221 / 242
冒険者編
221 ツノウサギ
しおりを挟む
ようやくウィルが入っていった森の入り口に到着した。
ざっと見渡すがどこにもウィルの姿は見えない。
まったく!
どこまで行っちゃったんだ?
肩で息をしながらウィルの後を追うために森の中へと入って行く。
木々が生い茂る中に足を踏み入れたが、ウィルの姿はどこにも見当たらない。
更に奥へと進んで行くと、向こうの方で「ピィーッ」という甲高い声が聞こえた。
まさか!?
ウィルの身に何か起きたのか!?
急いで声のした方へと駆け出したが、地面に出ている木の根っこに足を取られて思うように進まない。
それでも奥へと進むと向こうの方に宙に浮いた真っ黒なドラゴンの姿が見えた。
その向かいに見えるのは耳と耳の間に一本の角が生えたウサギだった。
だが、僕の知っているウサギとは大きさと容姿がまるで違っていた。
柴犬くらいの巨体で、吊り上がった真っ赤な目をして、口を開けて牙をむき出しにしている。
そんな凶暴なウサギの姿に、前世で子供の頃にふれあい動物園で抱っこした愛らしいウサギとの思い出がガラガラ
と音を立てて崩れていく。
大きさから言ってもツノウサギの方がドラゴンのウィルよりも格段にデカい。
あのままじゃウィルがやられてしまう。
ウィルに近寄ろうとしたところで、ツノウサギもウィルに向かって突進していった。
ヤバい!
ウィルがやられる!
だが、ドラゴンの姿に戻ったウィルは口をカパッと開けるとボッと火の玉を吐き出した。
昨日、僕に向かって吐き出した火の玉よりも大きくて火力のある火の玉だった。
ツノウサギがギョッとしたように、足を止めて逃げようとしたが、それよりも早くウィルの吐き出した火の玉はツ
ノウサギに命中した。
「ピィーッ!」
あっという間にツノウサギの姿は炎に包まれた。
一瞬の出来事に立ちすくんでいると、僕の身体を何かが追い越していった。
バシャッという音と共にツノウサギを包んでいた炎が消される。
後ろを振り返ると僕達に追いついたオーウェンが手のひらをこちらにかざしていた。
どうやらオーウェンが水魔法でツノウサギの火を消したらしい。
「やれやれ。火の玉を吐くのはいいですが、焼きすぎると何も残らないじゃないですか。もう少し火力を加減してく
ださいよ」
オーウェンはそう言いながら更に手のひらをツノウサギにかざした。
すると、ブスブスとくすぶっていたツノウサギの身体が宙に浮いた。
黒焦げになっていたツノウサギの身体が綺麗になり、角が取れた。
取れた角はゆっくりとこちらに向かってくると、ヴィンセントの手のひらの上に落ちた。
「ツノウサギの角は討伐の証拠になりますからね。まずはこちらを回収するのが先決ですよ」
そう言いながらオーウェンは更に魔法でツノウサギの身体を解体していく。
ツノウサギの毛皮を剥ぎ、内臓を取り出すと地中に埋めた。
一部の肉を残すと他はすべて亜空間へと収納していった。
「ウィル。火の玉を吐いてお腹が空いたでしょう。食べて良いですよ」
「ホント!? いっただきまーす!」
ウィルは宙に浮いたまま、オーウェンにもらった肉にかぶりついた。
どう見ても生肉なんだけど、お腹を壊したりしないのかな?
僕は唖然としながら、ウィルがツノウサギの肉を食べるのを見つめていた。
ざっと見渡すがどこにもウィルの姿は見えない。
まったく!
どこまで行っちゃったんだ?
肩で息をしながらウィルの後を追うために森の中へと入って行く。
木々が生い茂る中に足を踏み入れたが、ウィルの姿はどこにも見当たらない。
更に奥へと進んで行くと、向こうの方で「ピィーッ」という甲高い声が聞こえた。
まさか!?
ウィルの身に何か起きたのか!?
急いで声のした方へと駆け出したが、地面に出ている木の根っこに足を取られて思うように進まない。
それでも奥へと進むと向こうの方に宙に浮いた真っ黒なドラゴンの姿が見えた。
その向かいに見えるのは耳と耳の間に一本の角が生えたウサギだった。
だが、僕の知っているウサギとは大きさと容姿がまるで違っていた。
柴犬くらいの巨体で、吊り上がった真っ赤な目をして、口を開けて牙をむき出しにしている。
そんな凶暴なウサギの姿に、前世で子供の頃にふれあい動物園で抱っこした愛らしいウサギとの思い出がガラガラ
と音を立てて崩れていく。
大きさから言ってもツノウサギの方がドラゴンのウィルよりも格段にデカい。
あのままじゃウィルがやられてしまう。
ウィルに近寄ろうとしたところで、ツノウサギもウィルに向かって突進していった。
ヤバい!
ウィルがやられる!
だが、ドラゴンの姿に戻ったウィルは口をカパッと開けるとボッと火の玉を吐き出した。
昨日、僕に向かって吐き出した火の玉よりも大きくて火力のある火の玉だった。
ツノウサギがギョッとしたように、足を止めて逃げようとしたが、それよりも早くウィルの吐き出した火の玉はツ
ノウサギに命中した。
「ピィーッ!」
あっという間にツノウサギの姿は炎に包まれた。
一瞬の出来事に立ちすくんでいると、僕の身体を何かが追い越していった。
バシャッという音と共にツノウサギを包んでいた炎が消される。
後ろを振り返ると僕達に追いついたオーウェンが手のひらをこちらにかざしていた。
どうやらオーウェンが水魔法でツノウサギの火を消したらしい。
「やれやれ。火の玉を吐くのはいいですが、焼きすぎると何も残らないじゃないですか。もう少し火力を加減してく
ださいよ」
オーウェンはそう言いながら更に手のひらをツノウサギにかざした。
すると、ブスブスとくすぶっていたツノウサギの身体が宙に浮いた。
黒焦げになっていたツノウサギの身体が綺麗になり、角が取れた。
取れた角はゆっくりとこちらに向かってくると、ヴィンセントの手のひらの上に落ちた。
「ツノウサギの角は討伐の証拠になりますからね。まずはこちらを回収するのが先決ですよ」
そう言いながらオーウェンは更に魔法でツノウサギの身体を解体していく。
ツノウサギの毛皮を剥ぎ、内臓を取り出すと地中に埋めた。
一部の肉を残すと他はすべて亜空間へと収納していった。
「ウィル。火の玉を吐いてお腹が空いたでしょう。食べて良いですよ」
「ホント!? いっただきまーす!」
ウィルは宙に浮いたまま、オーウェンにもらった肉にかぶりついた。
どう見ても生肉なんだけど、お腹を壊したりしないのかな?
僕は唖然としながら、ウィルがツノウサギの肉を食べるのを見つめていた。
105
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる