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第2章
第27話
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腕鶏を仕留めた後、ケイはそのまま美花との散歩を続けた。
「あっちに行くと猪の魔物が群れを作っている縄張りに入るから気を付けてくれ」
「猪……」
指を差しながらケイは美花に注意を促す。
食材の選択を選ぶように言ってきたことを考えると、ケイは猪も倒せるのだろう。
猪型の魔物は色々な種類がいて、どれも食すと美味いが、倒すにはかなりの実力が必要となる。
それを相手にできるということは、先程思った通りケイの実力は相当なものなのかもしれない。
「ここを行くとダンジョンに行きつくんだ」
「えっ? ダンジョンあるの?」
「うん」
もうすぐ8歳になるという頃、ケイはようやく猪を倒せるようになった。
何度か遠距離攻撃で倒せるかチャレンジしてみたが、何度も失敗して追いかけられたものだ。
10歳になる頃には、群れを相手にしても苦にならないほどに成長した。
そうなったら島を自由に動き回れるようになり、行ったこともない場所がないか島を動き回った。
腕鶏、猪の魔物の領域、色々な虫が生息している森、その中央に地下へと向かう洞窟を発見。
それがダンジョンだった。
「見つけた時は大したことなかったんだけど、色々育てている内にかなり強い魔物を出すようになってきたんだ」
「……育てた?」
この世界のダンジョンは、単純に魔物と同じようなものという扱いになっている。
洞窟内は体内のような物で、洞窟に入って来た魔物や動物を罠などで仕留め、吸収することで成長すると言われている。
吸収した魔物を洞窟内を守る兵として使うこともあり、ダンジョン独自の魔物を作り出すこともある。
成長すればするほど厄介な魔物を作り出す。
猪を倒せるようになったが、ケイとしてはもしもの時のためにもっと強くなりたいと悩んでいた。
そのためには、もっと強い魔物と戦う必要があったため、ダンジョンを発見した時にこれだとひらめいた。
ダンジョンを成長させれば、自分も強くなれるのではないかと思ったのだ。
「そう思って色々ここに入れるようになったんだ」
「へ~……」
美花はダンジョンには興味が無かったのでこれまで気にならなかったが、もしかしたら強くなるにはいい考えなのかもしれない。
ダンジョン内に生き物の死体を入れたら、どれほどの魔物を出現させるのか、それを計算しながら成長させれば、無理なく自分の強化ができるのではないだろうか。
「結構地道にコツコツ育てたんだ」
ケイも美花が思ったのと同じように、無理なく強くなろうと洞窟内には大したものを入れないようにしてきた。
魚の骨や捌いた時に出る内臓、腕鶏や猪の羽や骨や牙。
そんなしょうもない物を入れて育てた。
はっきり言ってゴミ捨て場みたいな扱いだ。
それらはキュウなら食べられるのだが、ほぼ毎日増えていくのでキュウが食べきれずにいた物は肥料にしたりしていた。
ほとんど捨てるような物なので、キュウは「何で?」といった表情をしていたのが懐かしい。
「もうすぐ昼だし、そろそろ帰ろうか?」
そんな話をしながら昼近くになって来たので拠点に帰ることにした。
「美花はこれからどうするんだ?」
「えっ?」
昼食をとり終え、ケイはふと思ったことを美花に尋ねた。
よく考えたら、美花は別にここに居続ける意味がない。
詳しい状況は知らないが、他に目指す場所でもあるのではないか。
体調も良くなったようだし、聞いてみようとケイは思った。
因みに、昼食は美花と散歩中に手に入れた腕鶏を使った鶏肉野菜炒めと赤米御飯と海藻の味噌汁だ。
基本ケイの食事は一汁一菜が多い。
料理の腕もこの10年で上がっているので、よくできていると思う。
美花も美味しいと言っていたし……。
閑話休題
久々の人との会話でテンションが上がっていたのだろうか、美花がここに住むかどうかわかっていないまま話を進めていた。
出て行くというのであれば船を造らなければならない。
それなら木材を集めるのにケイも手伝った方が良いだろう。
魔物が良く出る範囲など把握しているのはケイだからだ。
「………………ここにしばらく置いてもらうことはできないかしら?」
「いいよ!」
少しの逡巡した後、美花はここに置かせてもらえないかと言って来た。
それに対し、ケイはあっさりと了承の返事をした。
「……随分あっさりだけどいいの?」
「こいつらとだけの生活も別に良いんだけど、会話ができる相手がいるのも楽しいと思ってね……」
ここならしばらくは追っ手が来ることはない。
来たとしても船で近付いてくるしかない。
全方位見渡せるこの島なら、船の姿を見てから逃げても捕まらないはずだ。
ここにいて良いならそうさせてもらうが、ケイの答えはあまりにもあっさりとしすぎる気がした。
ケイへの疑念が沸くが、キュウたちと長閑に戯れるさまを見ていると、そんな考えも薄れていく。
「好きなだけいて良いよ」
美花の中に色々とケイへの疑問が沸き上がるが、とりあえずは静かな生活ができる。
ならば、それでいい気がしてきた。
「……じゃあ、そうさせてもらうわ」
居て良いのならそうしよう。
自由に生きろと言うなら、自分の直感を信じてみよう。
「ケイ・アンヘル…………アンヘル…………天の使いに期待しましょう」
手の上で弾むキュウたちを優しく見つめるケイに聞かれないように、美花は小さく呟いた。
「あっちに行くと猪の魔物が群れを作っている縄張りに入るから気を付けてくれ」
「猪……」
指を差しながらケイは美花に注意を促す。
食材の選択を選ぶように言ってきたことを考えると、ケイは猪も倒せるのだろう。
猪型の魔物は色々な種類がいて、どれも食すと美味いが、倒すにはかなりの実力が必要となる。
それを相手にできるということは、先程思った通りケイの実力は相当なものなのかもしれない。
「ここを行くとダンジョンに行きつくんだ」
「えっ? ダンジョンあるの?」
「うん」
もうすぐ8歳になるという頃、ケイはようやく猪を倒せるようになった。
何度か遠距離攻撃で倒せるかチャレンジしてみたが、何度も失敗して追いかけられたものだ。
10歳になる頃には、群れを相手にしても苦にならないほどに成長した。
そうなったら島を自由に動き回れるようになり、行ったこともない場所がないか島を動き回った。
腕鶏、猪の魔物の領域、色々な虫が生息している森、その中央に地下へと向かう洞窟を発見。
それがダンジョンだった。
「見つけた時は大したことなかったんだけど、色々育てている内にかなり強い魔物を出すようになってきたんだ」
「……育てた?」
この世界のダンジョンは、単純に魔物と同じようなものという扱いになっている。
洞窟内は体内のような物で、洞窟に入って来た魔物や動物を罠などで仕留め、吸収することで成長すると言われている。
吸収した魔物を洞窟内を守る兵として使うこともあり、ダンジョン独自の魔物を作り出すこともある。
成長すればするほど厄介な魔物を作り出す。
猪を倒せるようになったが、ケイとしてはもしもの時のためにもっと強くなりたいと悩んでいた。
そのためには、もっと強い魔物と戦う必要があったため、ダンジョンを発見した時にこれだとひらめいた。
ダンジョンを成長させれば、自分も強くなれるのではないかと思ったのだ。
「そう思って色々ここに入れるようになったんだ」
「へ~……」
美花はダンジョンには興味が無かったのでこれまで気にならなかったが、もしかしたら強くなるにはいい考えなのかもしれない。
ダンジョン内に生き物の死体を入れたら、どれほどの魔物を出現させるのか、それを計算しながら成長させれば、無理なく自分の強化ができるのではないだろうか。
「結構地道にコツコツ育てたんだ」
ケイも美花が思ったのと同じように、無理なく強くなろうと洞窟内には大したものを入れないようにしてきた。
魚の骨や捌いた時に出る内臓、腕鶏や猪の羽や骨や牙。
そんなしょうもない物を入れて育てた。
はっきり言ってゴミ捨て場みたいな扱いだ。
それらはキュウなら食べられるのだが、ほぼ毎日増えていくのでキュウが食べきれずにいた物は肥料にしたりしていた。
ほとんど捨てるような物なので、キュウは「何で?」といった表情をしていたのが懐かしい。
「もうすぐ昼だし、そろそろ帰ろうか?」
そんな話をしながら昼近くになって来たので拠点に帰ることにした。
「美花はこれからどうするんだ?」
「えっ?」
昼食をとり終え、ケイはふと思ったことを美花に尋ねた。
よく考えたら、美花は別にここに居続ける意味がない。
詳しい状況は知らないが、他に目指す場所でもあるのではないか。
体調も良くなったようだし、聞いてみようとケイは思った。
因みに、昼食は美花と散歩中に手に入れた腕鶏を使った鶏肉野菜炒めと赤米御飯と海藻の味噌汁だ。
基本ケイの食事は一汁一菜が多い。
料理の腕もこの10年で上がっているので、よくできていると思う。
美花も美味しいと言っていたし……。
閑話休題
久々の人との会話でテンションが上がっていたのだろうか、美花がここに住むかどうかわかっていないまま話を進めていた。
出て行くというのであれば船を造らなければならない。
それなら木材を集めるのにケイも手伝った方が良いだろう。
魔物が良く出る範囲など把握しているのはケイだからだ。
「………………ここにしばらく置いてもらうことはできないかしら?」
「いいよ!」
少しの逡巡した後、美花はここに置かせてもらえないかと言って来た。
それに対し、ケイはあっさりと了承の返事をした。
「……随分あっさりだけどいいの?」
「こいつらとだけの生活も別に良いんだけど、会話ができる相手がいるのも楽しいと思ってね……」
ここならしばらくは追っ手が来ることはない。
来たとしても船で近付いてくるしかない。
全方位見渡せるこの島なら、船の姿を見てから逃げても捕まらないはずだ。
ここにいて良いならそうさせてもらうが、ケイの答えはあまりにもあっさりとしすぎる気がした。
ケイへの疑念が沸くが、キュウたちと長閑に戯れるさまを見ていると、そんな考えも薄れていく。
「好きなだけいて良いよ」
美花の中に色々とケイへの疑問が沸き上がるが、とりあえずは静かな生活ができる。
ならば、それでいい気がしてきた。
「……じゃあ、そうさせてもらうわ」
居て良いのならそうしよう。
自由に生きろと言うなら、自分の直感を信じてみよう。
「ケイ・アンヘル…………アンヘル…………天の使いに期待しましょう」
手の上で弾むキュウたちを優しく見つめるケイに聞かれないように、美花は小さく呟いた。
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