復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

文字の大きさ
11 / 179
第1章

第11話 探索

しおりを挟む
「おかしいな……」

 地下廃棄場にレラが来てから2週間が経過した。
 限に言われたからなのか、レラは毎日一生懸命魔法の練習に力を注いでいる。
 従魔のアルバは、先程昼食を食べたことで眠くなったのか、レラを横目に大きなあくびをしている。
 そんな中、限はここ最近の異変に首を傾げていた。

「どうかなさいましたか?」

 限の呟きが気になったレラは、魔法の練習を中断してケイのもとへと近付き問いかける。
 何か自分ができることはないかという思いがあるのだろう。
 まだ、ここのことを全て知っているという訳ではないので、彼女は何がおかしいのか分からない。

「ここ数日、何も廃棄されてこない」

「確かに……そうですね」

 限の言葉に納得し、レラは頷く。
 レラがこの地下に来てから、数日の間毎日のように何かしらの遺体が落ちてきていた。
 それがここの日常だと限が言っていたので、なるべく気にしないようにしていたのだが、たしかにこの数日何の遺体も落ちて来ていない。

「このようなことは今までなかったのですか?」

「あぁ……、1、2日空いたりする時は何度かあったが、ここまで何日も落ちてこないなんてことは、今までなかったな」

 この研究所には数多くの実験体がおり、それは人・魔物・動物など様々存在していることは、落ちてきている遺体を何年も見てきた限には分かる。
 この研究所はかなりの巨大な施設のため、毎日実験が行われていることを考えると、今回のように何の廃棄もされてこないというのは、限からしたら異常なことに思えて仕方ない。

「……外へ出て様子を見てこよう」

「大丈夫でしょうか?」

 限の魔力量からいったら、ここから出るのも不可能ではないと思う。
 しかし、大丈夫だと分かってはいても限に怪我をしてほしくないレラは心配そうに話しかける。

「人がいたらすぐさま戻ればいいだけだ」

「そうですね……」

 レラからしたら、もしも見つかったらそのまま外へ逃げてしまった方が限が怪我をしなくていいと思うのだが、戻って来てくれるという言葉を聞いて何だか嬉しいと思えてしまう。
 そんな複雑な思いが頭の中を回った状態で、レラは限を送り出すしかできなくなった。

「ご無事をお祈りしております」

「あぁ」

“バッ!!”

 心配そうな表情をするレラに見送られ、限はダストシュートの下から飛び上がり、地下施設から3年ぶりに研究所内へと戻っていったのだった。





『…………何だ? 人の気配が全くしない』

 魔力を消し、足音を立てずに研究所内を動き回る限。
 しかし、研究所内の異変がすぐに察知できた。
 限の思ったことそのままに、人の気配が全くしない。
 気配を消していることが馬鹿らしく思えるほど、何の音も聞こえてこない。

『死んでる……』

 昔の記憶を呼び起こし、限は閉じ込められていた部屋の方へ向かってみた。
 番号が書かれた部屋のガラス窓を覗き込むと、食事を与えられていなかったのか、ほとんどの人間の検体はやせ細って息絶えている。
 ざっと見ただけだが、生き残っている人間の検体はいないようだ。

「……あっさり出られた」

 研究所内を探りつつも慎重に移動していくと、限は何の障害もなく研究所の外へと出ることに成功した。
 あまりにもあっさりと出られたため、拍子抜けの感は否めない。

「どうなっているんだ?」

 久々の外の世界を少しの間感動した後、周囲を見渡すとおかしなことになっていた。
 半島のほとんどが研究所になっているのだが、その半島へ来るための道が壊されていた。
 どんなふうに破壊したのか分からないが、半島が切り離されて孤島の状態になっている。

「……何か嫌な予感しかしないな」

 ここまで来ると、どう考えても何かあったとしか考えられない。
 しかも、いい予感を感じない。
 その感覚がジワジワと強くなってきた限は、踵を返して研究所内へ戻っていった。





「ワウッ!!」

「おかえりなさいませ!」

 限が廃棄施設へ戻ると、アルバがすぐさま駆け寄ってきた。
 そのアルバに少し遅れて、レラは限が無事戻ってきたことを嬉しそうに出迎えた。

「あぁ……」

「……どうなさいました?」

 戻ってきたことは嬉しいのだが、限の表情はどことなく浮かない。
 何かあったのだろうかと、レラは疑問に思い問いかけた。

「どうもおかしい……」

「……? どういうことでしょうか?」

 限から返ってきた答えに、レラは首を傾げる。
 研究所内の状況を探って来たと言うのに、疑問が解消されていないようだ。
 それどころか、更に眉間のシワが深くなっている所を見ると、余計分からなくなったとでも言いたげだ。

「研究所内には誰もいなくなっていた」

「誰も……? ……ですか?」

 研究所の内部に人がいない。
 そんな状況がこの施設の規模であり得るだろうか。
 言った限だけでなく、レラもその状況を異常だと感じてきた。

「あぁ、研究員も警備員も作業員も誰一人として気配を感じない。色々と動き回ったが、あっさりと研究所の外に出られた」

「……出られたのですか?」

 研究所から出られたという言葉に、レラは少し意外な思いになった。
 数年ぶりに外に出られたのなら、限はそのままいなくなってしまうのではないかと思っていたからだ。
 地獄のような経験をした場所からは少しでも早く離れたいはずだなのに、わざわざ戻ってきてくれたことに、レラは内心喜びが沸き上がっていた。

「あぁ、大陸に繋がる道まで破壊されていた」

「……何かあったのでしょうか?」

 そこまで聞くと、完全におかしい。
 限の言う事がたしかなら、まるでここを捨ててしまったかのようだ。

「ん~……、何があったのか分からないが、出て行けるなら出て行こう!」

「そうですね!!」

「ワウッ!!」

 元々、レラの魔法が上達したらここから出て行くつもりだった。
 それがどういう訳だか何の障害もなく出ていけることが分かったのだ。
 ここにいても嫌な予感しかしてこないので、限たちは早々に出て行くことにした。

「念のため、もう少し研究所内を捜索して行こう」

「そうですね。何があってこうなったのか分かるかもしれないですからね」

 さっき限が見たのは、外へ出るための通路だけだ。
 もしかしたら、研究所内にはまだ生き残りがいるかもしれない。
 それに、この異常事態の理由も知りたいところなので、地下から出た限たちは研究所内を捜索してみることにした。

「アルバ! お前は研究所内に生きている生物がいないか探してくれ。念のため、気配は消して行動しろよ!」

「ワウッ!!」

 生き物を探すなら、白狼であるアルバの鼻が使える。
 アルバも地下の死臭から解放されたからか、嬉しそうに限の言葉に反応し、指示された通り生き残りがいないか探しに向かった。

「確か、こっちが研究員が集まる部屋があった気がします」

「そうだな……」

 レラの言葉に、限は頷く。
 人間の検体が入れられている部屋が並ぶ通路の反対側の場所に、多くの研究員が向かって行っているのを見た気がする。
 もしかしたら、そこに研究結果などを集めた資料などがあるのかもしれない。
 なので、限はレラと共にそこへ向かった。

「……空っぽだな?」

「……何もないですね」

 大きな部屋で机などが大量にある所から、限たちが思ったようにここに資料が集まっていたのだろうと推測できる。
 しかし、そこにある机の引き出しなどを見ても、紙の一枚も残っていなかった。
 ここまで何も無いということに、研究員たちはここを放棄したのだろう。

「ワウッ!!」

「アルバだ!」

「行きましょう!」

 何の情報も得られない事が分かった限たちが部屋から出ると、生き残りを探しに行かせたアルバの鳴き声が聞こえて来た。
 その声にすぐさま反応し、限とレラはアルバのもとへと向かって行ったのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...