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第2章
第34話 ワニ被害
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「この海で間違いないのか?」
「キュ!」
魔物の情報から憎き研究員たちを探している限たち。
それでたまたま見つけた巨大亀のニールを従魔にし、次はそのニールを怪我させた魔物のことを捜索することにした。
ニールのことを発見した湖から一番近い海へと来た限は、白狼のアルバの背に乗るニールに問いかける。
その問いに、ニールは頷きをもって返事をした。
亀なだけあって移動速度がかなり遅い。
ニールは変身能力を有しており、体の大きさが自由に変えられるため、アルバの背に乗れる程度にまで小さくなってもらった。
戦闘面では問題ないのだが、普段はのんびりしたただの亀にしか見えない。
「ニール様を怪我させたのはどんな魔物なのですか?」
限を神のように崇拝しているレラは、従魔になった瞬間にニールのことを神の使いだといい出し、急に様付けで呼ぶようになった。
相変わらず重い気がするが、アルバの時もそうだったので、もうレラの神扱いは無視することにした。
「キュ~!」
「……?」
「ん? ワニか?」
前足を動かして説明をしているようだが、ニールの説明ではレラは全く分からない。
しかし、従魔契約をしたからか、限にはニールの言いたいことがなんとなくだが分かるようだ。
ジェスチャーを見てワニかと問いかけると、ニールは伝わったことが嬉しそうに頷いた。
「キュ~……?」
「でも、見たことないような形のワニって言いたいのか?」
「キュッ!」
話を続けるように、ワニではあるようだが何か違うような気がしたといいたいような雰囲気がニールから伝わってきた。
それを確認すると、その通りと言うかのようにニールは大きく頷いた。
「突然変異、もしくは……」
その情報から、限は突然変異でもしたワニ型の魔物の一種なのではないかという考えが浮かんできた。
それと同時にもう1つの可能性が考えられた。
限にとって恨みの対象の1つである研究員たちのことだ。
研究員たちの研究テーマは人造生物の作成であり、戦闘兵器としての魔物を作るために色々な実験をおこなっていた。
戦争には当然陸だけではなく海での戦いもある。
その時のために、研究員が海洋生物の魔物を造った可能性が考えられる。
「海でワニは珍しいからな……」
この世界でワニと言ったら湖や沼に潜んでいるものというイメージが強い。
たしかに海に生息するものもいるが、人が目にする機会はかなり低い。
ニールを襲ったのも、ただのワニと考えるのは無理なことだろう。
「ニール様の足を抉ったことを考えると、かなりの大きさなのでは?」
「そうだな……」
巨大な状態のニールの脚に噛みつき、しかもその肉を抉るくらいの強さを持っているということは、そのワニ自体も大きな体格をしていない限りあり得ない。
ニール程の巨体にに攻めかかるほどなのだから最低3、4mくらいの大きさが無いと、あれ程の怪我をさせることは不可能だろう。
「その魔物を探すにも、何か情報が欲しいな……」
限の魔力探知で探そうにも、海の場合はかなりの広範囲に広げないと見つけられそうにない。
ローリング作戦で探すという手も考えられるが、そんなことしていたら魔力がごっそり持って行かれて、見つけた時には戦う力が残っていないでは話にならない。
どこら辺に目撃情報があるのかを確認してからでないと、この巨大な海の中を捜索するのは難しい。
そのため、限はまず目撃情報を収集することから始めることにした。
「どちらへ向かいますか?」
「……北へ向かおう」
向かうにしても海沿いを北か南でどちらへ行くのか選択しなければならない。
レラの問いに対し、少し考えた後に限が選んだのは北だった。
「もしかして、ゼータちゃんのおじいさんの占いからですか?」
「あぁ、もう少し北に行くとあのじいさんが示した範囲内に入るからな」
別にどちらを選んでも良いところだが、限が北を選んだことでレラには思い至ることがあった。
それが以前限たちが救って、隠れ里へ送り届けた小人族のゼータの祖父の占いだ。
占いで示された範囲内に研究員たちが潜んでいるという情報だったが、限たちはまだその範囲内に入っておらず、ここからもう少し北へ行くとその範囲内に入ることになる。
北か南かの選択をしなければならないと考えた時、その占いのことが頭をよぎったため、限は北を選ぶことにしたのだ。
「何も思いつかない時は信じてみるのも一興だろ?」
「そうですね!」
どちらかを選ばないといけないのなら、占いに頼ってみるのも面白い。
そう考えた限にレラは賛同する。
暗闇に覆われた地下廃棄場にいた時は楽しいことなどなく、ただ脱出するための力を蓄えているしかなかった。
しかし、外に出られたことから怒りで無闇やたらの殺戮に走ってしまいそうになるので、何とか抑え込もうと楽しみながらの旅をすることにしていた。
無意味に近い食の旅もその1つだ。
レラも堅苦しい聖女見習いの生活や研究所での苦しみから解放されたため、今は限と行動出来れば楽しいのでそれでいいと考えている。
そもそも、レラの場合、限を神扱いしているためほとんど否定してくることはないため、すぐに限の考えに頷いた。
「たしか北には小さい港町があったはずです」
「じゃあ、そこで調査してみるか」
「ハイ!」
都合よく、ゼータの祖父が占った範囲にちょうど入るくらいの所に町があることを、レラは地図を出して教えてくれる。
ならばそこへ行くしかないと、限たちは来たの町へ向かうことに決めたのだった。
「……何だこりゃ?」
「酷いですね……」
地図に乗っていた北にある港町に着くと、限とレラは町の様子に驚いた。
何か天災でも起きたかのように、多くの家や建物が破壊されていたからだ。
町の住人は、その瓦礫を拾ったりと復興作業を行っているらしい。
「なあ、ここで何かあったのか?」
ここ最近この周辺で、地震が起きたとか言う話は聞いていないため、このような被害はあり得ない。
しかし、被害状況を見る限り何か起きたとしか考えられなかったので、限は近くにいた老人に話しかけた。
「あぁ、旅人さんかい? 実は巨大な魔物が町に現れて、大暴れしていったんじゃよ」
「巨大な魔物?」
たしかに被害の遭い方が海に近いところに限定されている。
災害にしてはなんとなくおかしく感じるため、魔物の被害と言われれば納得できる。
魔物と聞いて、限は頭の中で正解を引き当てたのではないかと考えた。
しかし、まだ自分たちの探している魔物ではない可能性があるため、そのまま話を続けることにした。
「巨大なワニのような姿をしておった」
「へぇ~」
この言葉に、内心でビンゴと言いながらも、限はそれを口に出さない。
そんなことすれば被害を喜んでいると誤認され、悪感情を抱かれる可能性があるからだ。
「っで? そいつはどうしたんだい?」
「海へと戻って行っちまったよ」
引き当てた喜びを隠しつつ、限は話の続きを求める。
しかし、もういなくなってしまった後で、限の知りたかった魔物の居場所は、住人たちには分からない状況らしい。
「最近おかしなことはなかったかい?」
「おかしなこと?」
とりあえず、魔物はこの周辺にいることは予想できる。
しかし、そうなると、限にはもう1つ聞いておきたい事がある。
そのことを聞きだすために、限は老人に問いかけ始めた。
「例えば……数人の人間がまとまって町に来たとか?」
「まとまった人間……」
限の問いに老人は左上に視線を向けて、思い出すかのように動きを止める。
何か心当たりがあるのだろうか。
「あぁっ! たしか町のはずれの廃墟に数人が住始めたって話を聞いた気がするのう……」
「……そうかい。ありがとなじいさん」
どうやら占いは当たりだったかもしれない。
老人の話を聞いた限は、さっき以上に喜びの感情が湧き上がってきた。
笑みを浮かべそうになるのを必死に堪え、限はその老人との話を終えた。
「ようやく見つけたかもな……」
「そうですね」
老人に背を向けた限は堪えるのをやめて笑みを浮かべる。
弧を描くようにつり上がった口は、獲物を見つけた獰猛な魔物のようにすら思えてくる。
悪魔のような笑みを浮かべる限に対し、レラはいつものように微笑む。
研究員の発見かもしれない情報を得て、限たちは町のはずれに向けて足を進めたのだった。
「キュ!」
魔物の情報から憎き研究員たちを探している限たち。
それでたまたま見つけた巨大亀のニールを従魔にし、次はそのニールを怪我させた魔物のことを捜索することにした。
ニールのことを発見した湖から一番近い海へと来た限は、白狼のアルバの背に乗るニールに問いかける。
その問いに、ニールは頷きをもって返事をした。
亀なだけあって移動速度がかなり遅い。
ニールは変身能力を有しており、体の大きさが自由に変えられるため、アルバの背に乗れる程度にまで小さくなってもらった。
戦闘面では問題ないのだが、普段はのんびりしたただの亀にしか見えない。
「ニール様を怪我させたのはどんな魔物なのですか?」
限を神のように崇拝しているレラは、従魔になった瞬間にニールのことを神の使いだといい出し、急に様付けで呼ぶようになった。
相変わらず重い気がするが、アルバの時もそうだったので、もうレラの神扱いは無視することにした。
「キュ~!」
「……?」
「ん? ワニか?」
前足を動かして説明をしているようだが、ニールの説明ではレラは全く分からない。
しかし、従魔契約をしたからか、限にはニールの言いたいことがなんとなくだが分かるようだ。
ジェスチャーを見てワニかと問いかけると、ニールは伝わったことが嬉しそうに頷いた。
「キュ~……?」
「でも、見たことないような形のワニって言いたいのか?」
「キュッ!」
話を続けるように、ワニではあるようだが何か違うような気がしたといいたいような雰囲気がニールから伝わってきた。
それを確認すると、その通りと言うかのようにニールは大きく頷いた。
「突然変異、もしくは……」
その情報から、限は突然変異でもしたワニ型の魔物の一種なのではないかという考えが浮かんできた。
それと同時にもう1つの可能性が考えられた。
限にとって恨みの対象の1つである研究員たちのことだ。
研究員たちの研究テーマは人造生物の作成であり、戦闘兵器としての魔物を作るために色々な実験をおこなっていた。
戦争には当然陸だけではなく海での戦いもある。
その時のために、研究員が海洋生物の魔物を造った可能性が考えられる。
「海でワニは珍しいからな……」
この世界でワニと言ったら湖や沼に潜んでいるものというイメージが強い。
たしかに海に生息するものもいるが、人が目にする機会はかなり低い。
ニールを襲ったのも、ただのワニと考えるのは無理なことだろう。
「ニール様の足を抉ったことを考えると、かなりの大きさなのでは?」
「そうだな……」
巨大な状態のニールの脚に噛みつき、しかもその肉を抉るくらいの強さを持っているということは、そのワニ自体も大きな体格をしていない限りあり得ない。
ニール程の巨体にに攻めかかるほどなのだから最低3、4mくらいの大きさが無いと、あれ程の怪我をさせることは不可能だろう。
「その魔物を探すにも、何か情報が欲しいな……」
限の魔力探知で探そうにも、海の場合はかなりの広範囲に広げないと見つけられそうにない。
ローリング作戦で探すという手も考えられるが、そんなことしていたら魔力がごっそり持って行かれて、見つけた時には戦う力が残っていないでは話にならない。
どこら辺に目撃情報があるのかを確認してからでないと、この巨大な海の中を捜索するのは難しい。
そのため、限はまず目撃情報を収集することから始めることにした。
「どちらへ向かいますか?」
「……北へ向かおう」
向かうにしても海沿いを北か南でどちらへ行くのか選択しなければならない。
レラの問いに対し、少し考えた後に限が選んだのは北だった。
「もしかして、ゼータちゃんのおじいさんの占いからですか?」
「あぁ、もう少し北に行くとあのじいさんが示した範囲内に入るからな」
別にどちらを選んでも良いところだが、限が北を選んだことでレラには思い至ることがあった。
それが以前限たちが救って、隠れ里へ送り届けた小人族のゼータの祖父の占いだ。
占いで示された範囲内に研究員たちが潜んでいるという情報だったが、限たちはまだその範囲内に入っておらず、ここからもう少し北へ行くとその範囲内に入ることになる。
北か南かの選択をしなければならないと考えた時、その占いのことが頭をよぎったため、限は北を選ぶことにしたのだ。
「何も思いつかない時は信じてみるのも一興だろ?」
「そうですね!」
どちらかを選ばないといけないのなら、占いに頼ってみるのも面白い。
そう考えた限にレラは賛同する。
暗闇に覆われた地下廃棄場にいた時は楽しいことなどなく、ただ脱出するための力を蓄えているしかなかった。
しかし、外に出られたことから怒りで無闇やたらの殺戮に走ってしまいそうになるので、何とか抑え込もうと楽しみながらの旅をすることにしていた。
無意味に近い食の旅もその1つだ。
レラも堅苦しい聖女見習いの生活や研究所での苦しみから解放されたため、今は限と行動出来れば楽しいのでそれでいいと考えている。
そもそも、レラの場合、限を神扱いしているためほとんど否定してくることはないため、すぐに限の考えに頷いた。
「たしか北には小さい港町があったはずです」
「じゃあ、そこで調査してみるか」
「ハイ!」
都合よく、ゼータの祖父が占った範囲にちょうど入るくらいの所に町があることを、レラは地図を出して教えてくれる。
ならばそこへ行くしかないと、限たちは来たの町へ向かうことに決めたのだった。
「……何だこりゃ?」
「酷いですね……」
地図に乗っていた北にある港町に着くと、限とレラは町の様子に驚いた。
何か天災でも起きたかのように、多くの家や建物が破壊されていたからだ。
町の住人は、その瓦礫を拾ったりと復興作業を行っているらしい。
「なあ、ここで何かあったのか?」
ここ最近この周辺で、地震が起きたとか言う話は聞いていないため、このような被害はあり得ない。
しかし、被害状況を見る限り何か起きたとしか考えられなかったので、限は近くにいた老人に話しかけた。
「あぁ、旅人さんかい? 実は巨大な魔物が町に現れて、大暴れしていったんじゃよ」
「巨大な魔物?」
たしかに被害の遭い方が海に近いところに限定されている。
災害にしてはなんとなくおかしく感じるため、魔物の被害と言われれば納得できる。
魔物と聞いて、限は頭の中で正解を引き当てたのではないかと考えた。
しかし、まだ自分たちの探している魔物ではない可能性があるため、そのまま話を続けることにした。
「巨大なワニのような姿をしておった」
「へぇ~」
この言葉に、内心でビンゴと言いながらも、限はそれを口に出さない。
そんなことすれば被害を喜んでいると誤認され、悪感情を抱かれる可能性があるからだ。
「っで? そいつはどうしたんだい?」
「海へと戻って行っちまったよ」
引き当てた喜びを隠しつつ、限は話の続きを求める。
しかし、もういなくなってしまった後で、限の知りたかった魔物の居場所は、住人たちには分からない状況らしい。
「最近おかしなことはなかったかい?」
「おかしなこと?」
とりあえず、魔物はこの周辺にいることは予想できる。
しかし、そうなると、限にはもう1つ聞いておきたい事がある。
そのことを聞きだすために、限は老人に問いかけ始めた。
「例えば……数人の人間がまとまって町に来たとか?」
「まとまった人間……」
限の問いに老人は左上に視線を向けて、思い出すかのように動きを止める。
何か心当たりがあるのだろうか。
「あぁっ! たしか町のはずれの廃墟に数人が住始めたって話を聞いた気がするのう……」
「……そうかい。ありがとなじいさん」
どうやら占いは当たりだったかもしれない。
老人の話を聞いた限は、さっき以上に喜びの感情が湧き上がってきた。
笑みを浮かべそうになるのを必死に堪え、限はその老人との話を終えた。
「ようやく見つけたかもな……」
「そうですね」
老人に背を向けた限は堪えるのをやめて笑みを浮かべる。
弧を描くようにつり上がった口は、獲物を見つけた獰猛な魔物のようにすら思えてくる。
悪魔のような笑みを浮かべる限に対し、レラはいつものように微笑む。
研究員の発見かもしれない情報を得て、限たちは町のはずれに向けて足を進めたのだった。
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