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「リティシア、俺は人間だからな?いくら全てを教えようとしたってやっぱり限界がある。リティシアに教えなきゃいけない重要な事を忘れちゃうかもしれないし、もしそれが命に関わるようなものならそれは『忘れた』だけじゃ済まない。俺を信頼してくれるのは嬉しいけど俺は全てを記憶し伝えられる機械じゃないんだ」
最もすぎて反論できない意見ね…。そんなに賢いんだから教科書なんていらないじゃないと純粋な疑問をぶつけてみたんだけど、そんな理由があったのね。
まさか私の命を心配してくれるとはね…もし勝手に魔法が暴走しても貴方のせいなんかじゃないのに。
「なるほどね。まぁいいわ。とりあえずこの通りにやってみればいいのね」
「あぁ」
私は教科書を片手に持ち、浮かび上がる絵を見ながら手の平を上に向けて前に出す。
「何故一つの呪文で色々な事が出来るのかというと、そこには想像力が働いているからなんだ。まずは自分の中に眠る魔力を開放してから、その絵の通りに炎を想像してくれ。目を開けたままでも使えるけど、目を瞑ると集中力が上がるぞ」
あぁ、確かによく見ると絵の魔道士も目を瞑っているわね。じゃぁよく意識を集中させて…。
私は先程の身体から抜けていく感覚を思い出しながら自分の中に眠る魔力の渦を探す。それを開放すれば恐らく魔法が使えるはず。熱く燃え盛るようなエネルギーを身体の中心辺りから感じた。
これだ。きっとこれが魔法になる。
後は形をよくイメージするだけ。…風に揺られても消える事なく燃え盛る不死の炎を。
「炎」
魔力が一瞬にして身体を駆け巡ったかと思うと、ボウッ…と私の手の真上に真っ赤な炎が灯る。炎の熱を直に感じながらも魔法が成功した興奮と衝撃が私をその場に留まらせる。
凄い、誰かが使うのと自分が使うのとではこうも感動が違うのね…。そしてゆっくりと炎は大きくなっていき私の手を包み込み…
「熱っ」
思わず教科書を地面に落とし、声を出すとアレクシスが慌てて呪文を詠唱し私の手に大量の水をかけてくれる。炎は瞬く間に消え去り、代わりに濡れた手だけが残った。
…ありがとうアレク。かけすぎよ。
濡れた手の水滴を軽く弾き飛ばすとアレクシスが「大丈夫か!?」とこちらの手を確認してくる。大袈裟ね。ちょっと熱かっただけよ。
「よかった、怪我はしてないな。ごめん、水かけすぎだったよな。」と彼は取り出した自分のハンカチで水滴を拭き取ってくれる。あぁ貴方のハンカチが勿体ないわ…。今のは完全に私の自業自得なのに。
アレクシスが調節してくれたおかげでどうやらドレスは無事なようであった。
「…大丈夫。ちょっと熱かっただけ。それにしても私の魔法は貴方の水に掻き消される程度のものだったのね…」
「俺の使った魔力がリティシアよりも上回っただけだ。その魔法より強い魔力で魔法を使えば打ち消す事が出来るんだ。」
「へぇ…」
じゃぁ私は主人公に全力で攻撃されたら防ぎようがないって訳ね…。元々の潜在能力が圧倒的に違うもの。
「それにしてもリティシア、やっぱりお前凄いな。初めてでこんな綺麗に魔法を使うなんて普通は出来ないぞ」
アレクシスが嬉しそうにこちらに笑顔を向けてくるが、リティシアの能力の高さをよく知っている私は素直に喜べずに複雑な心境になる。魔力が無駄にある悪役令嬢だからすぐに使えるのは当たり前なのよね。
「…私に出来ない事なんてないに決まってるわよ。それよりこれでようやく私も魔法が使えるのね」
「あぁ。消したい時は出した時と同じ様に消える様子を想像すれば簡単に消えるはずだ」
出しちゃえば消すのもきっと簡単よね。ようやく魔法が使える様になったわ…ようやくとはいってもアレクに聞いてからは一瞬と言っても過言ではなかったけどね。相変わらず恐ろしい男主人公だわ。
私は再び呪文を詠唱し、手の平に炎を灯す。アレクシスは地面に落ちた教科書を拾いながら、こちらを不思議そうに眺めてくる。
「これで貴方を…燃やす事も出来るってわけね」
意味深な呟きを溢すと流石に驚いたのかアレクシスの動きがピタリと固まってしまう。そして彼は複雑な表情で口を開く。
「…俺がどんなに憎くても人を燃やすのは良くないぞ。お前の呪文で焼かれたら相当痛いからな…?」
「試しに一人か二人焼いてから貴方をバーベキューにしてあげるわ」
「…リティシア?そんな事したらダメだからな?バーベキューにしてもいいのはお肉と野菜だけだぞ」
「分かってるわよ。貴方って本当つまらないわね。」
悪役令嬢わたしなら高らかに笑いながらやりかねないから注意してくれているのだろう。
…いや注意じゃなくて怒りなさいよ。どうして私を怒らないのかしら…?私が貴方なら確実に怒り狂っているのに。
「つまらないからもう終わり。魔法を使える様になったから貴方はもういらないわ」
「まだ魔法を応用する仕方とか教えてないけど良いのか?」
「…手短に教えなさい」
「ただの応用なら基礎が出来るようになればあとは見様見真似で自然と出来るようになるけど、形を変えて竜みたいな乗り物にするには魔力がある程度ないと出来ないぞ。作り出せる形は決まっているからそれを知ってから想像力で少しずつ作っていけば出来るはずだ。」
「あらそう。大した情報じゃないのね。それじゃ、私の分の教科書は片付けといてくれる?もう必要ないわ」
アレクシスは文句一つ言わずに「分かった」と述べると二人分の教科書を自身の魔法で空中に浮かべ始める。…少しくらい文句言ってくれないかしら?そろそろ私の良心が耐えられないんだけど…。
最もすぎて反論できない意見ね…。そんなに賢いんだから教科書なんていらないじゃないと純粋な疑問をぶつけてみたんだけど、そんな理由があったのね。
まさか私の命を心配してくれるとはね…もし勝手に魔法が暴走しても貴方のせいなんかじゃないのに。
「なるほどね。まぁいいわ。とりあえずこの通りにやってみればいいのね」
「あぁ」
私は教科書を片手に持ち、浮かび上がる絵を見ながら手の平を上に向けて前に出す。
「何故一つの呪文で色々な事が出来るのかというと、そこには想像力が働いているからなんだ。まずは自分の中に眠る魔力を開放してから、その絵の通りに炎を想像してくれ。目を開けたままでも使えるけど、目を瞑ると集中力が上がるぞ」
あぁ、確かによく見ると絵の魔道士も目を瞑っているわね。じゃぁよく意識を集中させて…。
私は先程の身体から抜けていく感覚を思い出しながら自分の中に眠る魔力の渦を探す。それを開放すれば恐らく魔法が使えるはず。熱く燃え盛るようなエネルギーを身体の中心辺りから感じた。
これだ。きっとこれが魔法になる。
後は形をよくイメージするだけ。…風に揺られても消える事なく燃え盛る不死の炎を。
「炎」
魔力が一瞬にして身体を駆け巡ったかと思うと、ボウッ…と私の手の真上に真っ赤な炎が灯る。炎の熱を直に感じながらも魔法が成功した興奮と衝撃が私をその場に留まらせる。
凄い、誰かが使うのと自分が使うのとではこうも感動が違うのね…。そしてゆっくりと炎は大きくなっていき私の手を包み込み…
「熱っ」
思わず教科書を地面に落とし、声を出すとアレクシスが慌てて呪文を詠唱し私の手に大量の水をかけてくれる。炎は瞬く間に消え去り、代わりに濡れた手だけが残った。
…ありがとうアレク。かけすぎよ。
濡れた手の水滴を軽く弾き飛ばすとアレクシスが「大丈夫か!?」とこちらの手を確認してくる。大袈裟ね。ちょっと熱かっただけよ。
「よかった、怪我はしてないな。ごめん、水かけすぎだったよな。」と彼は取り出した自分のハンカチで水滴を拭き取ってくれる。あぁ貴方のハンカチが勿体ないわ…。今のは完全に私の自業自得なのに。
アレクシスが調節してくれたおかげでどうやらドレスは無事なようであった。
「…大丈夫。ちょっと熱かっただけ。それにしても私の魔法は貴方の水に掻き消される程度のものだったのね…」
「俺の使った魔力がリティシアよりも上回っただけだ。その魔法より強い魔力で魔法を使えば打ち消す事が出来るんだ。」
「へぇ…」
じゃぁ私は主人公に全力で攻撃されたら防ぎようがないって訳ね…。元々の潜在能力が圧倒的に違うもの。
「それにしてもリティシア、やっぱりお前凄いな。初めてでこんな綺麗に魔法を使うなんて普通は出来ないぞ」
アレクシスが嬉しそうにこちらに笑顔を向けてくるが、リティシアの能力の高さをよく知っている私は素直に喜べずに複雑な心境になる。魔力が無駄にある悪役令嬢だからすぐに使えるのは当たり前なのよね。
「…私に出来ない事なんてないに決まってるわよ。それよりこれでようやく私も魔法が使えるのね」
「あぁ。消したい時は出した時と同じ様に消える様子を想像すれば簡単に消えるはずだ」
出しちゃえば消すのもきっと簡単よね。ようやく魔法が使える様になったわ…ようやくとはいってもアレクに聞いてからは一瞬と言っても過言ではなかったけどね。相変わらず恐ろしい男主人公だわ。
私は再び呪文を詠唱し、手の平に炎を灯す。アレクシスは地面に落ちた教科書を拾いながら、こちらを不思議そうに眺めてくる。
「これで貴方を…燃やす事も出来るってわけね」
意味深な呟きを溢すと流石に驚いたのかアレクシスの動きがピタリと固まってしまう。そして彼は複雑な表情で口を開く。
「…俺がどんなに憎くても人を燃やすのは良くないぞ。お前の呪文で焼かれたら相当痛いからな…?」
「試しに一人か二人焼いてから貴方をバーベキューにしてあげるわ」
「…リティシア?そんな事したらダメだからな?バーベキューにしてもいいのはお肉と野菜だけだぞ」
「分かってるわよ。貴方って本当つまらないわね。」
悪役令嬢わたしなら高らかに笑いながらやりかねないから注意してくれているのだろう。
…いや注意じゃなくて怒りなさいよ。どうして私を怒らないのかしら…?私が貴方なら確実に怒り狂っているのに。
「つまらないからもう終わり。魔法を使える様になったから貴方はもういらないわ」
「まだ魔法を応用する仕方とか教えてないけど良いのか?」
「…手短に教えなさい」
「ただの応用なら基礎が出来るようになればあとは見様見真似で自然と出来るようになるけど、形を変えて竜みたいな乗り物にするには魔力がある程度ないと出来ないぞ。作り出せる形は決まっているからそれを知ってから想像力で少しずつ作っていけば出来るはずだ。」
「あらそう。大した情報じゃないのね。それじゃ、私の分の教科書は片付けといてくれる?もう必要ないわ」
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