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第2章
第26話
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「ケセランパサランの親子?だよ」
ケイの手の平の上のキュウとマルは、頭を下げるようにして美花に挨拶した。
見た目は全く同じで、大きさが少し違うくらいだ。
「よろしくね」
丸く、小さいその姿は、本当に魔物なのかと疑いたくなりそうだ。
その姿に心が少し和らぎ、美花は優しく2匹に微笑んだ。
「親子なのかハッキリしてないの?」
先程からケイの説明では、2匹の関係がよく分かっていないような口ぶりだった。
自分の従魔なのにもかかわらず、それが半信半疑といったようにも思える。
なんとなくそこが気になり、美花は尋ねた。
「う~ん……寝て翌日に起きたらキュウと一緒にいたのがマルなんだ。魔物発現の兆候も感じなかったし、だから、多分親子なんだと思う」
ケイは手を顎に当てて、悩むようにその日のことを思い出しながら説明した。
「ケセランパサラン自体が人に見られることがないし、繁殖方法がどういう風なのかわからない。キュウがたまに抜ける毛を集めているのは分かってたんだけど、もしかしたらそれが何か意味あったのかな?」
心の安らぎとしてケイはキュウを撫でることが多かったのだが、キュウの毛は全然抜けない。
犬のように季節で生え変わったりもしないので、部屋に毛が落ちているなんてことがない。
それでも偶に抜けているのだろうか、キュウは寝床に少しずつ毛を集めていた。
拠点内を掃除しようとした時、キュウのためていた毛を捨ててもいいかと尋ねると、目に涙をためて止めてきたのでそのままにしておいた。
そしたら、数日後の寝起きにキュウとそっくりな小さな毛玉がいた。
10年前、ケイが初めてキュウに会った時と同じくらいの大きさだ。
優しく手に乗せて撫でてあげると、嬉しそうにする感じもそっくりだ。
それに、マルが現れたらキュウがこれまで溜めていた毛がいつの間にかなくなっていた。
予想だが、ケイは集めていた毛がマルになったのではないかと考えるようになった。
「へ~……」
その予想を美花に伝えると、感心したように返事をした。
逃走を計る美花たちが従魔を持つと、それだけ追っ手に居場所を特定される情報を与えることになる。
そのため、従魔を持たないようにしてきた。
それに、愛玩動物というものを持つという発想が浮かばないほど必死だった。
しかし、ケイはなんだか従魔との生活を楽しんでいるようだ。
“ピョン!”“ピョン!”
「?」
美花をじっと見ていたキュウとマルは、ケイの手の上から美花に向かって飛び降りた。
飛び降りた2匹はそのまま美花の周りを転がり始めた。
「美花を警戒しないな。気に入ったのかもしれない」
ケイ以外では初めての人間。
キュウたちがもっとビクビクするのかた思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
「……フワフワだ……」
コロコロと転がったり、ピョンピョン弾んだりして美花の気を引くと、美花が出した手に乗っかって、静かに撫でられ始めた。。
撫でた時の感触が予想以上に気持ち良かったため、驚きも含んでいるような感想を口にした。
「ちょっとそいつらの相手してて、俺は狩りに行ってくるから」
「いや、もう大丈夫。助けてもらったお礼に、私も何か手伝うわ」
空気は重い状況だったが、懐かしい食事はとても美味しかった。
体調的にはもう大丈夫なので何か手伝えないかと思った。
「う~ん……、じゃあ、散歩がてら行ってみようか?」
「うん」
ケイからしたら手伝ってもらうようなことはないが、まあ島の紹介も込めて連れて行くことにした。
「…………畑だ」
さっきまでいた場所から外に出ると、周りは畑まみれだった。
そこには色々な野菜が植えられていて、見事に手入れされていた。
「まずこの島なんだけど、無人島だから」
「あっ、そうなんだ……」
ケイが説明を始め、無人島と聞いた瞬間、美花は安堵の表情をした。
とりあえず、しばらくは追っ手の心配をせず安心した暮らしができそうだからだ。
「こっちの方にも島があるけど、こっちは魔物がいるから気を付けて」
「うん」
ケイが西に向けて歩いていきながら説明するが、魔物と聞いても美花が大丈夫そうな感じなので、刀も持っていることから戦う術があるのだろうなと考える。
「こっからあっちまで飛び越えられる?」
「うん。大丈夫」
西と東の島には依然として崖が隔てている。
色々と成長し、飛び越えられるようになったケイは、もう昔に作った組み立て式の橋は使っていない。
美花も同じことができるか分からないので、とりあえず聞いてみた。
余裕そうな返事だったので、そのまま西の島に飛び越えた。
「美花は鶏と猪どっちの肉が好き?」
「えっ? え~と……、鶏で……」
急に聞かれたので少し戸惑いながら美花は答えを返す。
「じゃあ、こっちだ」
美花の答えを聞いて、ケイは方向を決めた。
「止まって!」
「?」
少し進むと、ケイが手で合図を送った。
美花は探知術が使える。
自分でもまあまあの距離が探れると思っている。
しかし、まだその範囲内には何も感じない。
とりあえずケイの指示に従っていると……、
“パンッ!”
ケイが筒のような物を腰から取り出し、その筒から何かが発射された。
「よし! 仕留めた」
「……えっ?」
一発撃ち、腰のホルダーに筒のような物を元に戻したケイが軽くガッツポーズした姿に、美花が何が起きたか分からないでいると、そのまま進んで行った先に羽の部分が発達した鶏が横たえていた。
『……この距離を仕留めたの?』
まともに見たのでは発見もできないような遠い距離にもかかわらず、たった一撃。
美花の視界には鶏がいるなんて気づきもしなかった。
『……もしかして、ケイって強いの?』
この鶏は大陸にもいるので珍しくもないが、ちょっと鍛えただけの人間では倒すのは難しい。
それをここまであっさり倒せるなんて、捕まえた鶏の血抜きを始めたケイが強いのではないかと思い始めた美花だった。
ケイの手の平の上のキュウとマルは、頭を下げるようにして美花に挨拶した。
見た目は全く同じで、大きさが少し違うくらいだ。
「よろしくね」
丸く、小さいその姿は、本当に魔物なのかと疑いたくなりそうだ。
その姿に心が少し和らぎ、美花は優しく2匹に微笑んだ。
「親子なのかハッキリしてないの?」
先程からケイの説明では、2匹の関係がよく分かっていないような口ぶりだった。
自分の従魔なのにもかかわらず、それが半信半疑といったようにも思える。
なんとなくそこが気になり、美花は尋ねた。
「う~ん……寝て翌日に起きたらキュウと一緒にいたのがマルなんだ。魔物発現の兆候も感じなかったし、だから、多分親子なんだと思う」
ケイは手を顎に当てて、悩むようにその日のことを思い出しながら説明した。
「ケセランパサラン自体が人に見られることがないし、繁殖方法がどういう風なのかわからない。キュウがたまに抜ける毛を集めているのは分かってたんだけど、もしかしたらそれが何か意味あったのかな?」
心の安らぎとしてケイはキュウを撫でることが多かったのだが、キュウの毛は全然抜けない。
犬のように季節で生え変わったりもしないので、部屋に毛が落ちているなんてことがない。
それでも偶に抜けているのだろうか、キュウは寝床に少しずつ毛を集めていた。
拠点内を掃除しようとした時、キュウのためていた毛を捨ててもいいかと尋ねると、目に涙をためて止めてきたのでそのままにしておいた。
そしたら、数日後の寝起きにキュウとそっくりな小さな毛玉がいた。
10年前、ケイが初めてキュウに会った時と同じくらいの大きさだ。
優しく手に乗せて撫でてあげると、嬉しそうにする感じもそっくりだ。
それに、マルが現れたらキュウがこれまで溜めていた毛がいつの間にかなくなっていた。
予想だが、ケイは集めていた毛がマルになったのではないかと考えるようになった。
「へ~……」
その予想を美花に伝えると、感心したように返事をした。
逃走を計る美花たちが従魔を持つと、それだけ追っ手に居場所を特定される情報を与えることになる。
そのため、従魔を持たないようにしてきた。
それに、愛玩動物というものを持つという発想が浮かばないほど必死だった。
しかし、ケイはなんだか従魔との生活を楽しんでいるようだ。
“ピョン!”“ピョン!”
「?」
美花をじっと見ていたキュウとマルは、ケイの手の上から美花に向かって飛び降りた。
飛び降りた2匹はそのまま美花の周りを転がり始めた。
「美花を警戒しないな。気に入ったのかもしれない」
ケイ以外では初めての人間。
キュウたちがもっとビクビクするのかた思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
「……フワフワだ……」
コロコロと転がったり、ピョンピョン弾んだりして美花の気を引くと、美花が出した手に乗っかって、静かに撫でられ始めた。。
撫でた時の感触が予想以上に気持ち良かったため、驚きも含んでいるような感想を口にした。
「ちょっとそいつらの相手してて、俺は狩りに行ってくるから」
「いや、もう大丈夫。助けてもらったお礼に、私も何か手伝うわ」
空気は重い状況だったが、懐かしい食事はとても美味しかった。
体調的にはもう大丈夫なので何か手伝えないかと思った。
「う~ん……、じゃあ、散歩がてら行ってみようか?」
「うん」
ケイからしたら手伝ってもらうようなことはないが、まあ島の紹介も込めて連れて行くことにした。
「…………畑だ」
さっきまでいた場所から外に出ると、周りは畑まみれだった。
そこには色々な野菜が植えられていて、見事に手入れされていた。
「まずこの島なんだけど、無人島だから」
「あっ、そうなんだ……」
ケイが説明を始め、無人島と聞いた瞬間、美花は安堵の表情をした。
とりあえず、しばらくは追っ手の心配をせず安心した暮らしができそうだからだ。
「こっちの方にも島があるけど、こっちは魔物がいるから気を付けて」
「うん」
ケイが西に向けて歩いていきながら説明するが、魔物と聞いても美花が大丈夫そうな感じなので、刀も持っていることから戦う術があるのだろうなと考える。
「こっからあっちまで飛び越えられる?」
「うん。大丈夫」
西と東の島には依然として崖が隔てている。
色々と成長し、飛び越えられるようになったケイは、もう昔に作った組み立て式の橋は使っていない。
美花も同じことができるか分からないので、とりあえず聞いてみた。
余裕そうな返事だったので、そのまま西の島に飛び越えた。
「美花は鶏と猪どっちの肉が好き?」
「えっ? え~と……、鶏で……」
急に聞かれたので少し戸惑いながら美花は答えを返す。
「じゃあ、こっちだ」
美花の答えを聞いて、ケイは方向を決めた。
「止まって!」
「?」
少し進むと、ケイが手で合図を送った。
美花は探知術が使える。
自分でもまあまあの距離が探れると思っている。
しかし、まだその範囲内には何も感じない。
とりあえずケイの指示に従っていると……、
“パンッ!”
ケイが筒のような物を腰から取り出し、その筒から何かが発射された。
「よし! 仕留めた」
「……えっ?」
一発撃ち、腰のホルダーに筒のような物を元に戻したケイが軽くガッツポーズした姿に、美花が何が起きたか分からないでいると、そのまま進んで行った先に羽の部分が発達した鶏が横たえていた。
『……この距離を仕留めたの?』
まともに見たのでは発見もできないような遠い距離にもかかわらず、たった一撃。
美花の視界には鶏がいるなんて気づきもしなかった。
『……もしかして、ケイって強いの?』
この鶏は大陸にもいるので珍しくもないが、ちょっと鍛えただけの人間では倒すのは難しい。
それをここまであっさり倒せるなんて、捕まえた鶏の血抜きを始めたケイが強いのではないかと思い始めた美花だった。
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