依頼
しおりを挟む
ビッグアントの駆除をした翌日、僕とアーサーは再び冒険者ギルドを訪れていた。
二人で依頼書が貼り付けられているボードの前に立ち、どの依頼を受けるか吟味しようとしたが…。
「随分と依頼書が少ないな」
「Eランクなんて殆ど無いぞ」
元々多くなかった依頼書だけれど、現在ボードに貼られているのはどのランクの依頼書も数枚程度に減っている。
僕達以外にも冒険者がいるのだから依頼書が減るのは当然だけれど、それにしても残っているのが少なすぎる。
それに依頼を受けた日付もあまり新しいものがないように見える。
「ここの冒険者ギルドにはあまり依頼が入ってこないのかな?」
冒険者ギルド内にいる冒険者の数も以前に比べて減ってきているようだ。
「何を悩んでいるんだ?」
背後から声をかけられて振り返ると、時折見かける冒険者の一人が立っていた。
二十代後半くらいのがっしりとした身体つきの冒険者だ。
腰に下げている剣や装備からそれなりに冒険者をやっているのだと察せられる。
「いえ、随分と依頼書が少ないなと思って…」
そう答えるとその冒険者は納得したようにウンウンとうなずいた。
「…だろうな。だけどしょうがないさ。この辺りはあまり魔獣が出たりしないからな。今貼られている依頼書にしても、この辺りのものじゃないからな」
冒険者に言われて他のランクの依頼書を見てみると、確かにこの王都の街の依頼書は殆ど無かった。
「たくさん依頼を受けたいんならここじゃなくて他の街に行く事を勧めるよ。だが、流石にその年齢じゃ親に止められそうだな。ま、頑張れよ」
それだけ告げると冒険者はどこかへ去って行った。
僕とアーサーはポツンとその場に取り残される。
「他の街かぁ…。ちょっと難しそうだな。エドはどう?」
アーサーが少し顔をしかめながら僕に顔を向ける。
「そうだな。冒険者をやっているのも心配されているのに、よその街に行くとなったら反対されるのは目に見えてるな」
義両親はもとより、クリスまでもが僕がいなくなるのを反対しそうだ。
少ないながらも依頼はあるので、とりあえずこなしていくしかないだろう。
ボードに残されている依頼は「ラージバタフライの羽根」と「ローリーポーリーの採取」だけだ。
「どっちから行く?」
アーサーに聞くと「うーん」としばらく迷った末、「ローリーポーリーの採取」を選んだ。
「こっちにしようか。ここから割と近いしね」
アーサーの言う通り、依頼が出された所は昨日の畑に近い場所だった。
「それじゃ、早速行こうか」
僕はボードからその依頼書を剥がすと冒険者ギルドを後にした。
昨日の畑からさらに進んで行くと、依頼書を出している家に到着した。
その家の住人らしき男性が外で作業をしている。
「あの、この依頼を受けて来たんですが…」
僕が声をかけると男性は作業の手を止めてこちらを振り返った。
僕とアーサーを見て少し首を傾げている。
「依頼?」
あれ?
ここじゃなかったのかな?
僕はポケットから依頼書を取り出して男性に見せた。
「あの、これなんですけど…」
男性は僕が持っていた依頼書を受け取るとまじまじと見つめた。
しばらく目を通していた男性は軽く息を吐くと依頼書を僕に差し出してきた。
「これか…。誰も来ないから依頼を取り下げようかと思っていたんだが…。君達がやってくれるのか?」
どうやら取り下げられる寸前だったようだ。
間に合ってよかったと内心でホッとする。
「この向こうに森があるだろう? あそこにたぶんいると思うから、取れるだけ取ってきてほしい」
「わかりました。行ってきます」
僕は男性にペコリと頭を下げると、アーサーと一緒に森に向かった。
「…果たして取ってこれるかな?」
男性の呟きは僕達の耳には届かなかった。
二人で依頼書が貼り付けられているボードの前に立ち、どの依頼を受けるか吟味しようとしたが…。
「随分と依頼書が少ないな」
「Eランクなんて殆ど無いぞ」
元々多くなかった依頼書だけれど、現在ボードに貼られているのはどのランクの依頼書も数枚程度に減っている。
僕達以外にも冒険者がいるのだから依頼書が減るのは当然だけれど、それにしても残っているのが少なすぎる。
それに依頼を受けた日付もあまり新しいものがないように見える。
「ここの冒険者ギルドにはあまり依頼が入ってこないのかな?」
冒険者ギルド内にいる冒険者の数も以前に比べて減ってきているようだ。
「何を悩んでいるんだ?」
背後から声をかけられて振り返ると、時折見かける冒険者の一人が立っていた。
二十代後半くらいのがっしりとした身体つきの冒険者だ。
腰に下げている剣や装備からそれなりに冒険者をやっているのだと察せられる。
「いえ、随分と依頼書が少ないなと思って…」
そう答えるとその冒険者は納得したようにウンウンとうなずいた。
「…だろうな。だけどしょうがないさ。この辺りはあまり魔獣が出たりしないからな。今貼られている依頼書にしても、この辺りのものじゃないからな」
冒険者に言われて他のランクの依頼書を見てみると、確かにこの王都の街の依頼書は殆ど無かった。
「たくさん依頼を受けたいんならここじゃなくて他の街に行く事を勧めるよ。だが、流石にその年齢じゃ親に止められそうだな。ま、頑張れよ」
それだけ告げると冒険者はどこかへ去って行った。
僕とアーサーはポツンとその場に取り残される。
「他の街かぁ…。ちょっと難しそうだな。エドはどう?」
アーサーが少し顔をしかめながら僕に顔を向ける。
「そうだな。冒険者をやっているのも心配されているのに、よその街に行くとなったら反対されるのは目に見えてるな」
義両親はもとより、クリスまでもが僕がいなくなるのを反対しそうだ。
少ないながらも依頼はあるので、とりあえずこなしていくしかないだろう。
ボードに残されている依頼は「ラージバタフライの羽根」と「ローリーポーリーの採取」だけだ。
「どっちから行く?」
アーサーに聞くと「うーん」としばらく迷った末、「ローリーポーリーの採取」を選んだ。
「こっちにしようか。ここから割と近いしね」
アーサーの言う通り、依頼が出された所は昨日の畑に近い場所だった。
「それじゃ、早速行こうか」
僕はボードからその依頼書を剥がすと冒険者ギルドを後にした。
昨日の畑からさらに進んで行くと、依頼書を出している家に到着した。
その家の住人らしき男性が外で作業をしている。
「あの、この依頼を受けて来たんですが…」
僕が声をかけると男性は作業の手を止めてこちらを振り返った。
僕とアーサーを見て少し首を傾げている。
「依頼?」
あれ?
ここじゃなかったのかな?
僕はポケットから依頼書を取り出して男性に見せた。
「あの、これなんですけど…」
男性は僕が持っていた依頼書を受け取るとまじまじと見つめた。
しばらく目を通していた男性は軽く息を吐くと依頼書を僕に差し出してきた。
「これか…。誰も来ないから依頼を取り下げようかと思っていたんだが…。君達がやってくれるのか?」
どうやら取り下げられる寸前だったようだ。
間に合ってよかったと内心でホッとする。
「この向こうに森があるだろう? あそこにたぶんいると思うから、取れるだけ取ってきてほしい」
「わかりました。行ってきます」
僕は男性にペコリと頭を下げると、アーサーと一緒に森に向かった。
「…果たして取ってこれるかな?」
男性の呟きは僕達の耳には届かなかった。
197
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる