56 / 375
第4章
第56話
しおりを挟む
【しゅじん! しゅじん!】
「おぉ、キュウ! どうした?」
ソフトボールサイズの黒い毛玉と、テニスボールサイズの小さい毛玉跳ねてきた。
ケセランパサランたちだ。
キュウたちケセランパセランも、この15年で変化があった。
まずは最古参のキュウだが、念話を覚えた。
といっても、まだまだ簡単な言葉しか交わせないが、たいした進歩だ。
もう体の大きさは変わらないらしく、15年前と同じ大きさのままだ。
キュウの子供のマルも大きさが同じで、パッと見ただけでは区別はできない。
しかし、魔力量の多さで判断できるので、まだ探知が上手くないラウル以外はちゃんと判別できている。
獣人族の場合、キュウたちは微妙に臭いが違うとのことだが、ケイたちにはよく分からない。
【こども! おなか! へった!】
「あぁ、ちびっ子たちがお腹空いたのか?」
“ピョン!”“ピョン!”“ピョン!”“ピョン!”
いつものようにキュウたちの子供が出来た。
キュウの子がアル、マルの子がカル、ガンの子がサル、ドンの子がタルと名付けた。
命名は完全に手抜きだ。
これまでも別に思い付きだったが、今後どうしようか悩みどころだ。
アル・カル・サル・タルの4匹がキュウに連れられてケイの下にやってきた。
ケイの問いに、4匹は跳ねることで肯定を示しているようだ。
4匹は僅かに魔力量が異なるが、微妙な差なので判別しにくい。
なんにしろ、キュウの時と同様に子供の内はスライムにも劣るレベルの弱さなので、キュウかケイの側にいるように指示してある。
「じゃあ、焼き魚で良いかな?」
【さかな! すき!】
お腹が空いていれば生き物の内臓も食べるキュウたちだが、片言の念話ができるようになって好みがさらに分かってきた。
前世日本人のケイと日本のような文化をした国の日向出身の美花は、魚好きなため食卓には魚が出る時が多い。
それも有ってか、キュウたちも魚がかなり好きらしい。
猪肉や腕鶏の肉も好きなようだが、一番は魚のようだ。
野菜は嫌いではないが、好きでもないといったところだ。
「ほい。焼けたぞ!」
今日の午前中に釣りに行っていたので、かなり新鮮な魚を4匹に4匹ずつ皿に乗せて出してあげた。
「「「「♪♪♪」」」」
4匹とも、小さな口を一生懸命動かして、魚に食らいついていった。
味に満足しているのか、とても嬉しそうだ。
「大きめのやつはキュウたち用だ」
【おおきい! ありがと!】
マル、ガン、ドンの3匹は子供たちと遊びに行っている。
ケイが釣りをしている所から離れた場所でバレーをしていたのが見えたので、お昼になったらみんなと一緒に帰ってくるだろう。
帰って来てから焼けばいいので、とりあえずキュウの分だけ出してあげた。
出された魚を見て、キュウは目をキラキラとさせて感謝してきた。
「冷めないうちに食べな」
【うん!】
別に感謝されなくてもちゃんとお昼は作るのだから、気にする必要はないのだが、涎が出ていて待ちきれないのだろう。
ケイはキュウに食べるように促した。
「ケイ様!」
「ん?」
帰ってきた子供たちの昼食を作って、みんなで食べ、後片付けが終わったころ、シリアコがケイに話しかけてきた。
「最近見張り中に魔物を見ることが増えてきているように思うのですが……」
「シリアコもそう思うのか?」
西の島にも畑を作るようになったので、ケイが土魔法で壁を作った。
ちゃんと見張りができるようになっているので、ケイ、シリアコ、カルロス、レイナルドの順で交代しながら見張るようにしている。
「ということは、ケイ様もお気づきでしたか?」
「あぁ……」
質問に質問で返された形だが、どうやらケイだけでなくシリアコも同じような感覚を覚えていたようだ。
いつもならスライムや虫の魔物を時折見るくらいなのだが、最近見張りをしている時に、頻繁に見るようになった。
しかも、腕鶏の姿も見るようになった。
虫やスライムはある意味どこにでもいるので珍しくもないが、腕鶏が住み着いている範囲はもっと西に離れている。
卵や肉は貴重な食材なので、ケイたちが数を調整している。
なので、数が増えたからこちらの方にも来たと言うのはあり得ない。
「腕鶏が住んでる北西方向で何かあったのかな?」
「かもしれませんね……」
腕鶏のことを告げると、シリアコも同じ考えが浮かんだようだ。
何か強力な魔物でも出現したり、何かの魔物が大繁殖したりしているという可能性がある。
この島の住人はみんな訓練を重ねている。
そのお陰か、大人たちが苦戦するような魔物は存在しない。
しかし、いくら強くても数が多いと危険な目に遭う可能性がある。
そうならないように、早めに手を打つべきだ。
「俺と美花で見て来るよ」
「では、自分もお供します!」
島の中で一番強いのはケイなので、ケイが行くのが一番だろう。
カルロスは今日は見張りで、夜にはレイナルドと交代になる。
なので、2人を連れていく訳にはいかない。
シリアコは昨日見張りだったので、数日は休みだ。
奴隷から解放してくれた感謝から、常にケイの役に立ちたいと思うシリアコは、同行を志願した。
「お前は働き過ぎだ! もうちょっと体を休めるようにしろ!」
「はい……」
ケイが言うように、シリアコはいつも他の住人の仕事を手伝ってばかりで遊んだりしない。
たまには1日のんびり過ごしてもらいたい。
そう思うケイとは反対に、連れて行ってもらえないことにシリアコは若干落ち込んだのだった。
「おぉ、キュウ! どうした?」
ソフトボールサイズの黒い毛玉と、テニスボールサイズの小さい毛玉跳ねてきた。
ケセランパサランたちだ。
キュウたちケセランパセランも、この15年で変化があった。
まずは最古参のキュウだが、念話を覚えた。
といっても、まだまだ簡単な言葉しか交わせないが、たいした進歩だ。
もう体の大きさは変わらないらしく、15年前と同じ大きさのままだ。
キュウの子供のマルも大きさが同じで、パッと見ただけでは区別はできない。
しかし、魔力量の多さで判断できるので、まだ探知が上手くないラウル以外はちゃんと判別できている。
獣人族の場合、キュウたちは微妙に臭いが違うとのことだが、ケイたちにはよく分からない。
【こども! おなか! へった!】
「あぁ、ちびっ子たちがお腹空いたのか?」
“ピョン!”“ピョン!”“ピョン!”“ピョン!”
いつものようにキュウたちの子供が出来た。
キュウの子がアル、マルの子がカル、ガンの子がサル、ドンの子がタルと名付けた。
命名は完全に手抜きだ。
これまでも別に思い付きだったが、今後どうしようか悩みどころだ。
アル・カル・サル・タルの4匹がキュウに連れられてケイの下にやってきた。
ケイの問いに、4匹は跳ねることで肯定を示しているようだ。
4匹は僅かに魔力量が異なるが、微妙な差なので判別しにくい。
なんにしろ、キュウの時と同様に子供の内はスライムにも劣るレベルの弱さなので、キュウかケイの側にいるように指示してある。
「じゃあ、焼き魚で良いかな?」
【さかな! すき!】
お腹が空いていれば生き物の内臓も食べるキュウたちだが、片言の念話ができるようになって好みがさらに分かってきた。
前世日本人のケイと日本のような文化をした国の日向出身の美花は、魚好きなため食卓には魚が出る時が多い。
それも有ってか、キュウたちも魚がかなり好きらしい。
猪肉や腕鶏の肉も好きなようだが、一番は魚のようだ。
野菜は嫌いではないが、好きでもないといったところだ。
「ほい。焼けたぞ!」
今日の午前中に釣りに行っていたので、かなり新鮮な魚を4匹に4匹ずつ皿に乗せて出してあげた。
「「「「♪♪♪」」」」
4匹とも、小さな口を一生懸命動かして、魚に食らいついていった。
味に満足しているのか、とても嬉しそうだ。
「大きめのやつはキュウたち用だ」
【おおきい! ありがと!】
マル、ガン、ドンの3匹は子供たちと遊びに行っている。
ケイが釣りをしている所から離れた場所でバレーをしていたのが見えたので、お昼になったらみんなと一緒に帰ってくるだろう。
帰って来てから焼けばいいので、とりあえずキュウの分だけ出してあげた。
出された魚を見て、キュウは目をキラキラとさせて感謝してきた。
「冷めないうちに食べな」
【うん!】
別に感謝されなくてもちゃんとお昼は作るのだから、気にする必要はないのだが、涎が出ていて待ちきれないのだろう。
ケイはキュウに食べるように促した。
「ケイ様!」
「ん?」
帰ってきた子供たちの昼食を作って、みんなで食べ、後片付けが終わったころ、シリアコがケイに話しかけてきた。
「最近見張り中に魔物を見ることが増えてきているように思うのですが……」
「シリアコもそう思うのか?」
西の島にも畑を作るようになったので、ケイが土魔法で壁を作った。
ちゃんと見張りができるようになっているので、ケイ、シリアコ、カルロス、レイナルドの順で交代しながら見張るようにしている。
「ということは、ケイ様もお気づきでしたか?」
「あぁ……」
質問に質問で返された形だが、どうやらケイだけでなくシリアコも同じような感覚を覚えていたようだ。
いつもならスライムや虫の魔物を時折見るくらいなのだが、最近見張りをしている時に、頻繁に見るようになった。
しかも、腕鶏の姿も見るようになった。
虫やスライムはある意味どこにでもいるので珍しくもないが、腕鶏が住み着いている範囲はもっと西に離れている。
卵や肉は貴重な食材なので、ケイたちが数を調整している。
なので、数が増えたからこちらの方にも来たと言うのはあり得ない。
「腕鶏が住んでる北西方向で何かあったのかな?」
「かもしれませんね……」
腕鶏のことを告げると、シリアコも同じ考えが浮かんだようだ。
何か強力な魔物でも出現したり、何かの魔物が大繁殖したりしているという可能性がある。
この島の住人はみんな訓練を重ねている。
そのお陰か、大人たちが苦戦するような魔物は存在しない。
しかし、いくら強くても数が多いと危険な目に遭う可能性がある。
そうならないように、早めに手を打つべきだ。
「俺と美花で見て来るよ」
「では、自分もお供します!」
島の中で一番強いのはケイなので、ケイが行くのが一番だろう。
カルロスは今日は見張りで、夜にはレイナルドと交代になる。
なので、2人を連れていく訳にはいかない。
シリアコは昨日見張りだったので、数日は休みだ。
奴隷から解放してくれた感謝から、常にケイの役に立ちたいと思うシリアコは、同行を志願した。
「お前は働き過ぎだ! もうちょっと体を休めるようにしろ!」
「はい……」
ケイが言うように、シリアコはいつも他の住人の仕事を手伝ってばかりで遊んだりしない。
たまには1日のんびり過ごしてもらいたい。
そう思うケイとは反対に、連れて行ってもらえないことにシリアコは若干落ち込んだのだった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる