御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

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幼少期 

24 初めてのお茶会

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 目が覚めるとベッドの中にいて、一瞬どうしてここにいるのか理解出来なかった。

 …あれ? どうして寝てたんだっけ?

 すぐに義父様と話をしていて泣き疲れて。寝てしまったのだと思い出した。

 この七年間生きてきて、あんなに泣いたのは初めてだった。

 前世の記憶があるせいで、どこか一歩下がって物事を見ていたからかな。

 ベッドから起き上がったタイミングで扉がノックされて、侍女が顔をのぞかせた。

「エドアルド様、お目覚めですか。夕食のお時間ですけれど、食堂に行かれますか?」

「はい、今行きます」 

 僕はベッドを降りると侍女と一緒に食堂に向かった。

 そこには既に義両親がテーブルに着いていた。

「義母様、起きても大丈夫なのですか?」

 無理をしているんじゃないかと思い、声をかけたけれど、顔色はすっかり良くなっている。

「少し休んだら元気になったわ。エドアルドにも心配かけたわね」

 ニコリと微笑んだ義母様は、何事もなかったかのように食事をしている。

 妊娠したら悪阻つわりがあるって聞いたけれど、義母様はどうなんだろう?

 今のところは普通に食事をしているけれど、そのうち悪阻で食事もままならなくなるのかな?

 食後のお茶を飲んでいると、義母様が僕に話しかけてきた。

「今日はごめんなさいね。エドアルドと一緒にお茶会に行くのを楽しみにしていたのに…」

 義母様はがっかりしたように肩を落とす。

「気にしないでください、義母様。お茶会はまた開催されるのでしょう?」

 七歳以上の子供を連れて参加出来るお茶会は年に四回、開かれているという。

「ええ、そうね。多分次のお茶会には安定期に入っているだろうから、参加出来ると思うわ」

「無理をしちゃ駄目だよ。ちゃんと先生の診断を受けてから参加しなさい」

 義父様がさも心配そうに義母様を窘めている。

 途端に義母様が「フフッ」と笑いを漏らした。

「ダニエルったら、すっかり過保護になっちゃって。ここへ来る時も私にベッタリとひっついて来たのよ」

 義母様の暴露話に義父様は真っ赤な顔をして焦っている。

「し、仕方がないだろう。セレナが青い顔をして寝ていたから、心配になるのは当たり前だ」

 そんな顔の義父様を見るのは初めてで、僕も思わず笑いを漏らした。

 この数日後から、義母様の悪阻が始まり、義父様どころか僕や使用人達までもがヤキモキする日々を迎えたのだった。




 義母様の悪阻も治まって安定期に入った頃、ようやくお茶会の日を迎えた。

 少し成長したため、前回とは違う衣装に身を包んだ僕は、玄関ホールで義母様を待っていた。

 お腹を締め付けないゆったりとしたドレスを着た義母様が、ゆっくりとした歩調で玄関ホールに現れた。

「まあ、エドアルド。とっても素敵だわ。小さな紳士ね」
 
 義母様に褒められて少しこそばゆい気持ちになる。

 御者の助けを借りて馬車に乗り込んだ義母様の向かい側に僕は腰を下ろす。

 ゆっくりとした速度で馬車は走り出した。

 揺れが少ないとは言っても、それなりに馬車は揺れる。

「義母様。大丈夫ですか? 無理はなさらないでくださいね。少しでもおかしいと思ったら、すぐに知らせてくださいね」

「フフッ、エドアルドまでも過保護ね。大丈夫だからきちんと座っていなさい。あなたの方が転ぶわよ」 

 義母様に指摘され、僕は慌てて座席に座り直した。

 馬車はやがて、今日のお茶会会場である、テイラー伯爵家へと到着した。

 馬車が玄関のアプローチに止まると、テイラー伯爵夫人が出迎えてくれた。

「セレナ様。ようこそいらっしゃいました。お加減は大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です」 

「今日はずっと腰掛けていらっしゃっても、何の問題もありませんからね」

 義母様の妊娠は広く知れ渡っているようだ。

 何しろあの年齢で初めての妊娠だからね。

 この世界では三十代での妊娠なんてほぼ稀なようだ。

 前世では三十代の出産なんて当たり前だったからね。

 お茶会はこのお屋敷の庭園が会場のようで、僕と義母様はそちらの方へと案内された。

 さあ、いよいよだ。

 僕はドキドキしながら会場へと歩き出した。



 
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