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幼少期
38 リリベットの決意
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リリベットは王宮に戻る馬車の中で、ダイアナを王宮に呼んだ日からの事を思い返していた。
リリベットとしては陰からこっそりとエドアルドを見るだけのつもりだった。
そこで、セレナが出産を終えて、赤ん坊にかかりきりになる頃にエドアルドだけをお茶会に参加させるよう画策した。
伯爵夫人であるダイアナが強く参加を促せば、男爵夫人であるセレナには断れないとわかっていた。
それに、コールリッジ子爵家のアーサーとエドアルドが仲良くなったという話もダイアナから聞いた。
アーサーも参加すると聞いたら、エドアルドも多少は乗り気になるだろうと目論んでいた。
案の定、エドアルドは『アーサーが来るなら…』とセレナに言っていたらしい。
そして、お茶会当日の今日。
リリベットはいつものように『王都の街に行く』と言って王宮を出た。
そしてそのままテイラー伯爵家へとやってきたのだ。
まだ、招待客は誰も来ていなかった。
ダイアナも使用人達にはリリベットが来るとは告げていなかった。
ただ、リリベットが待機する部屋には誰も近づかぬように厳命しただけだった。
そしていよいよお茶会が始まった。
ダイアナはこっそりエドアルドが飲むお茶の中にリリベットから渡された液体をほんの少し混ぜた。
これを飲むとトイレが近くなるらしい。
ダイアナが思っているより早く、エドアルドは席を立って侍女に連れられて屋敷の中に入っていった。
リリベットは待機している部屋の扉の隙間から、エドアルドの様子を伺っていた。
エドアルドを連れてきた侍女は、また庭園の方へ戻っていく。
しばらく待っているとエドアルドがトイレから出てきた。
キョロキョロと辺りを見回して侍女を探しているようだった。
(…ここにいるのは私とエドアルドだけなんだわ…)
そう思ったらいつの間にか部屋から出て、エドアルドの背後に立っていた。
リリベットの気配に気づいたエドアルドが後ろを振り返った。
エドアルドを目の当たりにした時、リリベットは自分がどんな感情を抱くのか予測出来なかった。
もっと心を揺さぶられるかと思っていたが、エドワードにそっくりなせいか、特に何の感情も湧いてこなかった。
(案外と冷静でいられるものなのね)
淡々としていたリリベットが唯一感情をあらわにしたのが、エドアルドが発した「サラ」という言葉だった。
気づけば思い切りエドアルドの肩を掴んでいた。
どういう経緯でサラが陛下の愛人になったのか…。
実家の陞爵だけでは弱いと思っていたが、エドアルドの事を盾にしたのなら納得がいく。
(本当に…。どこまでも忌々しい女だわ)
子爵令嬢のため、王家に嫁ぐ資格がないサラは、侍女として王宮に入ってきた。
そしていつの間にか侍女長にまで昇りつめていた。
挙げ句に今は陛下の愛人である。
(見てなさい。絶対に子供なんか産ませないんだから…)
リリベットは自分の存在を脅かすサラに対して敵意を抱いていた。
(それにしても…)
リリベットはエドアルドとの会話を思い返した。
『僕は前世の記憶を持ったままこの世界に転生したんです』
にわかには信じられない事を口にしていた。
試しにエドアルドが生まれた時の話をさせると、陛下によって殺されかけたと言う。
(あの人ならやりかねないわね。情け容赦のない人だから…)
二百年前の騒動を引き起こしかねない双子なんて排除しようとするのはわかりきっている。
だからこそ、エドアルドの話は信じられるのだった。
(それでも、エドアルドが王宮に来たいと言わなくて良かったわ)
もし、エドアルドが王宮に来るのを望んだなら、その場で喉を掻き切っていたかもしれない。
(これを使わなくて良かったわ)
リリベットはドレスの隠しポケットに仕込んだナイフをドレスの上からそっと押さえた。
(もう、あの子の事は忘れよう。私の子供はエドワードだけだわ)
リリベットはフィリップと同じ事を心に誓っていた。
リリベットとしては陰からこっそりとエドアルドを見るだけのつもりだった。
そこで、セレナが出産を終えて、赤ん坊にかかりきりになる頃にエドアルドだけをお茶会に参加させるよう画策した。
伯爵夫人であるダイアナが強く参加を促せば、男爵夫人であるセレナには断れないとわかっていた。
それに、コールリッジ子爵家のアーサーとエドアルドが仲良くなったという話もダイアナから聞いた。
アーサーも参加すると聞いたら、エドアルドも多少は乗り気になるだろうと目論んでいた。
案の定、エドアルドは『アーサーが来るなら…』とセレナに言っていたらしい。
そして、お茶会当日の今日。
リリベットはいつものように『王都の街に行く』と言って王宮を出た。
そしてそのままテイラー伯爵家へとやってきたのだ。
まだ、招待客は誰も来ていなかった。
ダイアナも使用人達にはリリベットが来るとは告げていなかった。
ただ、リリベットが待機する部屋には誰も近づかぬように厳命しただけだった。
そしていよいよお茶会が始まった。
ダイアナはこっそりエドアルドが飲むお茶の中にリリベットから渡された液体をほんの少し混ぜた。
これを飲むとトイレが近くなるらしい。
ダイアナが思っているより早く、エドアルドは席を立って侍女に連れられて屋敷の中に入っていった。
リリベットは待機している部屋の扉の隙間から、エドアルドの様子を伺っていた。
エドアルドを連れてきた侍女は、また庭園の方へ戻っていく。
しばらく待っているとエドアルドがトイレから出てきた。
キョロキョロと辺りを見回して侍女を探しているようだった。
(…ここにいるのは私とエドアルドだけなんだわ…)
そう思ったらいつの間にか部屋から出て、エドアルドの背後に立っていた。
リリベットの気配に気づいたエドアルドが後ろを振り返った。
エドアルドを目の当たりにした時、リリベットは自分がどんな感情を抱くのか予測出来なかった。
もっと心を揺さぶられるかと思っていたが、エドワードにそっくりなせいか、特に何の感情も湧いてこなかった。
(案外と冷静でいられるものなのね)
淡々としていたリリベットが唯一感情をあらわにしたのが、エドアルドが発した「サラ」という言葉だった。
気づけば思い切りエドアルドの肩を掴んでいた。
どういう経緯でサラが陛下の愛人になったのか…。
実家の陞爵だけでは弱いと思っていたが、エドアルドの事を盾にしたのなら納得がいく。
(本当に…。どこまでも忌々しい女だわ)
子爵令嬢のため、王家に嫁ぐ資格がないサラは、侍女として王宮に入ってきた。
そしていつの間にか侍女長にまで昇りつめていた。
挙げ句に今は陛下の愛人である。
(見てなさい。絶対に子供なんか産ませないんだから…)
リリベットは自分の存在を脅かすサラに対して敵意を抱いていた。
(それにしても…)
リリベットはエドアルドとの会話を思い返した。
『僕は前世の記憶を持ったままこの世界に転生したんです』
にわかには信じられない事を口にしていた。
試しにエドアルドが生まれた時の話をさせると、陛下によって殺されかけたと言う。
(あの人ならやりかねないわね。情け容赦のない人だから…)
二百年前の騒動を引き起こしかねない双子なんて排除しようとするのはわかりきっている。
だからこそ、エドアルドの話は信じられるのだった。
(それでも、エドアルドが王宮に来たいと言わなくて良かったわ)
もし、エドアルドが王宮に来るのを望んだなら、その場で喉を掻き切っていたかもしれない。
(これを使わなくて良かったわ)
リリベットはドレスの隠しポケットに仕込んだナイフをドレスの上からそっと押さえた。
(もう、あの子の事は忘れよう。私の子供はエドワードだけだわ)
リリベットはフィリップと同じ事を心に誓っていた。
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