【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅

文字の大きさ
31 / 52

31 新たな存在

しおりを挟む
 すぐにコンラッド国王の執務室にアンドリュー王子と宰相が呼ばれ、セアラの報告を聞く事になった。

「アリスの姿が消えたとはどういう事だ! 詳しく話せ!」

 コンラッド国王の剣幕に多少はたじろいだものの、セアラは気を取り直すと先程の出来事を語りだした。

「アリス様がお部屋へ戻る際に王宮魔術師のグレンダと会われました。その際グレンダからアリス様に本を差し出してきました。一旦私が受け取り中を確認した後でアリス様にお渡ししました」

 アリス王女は突然のグレンダの行動に少し驚いていたが、魔術の本だと知って借りる事にしたという。

「その後、私が本を持ってアリス様のお部屋まで戻りました。そこでアリス様が本を読むとおっしゃるのでお渡しして控えていると、突然本から眩い光が出て収まった時にはアリス様の姿が消えておりました」

 アリス王女が読んでいたという本も同時に消えていたというから、最初からアリス王女を狙ったものだったのだろう。

「申し訳ございません。まさかあのような仕掛けがしてあるとは思いませんでした。この処罰はいかようにもお受けいたします」 

 セアラはその場に膝を付き、コンラッド国王とアンドリュー王子に詫びるが、今はまだその段階ではない。

「セアラ。そなたの処罰はアリスが戻ってからだ。アリスが戻った際にそなたがいなければアリスが悲しむからな。ダグラス、すぐに王宮魔術師団に知らせてグレンダを確保しろ。最も既に王宮にはいないかもしれないが、手がかりがないか探させろ!」

「かしこまりました」

 宰相はすぐに王宮魔術師団に使いをやってグレンダの行方を追ったが、コンラッド国王の懸念通り、既に王宮内にグレンダの姿はなかった。

 王都にあるというグレンダの住まいも捜索させたが、こちらも既にもぬけの殻だった。

「何か手がかりは無いのか!」

 苛立ったようにコンラッド国王が声を荒げるが、誰も返す言葉がない。

 だが、アンドリュー王子が報告書を見て、とある点に注目した。

「父上。サイラスの所にコーデリア・ラザフォードが来たという記述がありますが…」

 その名前を聞いた途端、コンラッド国王は不機嫌を露わにした。

「コーデリア嬢か。既に処刑された女の事などどうでもいいだろう」

 コーデリアはクリスティンと同い年でコンラッド国王の婚約者候補でもあった。

 クリスティンがコンラッド国王の婚約者に決まった途端、数々の嫌がらせをしてきたため、前国王より謹慎処分を言い渡された。

 その間にコンラッド国王はクリスティンと婚姻を結び、アンドリュー王子が生まれたのだが、その後社交界に復帰してきたコーデリアは今度はコンラッドに側妃にしろと押しかけてきた。

 そしてクリスティンがアリスを産んだ後亡くなると、更に執拗にコンラッド国王に迫って来た。

 それでも首を縦に振らないコンラッド国王に業を煮やしたコーデリアは、コンラッド国王に媚薬を盛ろうとした。

 未遂に終わったものの度重なる行為に実家の伯爵家はコーデリアを切り捨て、コーデリアは処刑された。

 それが今から五年前の話だ。

「出入りしていたというだけで、今回の件には何の関わりもないだろう」

「でも、父上。アリスの生まれた時にはまだ彼女は生きています。アリスの異世界転移に何らかの関わりがあってもおかしくはありません。それにグレンダが王宮魔術師団に入ったのもちょうどコーデリアが処刑された頃です。他にも禁術が使われていてもおかしくはありません」

 アンドリュー王子の指摘にコンラッド国王は「ううむ」と考え込む。

 確かにコーデリアを処刑する際に彼女はおかしな事を口走っていた。

『私はコーデリア様ではありません! グレンダです! 魂を入れ替えられたんです!』

 あの時はコーデリアが罪を逃れる為に荒唐無稽な事を話しているのだと思っていた。

 大体、実の娘の魂をこれから処刑される女の身体に入れ替えるなど、誰が信じるだろうか。

「まさか、本当に魂を入れ替えたと言うのか?」

「可能性はなくはありません。禁術を試したがっている人物がその機会を得られたら試してみたくなるのはやむを得ないのでは? たとえ娘の命と引き換えでも…」

 ダグラスの言葉にコンラッド国王は考え込む。

 サイラスは確かに禁術に取り憑かれているような節がある。

 その誘惑に負けてしまったとしたら…

「もう一度サイラスの家を捜索しろ! 何処かに隠し部屋か魔法陣が隠されているかもしれない!」

 今回は王宮魔術師団も一緒にサイラスの家を捜索させた。

「国王陛下、サイラスの家に巧妙に隠された地下がありました! すぐに踏み込みますか?」

「いや、私が行く! すぐに準備しろ!」

 コンラッド国王は宰相の止めるのも聞かずに騎士団を伴ってサイラスの家へと押しかけた。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】恋につける薬は、なし

ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。 着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…

しつこい公爵が、わたしを逃がしてくれない

千堂みくま
恋愛
細々と仕事をして生きてきた薬師のノアは、経済的に追い詰められて仕方なく危険な仕事に手を出してしまう。それは因縁の幼なじみ、若き公爵ジオルドに惚れ薬を盛る仕事だった。 失敗して捕らえられたノアに、公爵は「俺の人生を狂わせた女」などと言い、変身魔術がかけられたチョーカーを付けて妙に可愛がる。 ジオルドの指示で王子の友人になったノアは、薬師として成長しようと決意。 公爵から逃げたいノアと、自覚のない思いに悩む公爵の話。 ※毎午前中に数話更新します。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜

鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。 そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。 秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。 一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。 ◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...