3 / 52
3 団長
しおりを挟む
私は目の前に佇む男の人に目が釘付けになった。
濃紺の髪に青い目をした美形だ。
…濃紺の髪ってゲームやアニメでしか見ないんだけど、何かのコスプレかしら?
男達が血塗れで倒れている現実から逃避するためにそんな事を考えてみるけれど、やはり夢ではないらしい。
そのイケメンはツイと私から目を逸らしたまま「無事か?」と聞いてくる。
…何で目を逸らすのかしら?
疑問に思いつつ、自分の姿を見下ろしてあられもない姿だったのを思い出した。
慌ててスカートを下げて座り直し、はだけられたブラウスとブレザーを掻き合せる。
ブラウスのボタンは何処に飛ばされたのか、辺りには見当たらない。
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
一応助けて貰ったからお礼を言ったけれど、彼が本当に敵ではないのかはわからない。
大体、あの髪の色が染めたものでないならば、ここは私が知っている世界ではない事になる。
ここが何処なのか尋ねようとした時、外で誰かが呼ぶ声が聞こえてきた。
「団長ー、何処ですかー?」
「こっちだ! 何か包むものを持ってきてくれ!」
団長と呼ばれたイケメンが外に向かって怒鳴ると、しばらくして一人の男が姿を現した。
「包むものってこれでいいですか? …って、団長! こいつら殺しちゃったんですかー?」
イケメンさんの部下らしい男が何かの布を持って入ってきたが、私の周りに男達が倒れているのを見て目を丸くした。
「仕方がないだろう。この女性を襲おうとしていたからな。どっちみちこいつらは死罪になるんだから同じ事だろう」
「まあ、大物は既にとっ捕まえていますから、こいつら下っ端が居なくても攫われた女達は救出できますけどね。…ところでこの女性は誰ですか?」
この部下らしき人もピンクの髪にオレンジ色の目をしている。
やはりあの電柱の後ろは異世界への通り道だったみたいだ。
帰り道なんてあるのかしら?
イケメンさんは部下から布を受け取ると私に差し出してきた。
ブレザーは元々ボタンを留めていなかったから残っているけど、留めたところで胸までは隠せない。
差し出された布を羽織り、素肌を隠すとイケメンさんはようやく私と目を合わせてくれた。
「どうやら君はこの村の人間じゃないみたいだな。話を聞きたいから一緒に来てもらえるか?」
流石にこの状況で嫌と言えるわけもないので頷いて立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。
どうやら私は腰を抜かしてしまったようだ。
襲われかけた挙げ句に目の前で人が殺されたのだ。
平然としていられる方がどうかしている。
「…すみません。立てないんですけど…」
そう告げるとイケメンさんは私をヒョイと抱き上げて歩き出した。
…これって、お姫様抱っこ!?
いつかは誰かにしてもらいたいと思っていたけれど、こんな状況で願いが叶うなんて、素直に喜んでいいのかわからない。
おまけにすぐ目の前にイケメンさんの顔があって、直視するのも恐れ多い。
外に出ると、何処から現れたのか大勢の人達が待ち構えていた。
イケメンさんと同じ服を着ている事からこの人達も部下なのかしら?
着ている服から推測すると、騎士団と呼ばれる人達かしら?
その人達が一斉にこちらに注目されていたたまれない事この上ない。
「団長、そちらは?」
「盗賊に襲われていた女性だ。ショックで歩けなくなったようなので保護する。一旦離脱するので後の指揮は副団長に任せる」
「承知しました。よし、みんな! 先ずは息のある者を助けるんだ!」
副団長の命令に従って部下の人達はあちこちに散らばって行った。
人の目がなくなってホッとしたけれど、相変わらずイケメンさんに抱き上げられている状況には耐えられない。
私重くないかな?
最近食べ過ぎで太ってなかったかしら?
早く下ろしてもらいたい。
そんな事を考えている内にイケメンはさんは村の外に出て行った。
しばらく歩くとそこには天幕が張ってある場所があった。
ローブを着た人がイケメンさんの姿に気付いて近寄ってくる。
「団長、どうかされましたか?」
「この女性を保護しただけだ。私の天幕で休ませておくから誰にも近付けさせるな」
イケメンさん、もとい団長さんはそう告げると一つだけ色が違う天幕に私を連れて行った。
中に入るとテーブルと椅子、ベッドまで置いてある。
そのベッドに私を座らせると、気遣わしそうな目をする。
「すまないが私は先程の村に戻らないといけない。この天幕には結界を張っておくので誰も入れなくなるからゆっくり休んでくれ」
それだけを告げると私の返事も待たずに出ていってしまった。
結界を張るって?
ここが異世界で間違いないという事実がこれでもか、と突きつけられるようで悲しい。
私は大きくため息をつくとベッドに横になった。
濃紺の髪に青い目をした美形だ。
…濃紺の髪ってゲームやアニメでしか見ないんだけど、何かのコスプレかしら?
男達が血塗れで倒れている現実から逃避するためにそんな事を考えてみるけれど、やはり夢ではないらしい。
そのイケメンはツイと私から目を逸らしたまま「無事か?」と聞いてくる。
…何で目を逸らすのかしら?
疑問に思いつつ、自分の姿を見下ろしてあられもない姿だったのを思い出した。
慌ててスカートを下げて座り直し、はだけられたブラウスとブレザーを掻き合せる。
ブラウスのボタンは何処に飛ばされたのか、辺りには見当たらない。
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
一応助けて貰ったからお礼を言ったけれど、彼が本当に敵ではないのかはわからない。
大体、あの髪の色が染めたものでないならば、ここは私が知っている世界ではない事になる。
ここが何処なのか尋ねようとした時、外で誰かが呼ぶ声が聞こえてきた。
「団長ー、何処ですかー?」
「こっちだ! 何か包むものを持ってきてくれ!」
団長と呼ばれたイケメンが外に向かって怒鳴ると、しばらくして一人の男が姿を現した。
「包むものってこれでいいですか? …って、団長! こいつら殺しちゃったんですかー?」
イケメンさんの部下らしい男が何かの布を持って入ってきたが、私の周りに男達が倒れているのを見て目を丸くした。
「仕方がないだろう。この女性を襲おうとしていたからな。どっちみちこいつらは死罪になるんだから同じ事だろう」
「まあ、大物は既にとっ捕まえていますから、こいつら下っ端が居なくても攫われた女達は救出できますけどね。…ところでこの女性は誰ですか?」
この部下らしき人もピンクの髪にオレンジ色の目をしている。
やはりあの電柱の後ろは異世界への通り道だったみたいだ。
帰り道なんてあるのかしら?
イケメンさんは部下から布を受け取ると私に差し出してきた。
ブレザーは元々ボタンを留めていなかったから残っているけど、留めたところで胸までは隠せない。
差し出された布を羽織り、素肌を隠すとイケメンさんはようやく私と目を合わせてくれた。
「どうやら君はこの村の人間じゃないみたいだな。話を聞きたいから一緒に来てもらえるか?」
流石にこの状況で嫌と言えるわけもないので頷いて立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。
どうやら私は腰を抜かしてしまったようだ。
襲われかけた挙げ句に目の前で人が殺されたのだ。
平然としていられる方がどうかしている。
「…すみません。立てないんですけど…」
そう告げるとイケメンさんは私をヒョイと抱き上げて歩き出した。
…これって、お姫様抱っこ!?
いつかは誰かにしてもらいたいと思っていたけれど、こんな状況で願いが叶うなんて、素直に喜んでいいのかわからない。
おまけにすぐ目の前にイケメンさんの顔があって、直視するのも恐れ多い。
外に出ると、何処から現れたのか大勢の人達が待ち構えていた。
イケメンさんと同じ服を着ている事からこの人達も部下なのかしら?
着ている服から推測すると、騎士団と呼ばれる人達かしら?
その人達が一斉にこちらに注目されていたたまれない事この上ない。
「団長、そちらは?」
「盗賊に襲われていた女性だ。ショックで歩けなくなったようなので保護する。一旦離脱するので後の指揮は副団長に任せる」
「承知しました。よし、みんな! 先ずは息のある者を助けるんだ!」
副団長の命令に従って部下の人達はあちこちに散らばって行った。
人の目がなくなってホッとしたけれど、相変わらずイケメンさんに抱き上げられている状況には耐えられない。
私重くないかな?
最近食べ過ぎで太ってなかったかしら?
早く下ろしてもらいたい。
そんな事を考えている内にイケメンはさんは村の外に出て行った。
しばらく歩くとそこには天幕が張ってある場所があった。
ローブを着た人がイケメンさんの姿に気付いて近寄ってくる。
「団長、どうかされましたか?」
「この女性を保護しただけだ。私の天幕で休ませておくから誰にも近付けさせるな」
イケメンさん、もとい団長さんはそう告げると一つだけ色が違う天幕に私を連れて行った。
中に入るとテーブルと椅子、ベッドまで置いてある。
そのベッドに私を座らせると、気遣わしそうな目をする。
「すまないが私は先程の村に戻らないといけない。この天幕には結界を張っておくので誰も入れなくなるからゆっくり休んでくれ」
それだけを告げると私の返事も待たずに出ていってしまった。
結界を張るって?
ここが異世界で間違いないという事実がこれでもか、と突きつけられるようで悲しい。
私は大きくため息をつくとベッドに横になった。
9
あなたにおすすめの小説
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
しつこい公爵が、わたしを逃がしてくれない
千堂みくま
恋愛
細々と仕事をして生きてきた薬師のノアは、経済的に追い詰められて仕方なく危険な仕事に手を出してしまう。それは因縁の幼なじみ、若き公爵ジオルドに惚れ薬を盛る仕事だった。
失敗して捕らえられたノアに、公爵は「俺の人生を狂わせた女」などと言い、変身魔術がかけられたチョーカーを付けて妙に可愛がる。
ジオルドの指示で王子の友人になったノアは、薬師として成長しようと決意。
公爵から逃げたいノアと、自覚のない思いに悩む公爵の話。
※毎午前中に数話更新します。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。
黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。
明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。
そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。
………何でこんな事になったっけ?
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる