166 / 179
第5章
第166話 重蔵との戦闘②
しおりを挟む
「おや? 顔色が悪いな……」
魔力を身に纏い、身体強化をおこなったリザードマンと化した重蔵。
追い込まれていた側の限からすると、身体強化していない状態でここまでの強さを発揮していたということに驚くしかない。
身体強化していた自分よりも、魔物化した重蔵は素の身体能力で上に立っているということを示しているからだ。
身体強化を使用してきたということは、重蔵は更に強力な戦闘力で襲い掛かってくるということだ。
ここまでで追い込まれているのに更なる強さとなると、限には勝ち目がない。
はたから見ていた天祐はそのことが分かり、笑みを浮かべて限に話しかけてきたた。
限の心情を逆なでするような態度でだ。
「…………」
「……無視か? まあいい、そいつの強さを見るために、せいぜい粘ってくれよ」
天祐の問いかけに対し、限は重蔵を見ているだけで返事をしない。
その態度に少しだけつまらなそうな表情をしたが、天祐は話を続ける。
身体強化をしない状態で追い込んでいるのだから、今の重蔵が負けるはずがない。
あとは、重蔵がどれくらいの強さなのかを知りたいだけだ。
その強さを図るために、天祐は限を利用させてもらうつもりだ。
「ガアッ!!」
天祐が顎をクイッとすることで、重蔵に合図を送る。
それを受け、身体強化した重蔵は床を蹴った。
「っっっ!?」
限を中心にして、縦横無尽に動き回る重蔵。
身体強化によって、更に加速している。
必死に目で追う限だが、残像のようにしか見えない。
「グルアッ!!」
「っ!?」
限もこれまで以上の魔力を纏うことで、更に身体強化を図る。
しかし、重蔵の動きの方が速い。
限が重蔵の位置を掴んだ時には、もう目の前に迫っていた。
「ガアッ!!」
「ぐっ!!」
接近と共に放たれたのは、拳による攻撃。
何とか回避しようとするが、重蔵の速度に対応できない。
躱しきれないと判断した限は、せめて威力を落とそうと、自ら後方に飛ぶ。
しかし、身体強化によってこれまで以上になったのは速度だけでなくパワーもだ。
後方に飛んで威力を落としたというのに、ものすごい衝撃が限の腹に襲い掛かった。
「ゲホッ! ゲホッ!」
腹を殴られて吹き飛ばされた限は、なんとか体勢を整えて着地する。
しかし、腹に受けたとんでもない威力の攻撃に、思わず咳き込む。
人体実験を受けたことによって痛みに鈍感になっているというのに、ジンジンとする痛みを感じているということは、内臓に相当なダメージを受けているということあろう。
「ガアッ!!」
「がっ!?」
何とか立っている状況の限に対し、重蔵は更なる攻撃を繰り出す。
またも左拳による打撃だ。
重蔵の放ったフックが顔面に当たり、限はまたも吹き飛ばされた。
「ハハッ!! まるで相手になっていないな……」
重蔵の攻撃で右へ左へと殴り飛ばされる限を見て、天祐は楽しそうに感想を述べる。
しかし、天祐の言っていることは的を射ている。
直撃だけでも防ごうと顔や体を捻ったりしているが、焼け石に水といったところ。
痛めつけられ、限はどんどん動きが鈍くなっていった。
「わざわざ拳で殴っているのは、まだそれに自我があるのかもしれないな……」
「……ぐ、ぐぅ……」
何度も殴られたことで、限は顔が腫れあがって体中に痣ができている。
限だから生きているが、普通の人間なら一発食らうだけで頭が弾け飛んでいるだろう。
殴られながら、限は疑問に思っていたことがある。
重蔵は刀を持っているというのに、身体強化をしてからはそれを使用してきていない。
もしも刀で攻撃をしてきていたら、いくら限でも斬り刻まれていたかもしれないというのにだ。
その疑問を解消するかのように、天祐が重蔵が行っていることの理由を述べる。
それを受け、限はうめき声を上げながら「なるほど……」と思っていた。
魔物化したことで、重蔵は自我が完全に飛んでしまっているようだが、そう見えているだけで、本当のところは分からない。
しかし、天祐が言うように自我が残っているというのなら、魔物化する前に痛めつけられた重蔵が、報復の意味を込めて拳だけで自分を痛めつけてきているのかもしれない。
「それにしても、ここまで強力な兵器が手に入るなんてな。こいつがいれば、俺が支配する国は安泰だ」
強化薬を使用した敷島兵を大量に打ち倒した限。
その限が全く相手になっていない。
そんな今の重蔵なら、どの国の軍隊を相手にしても、たった一体で勝利を収めることが可能だろう。
そんな最強兵器が自分の従魔として存在している。
つまり、自分がこれから支配する敷斎王国は、この大陸の覇者になることができる。
いや、この大陸だけではなく、全世界を手に入れることも可能かもしれない。
そう考えると、天祐は表情が緩むのを抑えることができなかった。
「……フフッ!」
「……どうした? 痛めつけられて頭が狂ったか?」
天祐がご満悦なところで、ボロボロの限が笑い声をあげる。
その反応が理解できず、天祐は首を傾げた。
そんな天祐を、限は腫れあがって半分しか開がない目で見つめた。
魔力を身に纏い、身体強化をおこなったリザードマンと化した重蔵。
追い込まれていた側の限からすると、身体強化していない状態でここまでの強さを発揮していたということに驚くしかない。
身体強化していた自分よりも、魔物化した重蔵は素の身体能力で上に立っているということを示しているからだ。
身体強化を使用してきたということは、重蔵は更に強力な戦闘力で襲い掛かってくるということだ。
ここまでで追い込まれているのに更なる強さとなると、限には勝ち目がない。
はたから見ていた天祐はそのことが分かり、笑みを浮かべて限に話しかけてきたた。
限の心情を逆なでするような態度でだ。
「…………」
「……無視か? まあいい、そいつの強さを見るために、せいぜい粘ってくれよ」
天祐の問いかけに対し、限は重蔵を見ているだけで返事をしない。
その態度に少しだけつまらなそうな表情をしたが、天祐は話を続ける。
身体強化をしない状態で追い込んでいるのだから、今の重蔵が負けるはずがない。
あとは、重蔵がどれくらいの強さなのかを知りたいだけだ。
その強さを図るために、天祐は限を利用させてもらうつもりだ。
「ガアッ!!」
天祐が顎をクイッとすることで、重蔵に合図を送る。
それを受け、身体強化した重蔵は床を蹴った。
「っっっ!?」
限を中心にして、縦横無尽に動き回る重蔵。
身体強化によって、更に加速している。
必死に目で追う限だが、残像のようにしか見えない。
「グルアッ!!」
「っ!?」
限もこれまで以上の魔力を纏うことで、更に身体強化を図る。
しかし、重蔵の動きの方が速い。
限が重蔵の位置を掴んだ時には、もう目の前に迫っていた。
「ガアッ!!」
「ぐっ!!」
接近と共に放たれたのは、拳による攻撃。
何とか回避しようとするが、重蔵の速度に対応できない。
躱しきれないと判断した限は、せめて威力を落とそうと、自ら後方に飛ぶ。
しかし、身体強化によってこれまで以上になったのは速度だけでなくパワーもだ。
後方に飛んで威力を落としたというのに、ものすごい衝撃が限の腹に襲い掛かった。
「ゲホッ! ゲホッ!」
腹を殴られて吹き飛ばされた限は、なんとか体勢を整えて着地する。
しかし、腹に受けたとんでもない威力の攻撃に、思わず咳き込む。
人体実験を受けたことによって痛みに鈍感になっているというのに、ジンジンとする痛みを感じているということは、内臓に相当なダメージを受けているということあろう。
「ガアッ!!」
「がっ!?」
何とか立っている状況の限に対し、重蔵は更なる攻撃を繰り出す。
またも左拳による打撃だ。
重蔵の放ったフックが顔面に当たり、限はまたも吹き飛ばされた。
「ハハッ!! まるで相手になっていないな……」
重蔵の攻撃で右へ左へと殴り飛ばされる限を見て、天祐は楽しそうに感想を述べる。
しかし、天祐の言っていることは的を射ている。
直撃だけでも防ごうと顔や体を捻ったりしているが、焼け石に水といったところ。
痛めつけられ、限はどんどん動きが鈍くなっていった。
「わざわざ拳で殴っているのは、まだそれに自我があるのかもしれないな……」
「……ぐ、ぐぅ……」
何度も殴られたことで、限は顔が腫れあがって体中に痣ができている。
限だから生きているが、普通の人間なら一発食らうだけで頭が弾け飛んでいるだろう。
殴られながら、限は疑問に思っていたことがある。
重蔵は刀を持っているというのに、身体強化をしてからはそれを使用してきていない。
もしも刀で攻撃をしてきていたら、いくら限でも斬り刻まれていたかもしれないというのにだ。
その疑問を解消するかのように、天祐が重蔵が行っていることの理由を述べる。
それを受け、限はうめき声を上げながら「なるほど……」と思っていた。
魔物化したことで、重蔵は自我が完全に飛んでしまっているようだが、そう見えているだけで、本当のところは分からない。
しかし、天祐が言うように自我が残っているというのなら、魔物化する前に痛めつけられた重蔵が、報復の意味を込めて拳だけで自分を痛めつけてきているのかもしれない。
「それにしても、ここまで強力な兵器が手に入るなんてな。こいつがいれば、俺が支配する国は安泰だ」
強化薬を使用した敷島兵を大量に打ち倒した限。
その限が全く相手になっていない。
そんな今の重蔵なら、どの国の軍隊を相手にしても、たった一体で勝利を収めることが可能だろう。
そんな最強兵器が自分の従魔として存在している。
つまり、自分がこれから支配する敷斎王国は、この大陸の覇者になることができる。
いや、この大陸だけではなく、全世界を手に入れることも可能かもしれない。
そう考えると、天祐は表情が緩むのを抑えることができなかった。
「……フフッ!」
「……どうした? 痛めつけられて頭が狂ったか?」
天祐がご満悦なところで、ボロボロの限が笑い声をあげる。
その反応が理解できず、天祐は首を傾げた。
そんな天祐を、限は腫れあがって半分しか開がない目で見つめた。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる