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30 報告(コンラッド視点)
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コンラッド国王はアリスの話を聞いて愕然とした。
十七年前、クリスティンが産んだばかりの娘がすり替えられていたと判明した時は、この国の何処かにいるはずだとたかをくくっていた。
だからこそ、国内の孤児院や生まれたばかりの赤ん坊がいる家を虱潰しに探したのだ。
それでも見つからなかったので、既に殺されて何処かに埋められているかもしれないと、半ば諦めていた。
その娘が突然、自分の前に現れた。
その娘のうなじには紛れもなく王家の紋章が刻まれていた。
クリスティンそっくりに育っていたアリスは、「自分は異世界から来た」と告げた。
にわかには信じ難い話ではあるが、それが事実であればアリスが見つからなかった事にも説明がいく。
それに確か古い魔法の文献には異世界転移についての記述があったはずだ。
まさかアリスの行方に魔術師が関係しているとは思っていなかったから、あの頃は魔術師については調べていなかった。
早速、アイリスを産んだ女性の周りを再調査させると、ある魔術師との関係が浮かび上がってきた。
「アンドリュー、これを見てくれ」
コンラッド国王は調査報告書を息子のアンドリュー王子へと渡した。
アンドリュー王子はその報告書に目を通していたが、ある一文を見て表情を険しくする。
「父上、この報告書に間違いは無いんですか?」
コンラッド国王はアンドリュー王子がどの部分に反応するのかわかっていた。
「間違いない。アイリスの母親が懇意にしていた魔術師はサイラス、つまり今王宮魔術師団にいるグレンダの父親だ」
グレンダは平民にしては魔力が高いと評価されて、王宮魔術師団に入団してきた。
父親のサイラスもそれなりに魔力があると噂されている。
もしかしたらサイラスは何処かの貴族の落し胤かもしれない。
「それで? サイラスは今何処にいるのですか?」
アンドリュー王子に尋ねられたが、それに関してはコンラッド国王も答えられなかった。
「わからない。サイラスの家に人をやったが、もぬけの殻だったそうだ。グレンダは別の場所に住んでいるのだったか?」
王宮魔術師団に入団してからは父親とは別の住まいを構えたと聞いている。
だが、アンドリュー王子はそれよりも他の事が気になった。
「父上。最近エイブラムがグレンダに入れあげているとの噂がありますが、ご存知ですか?」
アンドリュー王子の言葉どおり、エイブラムがグレンダを気にかけているという噂を耳にしている。
エイブラムはアンドリュー王子と同い年で、子供の頃から良く知っている。
女嫌いで通っていた彼が、最近やたらとグレンダと接触していると噂になっていた。
身分違いの恋もよく聞く話ではあるが、それにしてはあまりにも唐突過ぎる。
むしろ妙な不自然さを感じているのはコンラッド国王だけではない。
アンドリュー王子もエイブラムの両親であるジェンクス侯爵夫妻も、エイブラムの行動に疑問を抱いていた。
「…まさか、媚薬が使われたか? いや、それならば責任を取って婚姻という形になるだろう。だとすれば、魅了の魔法を使われたか?」
媚薬が使われたならば、欲情を吐き出すまで効き目が切れる事はない。
グレンダに対してそういう行為をしたならば、真面目なエイブラムは責任を取るだろう。
コンラッド国王の呟きにアンドリュー王子は眉をひそめる。
「魅了の魔法ですか? それも既に禁術とされている魔法ではないですか。だとすれば、サイラスとグレンダは禁術に手を出していたと言う事ですか?」
「この一連の魔術がこの二人の仕業ならばそうだと言えるだろう。だが、彼等が禁術を使ったという証拠は何処にもない」
コンラッド国王の指摘にアンドリュー王子は唇を噛み締める。
確たる証拠も無しにサイラスとグレンダを拘束する事は出来ない。
グレンダはともかく、サイラスは何処にいるのかも掴めていないのだ。
「引き続きサイラスの行方を追わせている。アンドリューはエイブラムの様子を気にかけてやってくれ」
だが、この話し合いが持たれた数日後、コンラッド国王とアンドリュー王子の元に衝撃の報告がなされた。
「大変です! アリス王女の姿が消えました!」
十七年前、クリスティンが産んだばかりの娘がすり替えられていたと判明した時は、この国の何処かにいるはずだとたかをくくっていた。
だからこそ、国内の孤児院や生まれたばかりの赤ん坊がいる家を虱潰しに探したのだ。
それでも見つからなかったので、既に殺されて何処かに埋められているかもしれないと、半ば諦めていた。
その娘が突然、自分の前に現れた。
その娘のうなじには紛れもなく王家の紋章が刻まれていた。
クリスティンそっくりに育っていたアリスは、「自分は異世界から来た」と告げた。
にわかには信じ難い話ではあるが、それが事実であればアリスが見つからなかった事にも説明がいく。
それに確か古い魔法の文献には異世界転移についての記述があったはずだ。
まさかアリスの行方に魔術師が関係しているとは思っていなかったから、あの頃は魔術師については調べていなかった。
早速、アイリスを産んだ女性の周りを再調査させると、ある魔術師との関係が浮かび上がってきた。
「アンドリュー、これを見てくれ」
コンラッド国王は調査報告書を息子のアンドリュー王子へと渡した。
アンドリュー王子はその報告書に目を通していたが、ある一文を見て表情を険しくする。
「父上、この報告書に間違いは無いんですか?」
コンラッド国王はアンドリュー王子がどの部分に反応するのかわかっていた。
「間違いない。アイリスの母親が懇意にしていた魔術師はサイラス、つまり今王宮魔術師団にいるグレンダの父親だ」
グレンダは平民にしては魔力が高いと評価されて、王宮魔術師団に入団してきた。
父親のサイラスもそれなりに魔力があると噂されている。
もしかしたらサイラスは何処かの貴族の落し胤かもしれない。
「それで? サイラスは今何処にいるのですか?」
アンドリュー王子に尋ねられたが、それに関してはコンラッド国王も答えられなかった。
「わからない。サイラスの家に人をやったが、もぬけの殻だったそうだ。グレンダは別の場所に住んでいるのだったか?」
王宮魔術師団に入団してからは父親とは別の住まいを構えたと聞いている。
だが、アンドリュー王子はそれよりも他の事が気になった。
「父上。最近エイブラムがグレンダに入れあげているとの噂がありますが、ご存知ですか?」
アンドリュー王子の言葉どおり、エイブラムがグレンダを気にかけているという噂を耳にしている。
エイブラムはアンドリュー王子と同い年で、子供の頃から良く知っている。
女嫌いで通っていた彼が、最近やたらとグレンダと接触していると噂になっていた。
身分違いの恋もよく聞く話ではあるが、それにしてはあまりにも唐突過ぎる。
むしろ妙な不自然さを感じているのはコンラッド国王だけではない。
アンドリュー王子もエイブラムの両親であるジェンクス侯爵夫妻も、エイブラムの行動に疑問を抱いていた。
「…まさか、媚薬が使われたか? いや、それならば責任を取って婚姻という形になるだろう。だとすれば、魅了の魔法を使われたか?」
媚薬が使われたならば、欲情を吐き出すまで効き目が切れる事はない。
グレンダに対してそういう行為をしたならば、真面目なエイブラムは責任を取るだろう。
コンラッド国王の呟きにアンドリュー王子は眉をひそめる。
「魅了の魔法ですか? それも既に禁術とされている魔法ではないですか。だとすれば、サイラスとグレンダは禁術に手を出していたと言う事ですか?」
「この一連の魔術がこの二人の仕業ならばそうだと言えるだろう。だが、彼等が禁術を使ったという証拠は何処にもない」
コンラッド国王の指摘にアンドリュー王子は唇を噛み締める。
確たる証拠も無しにサイラスとグレンダを拘束する事は出来ない。
グレンダはともかく、サイラスは何処にいるのかも掴めていないのだ。
「引き続きサイラスの行方を追わせている。アンドリューはエイブラムの様子を気にかけてやってくれ」
だが、この話し合いが持たれた数日後、コンラッド国王とアンドリュー王子の元に衝撃の報告がなされた。
「大変です! アリス王女の姿が消えました!」
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